異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
観念したカブライさんが小さく縮こまっている。
しかし何だろう、自分の罪を悔いているという感じじゃないな?
ラファエルさん曰く俺並みのサトラレであるこの人がやってるんだから、演技とかではないと思うが。
ひょっとして「私感情がないから罪悪感も感じません」とかそのたぐいか?
お前感情あるだろ? ないで。
まあ
「あ、あの、その・・・これから話すことは秘密にしてくれよ?」
「内容によるのですぞ」
ぴしゃりと言ったラファエルさんだが顔は困惑している。俺もだ。
何と言うか、顔を真っ赤にしてもじもじしてて・・・お前はコイバナを振られた中学生か?
「実はその・・・今岩窟劇場で歌ってるジェニーを好きになっちゃったんだよ!」
コイバナだった。
どういう事ですかロマンスの神様ぁ!
「ええとつまり、二年前から岩窟劇場で歌っている歌手の方に一目惚れしたと」
「そうなんだよ! アルトからソプラノまで綺麗に歌い分けて、しかも演技力も高い!
踊りも素晴らしくて、まるで空を飛んでるみたいなんだ!
僕の書いた脚本を歌うように演じてくれたときはこのまま死んでも良いと思ったね!」
「うーむ。しかしジェニーですか、人間みたいな芸名ですぞ」
「あ、人間だよ」
!?
思わずどこかの不良漫画みたいな顔になる俺。
いやその・・・この世界普通にあるの? 人間とドワーフの恋愛とか。
「人間とエルフなら稀にありますが、ドワーフと人間は・・・まあ前例がないわけではないようですが・・・」
美的感覚とか随分違いそうだしねえ・・・ドワーフの人は高い人なら身長150くらいはあるから、体格差もギリ許容範囲か・・・?
まあ探せば身長180のドワーフとかいるかもしれないな! サムライでムラマサ持ってないとグッドエンド到達できないんだ!
俺達のそんな戸惑いをものともせず、ジェニーさんの魅力を語り始めるカブライさん。
「僕も昔はね、人間なんて奇妙な生き物だと思ってたんだ!
のっぺりしてるし細長くて折れちゃいそうだし、やっぱりどっしりしたドワーフ女に限るよねって。
間違いだった。
彼女はそんな僕の思い違いを正すべく、
「カブライ」
「あのまつげ、ハシバミ色の瞳に赤い唇! 笑みを含めて細められたあの視線の素晴らしいこと!
微笑みを浮かべる唇は、もはやそれ自体が芸術だ! いや、彼女こそが
「カブライ」
「ああ、僕は彼女に帰依する! 信仰と献身の全てを・・・痛い痛い痛い!」
悲鳴を上げるカブライさん。
穏やかな笑みを浮かべたラファエルさんが、彼の顔面をアイアンクローでわしづかみにしていた。
「取りあえず黙るですぞ。我々は今、思春期の少年のコイバナを聞いてる時間の余裕はないのですぞ」
思春期を殺された少年の翼・・・じゃなかった、思春期の少年のコイバナねえ。
ラファエルさんがザナさんと交わしてた会話なんか、そのものだったと思うけど。
相思相愛だけどどっちも一歩踏み出せないというか、手も握ったことないんじゃない?
「の、ノーコメントですぞ! 大体ハヤトにだけは言われたくないのですぞ! ヘタレの星からやって来たヘタレ大王ですぞ!」
どういう意味だよ!
それからしばらく、今度は俺とラファエルさんの低レベルな言い争いが続いた。
争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!
と、解放されてこめかみを揉んでいたカブライさんが眉をひそめた。
「え、なに? ザナちゃんのことずっと放ってるの? ひどい奴だなスタロ! いい加減嫁に貰ってやれよ!」
「う"っ!? いやその、ザナと吾輩は清い付き合いで・・・」
あ、ラファエルさんが面白いように動揺している。
それをジト目で睨むカブライさん。
「清い付き合いって、お前いくつだよ。結婚申し込んだら二つ返事で了承貰えるくらいの仲だろ!
それを修行だからって何年も・・・あの子、昔からずっとお前一筋なのに、お兄さんに取られても文句は言えないよそれ!
独り身で待っててくれたことに感謝すべきだぞ!」
「ええい、ザナのことは今は関係ないのですぞ!
とにかく最後までキリキリ吐くのですぞ!」
「ぼ、暴力反対ー!?」
どうどうどう、落ち着け落ち着け。
カブライさんも、手短に話してくれないと、この
「わ、わかりました・・・」
怯えながら頷くカブライさん。むっつり顔のラファエルさん。
ザナさんの事は後でいじってやろう。
「つまりそのジェニー嬢の頼みで裏通りにお使いに行っていたと」
それだけのことを聞くのに凄い時間を費やした気がする。
俺は何故あんな無駄な時間を・・・
「半分はカブライが、もう半分はハヤトが悪いのですぞ」
俺よりはラファエルさんが悪いと思うなあ!?
まあこれ以上無駄な時間を費やしたくないので黙ってるが、後で仕返ししてやる。
しかし、裏通りまで行かなきゃならない品物って何だ?
「喉に良い薬だって。高いんだけど、正規のルートだと滅多に入ってこないし、競争も多い。
ちょっとまともじゃない店に行かないと手に入らないって言ってたよ」
「ふーむ」
ぼーん、ぼーん、と酒場の柱時計が鳴る。
カブライさんがちらりと時刻を確認した。
「ごめん、そろそろ戻らないと」
「む、しょうがないですぞ。
ですが今晩にでも、もう少し詳しい事を聞かせて貰いますぞ」
厳しい顔のラファエルさん。カブライさんがちょっと怯えたように頷いた。
「わ、わかった。じゃあ八時にここで。その頃なら雑用も終わると思うから。
いなかったら劇場の方に来てよ」
「わかったですぞ」
悲鳴と怒号。頬をあぶる熱。煙の匂い。
巨大な炎が洞窟の広大なメインストリートをまばゆく照らし出す。
「
「近づくな! 危ないぞ!」
その前で呆然と立ちつくす俺とラファエルさん。
岩窟劇場が炎に包まれていた。
>まあ探せば身長180のドワーフとかいるかもしれないな! サムライでムラマサ持ってないとグッドエンド到達できないんだ!
昔あったウィザードリィのゲームブックネタ。
キャラメイクに相当する部分で「身長180センチ位の男。人間かも知れないしエルフかも知れない。異常に背の高いドワーフかも知れない」みたいに書いてあったときは吹きました。
「隣り合わせの灰と青春」のゴグレグ意識してたなてめー?