異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十七話 ハヤト大いに語る

 アダインさんの複雑な顔。

 あー、これラファエルさんと一緒にいた人間だって気付かれてるかな?

 

「君がスタロと一緒に何かしているのは知っている。

 だが今は純粋に、私たちの同胞を助けてくれたことに感謝したい」

 

 真剣な顔で頷くアダインさん。

 ・・・この人、いい人だな。

 

「岩窟劇場で君が助けてくれた人達に」

「助かった人達に」

 

 互いにジョッキを軽く打ち合わせて、中身を一気に飲み干す。

 ちなみにかなり強そうな蒸留酒。

 考えてみりゃこれを三十回以上繰り返してる訳で、そりゃドワーフでも潰れるわ。

 デモゴディになってなければ、多分最初の一杯でぶっ倒れてた。

 閑話休題(それはさておき)

 

「それでは。重ねて感謝する」

 

 生真面目にもう一度頭を下げて礼を述べるアダインさん。

 

「では」

「あ、あの」

 

 きびすを返そうとする彼を、思わず俺は呼び止めていた。

 

「何か?」

 

 不審そうな彼の顔に言葉が出てこない。

 しかし・・・ええい、ここは勝負所じゃ!

 

「俺達はゲティさんとラファエルさん・・・スタロさんの願いに応えてここまで来ました。

 ベドマさんの命を奪った闇酒と、密売組織に対処するためです」

「・・・その件については族長や我々評議会、氏族の戦士隊が対応している。

 私人が動く必要はない」

「そうやって任せてたら、多分岩窟劇場で沢山の人が死んでた!」

「っ」

 

 アダインさんが言葉につまる。

 

「確かに本当ならそうするべきなんでしょう!

 評議会や戦士の皆さんに任せておけばいい!

 でも!」

 

 そこで大きく息をつく。

 

「俺が動いて一人でも二人でも助けられるなら、俺はそうしたい!

 だからアダインさんも手伝って下さい!」

「既に評議会は全力でこの問題に対処している!」

「お母さんや弟さんと協力してくれって言ってるんですよ!」

「っ!」

 

 アダインさんがまた言葉につまる。

 こわばる顔。食いしばった歯。先ほどより深刻な顔。

 

「詳しい事は知らないしわからないけど、何かお二人と確執があるのはわかります!

 でも家族でしょう! 同じ氏族の仲間でしょう!

 死んだ弟さんのためでもいい! 今だけでも協力して何かしてくれませんか!」

「・・・・・・・・・・・・・っ!」

 

 一瞬、アダインさんの凄く辛そうな顔。

 そしてそのまま彼は身を翻して去っていった。

 

「・・・」

 

 溜息をついて、がっくりと肩を落とす。

 あーくそ、言い過ぎた。

 辛そうにしてるラファエルさんやゲティさんを見てたから・・・

 

「ん?」

 

 そこでようやく俺は周囲の様子に気付いた。

 賑やかに談笑してた大広間のドワーフたちが、全員沈黙して俺に視線を向けている。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 やっちまったぁぁぁぁぁぁあぁぁ!

 火災救助の功労者ってことで色々大目に見て貰ってたんだろうけど、これはまずい、まずいですよ呉学人先生!

 ああっ、私はまたなんという失敗を!!

 

 いや、あのロンドのクソ王とは違っていい人ぽいし、さすがに即斬首と言う事はないだろうけど・・・いや、何か氏族のしきたりとかに反したら問答無用で切腹とかありそう!

 う、族長がこっちに近づいてくる。もう退避する場所も、時間もありません! 俺の命もどうなるか! いよいよ最後です! さようなら、みなさんさようなら・・・!

 

「よう、ハヤト」

「は、はい」

 

 険しい顔の族長。

 思わず直立不動でお声を聞く。

 げ、族長が拳を握った! トオル! 美穂! 俺は真田広之だ!

 思わず目をつぶると、次の瞬間みぞおちの辺りに鈍い衝撃。

 

 ・・・。

 

 ・・・あれ? 思ってたより随分威力が弱いな?

 そう言えばこうして相手の胸に拳を打ち付けるのって、ドワーフ流の挨拶だっけ?

 目を開いて族長を見下ろすと、兜のまびさしの下でニヤリと目が笑った。

 

「よく言った、ハヤト殿! 久々にスカッとしたぜ!」

「「「「ウオオオオオー!」」」」

 

 大広間のドワーフたちが、ジョッキを掲げて一斉に叫んだ。

 どゆこと?

 

 

 

「まあ何と言うかよぉ。アダインはいい奴だしマジメで仕事も出来るんだが、どうにも頑固でなあ」

 

 家族との仲違いを、評議会の皆さんも心配してたと。

 

「ゲティ師匠にはここにいる連中も大半世話になってるからな。

 そりゃ心配もするさ。なあ、師匠?」

「いやもう、本当に申し訳ありません、皆様方・・・」

 

 ゲティさんも頭を下げているが、それでも何か嬉しそう。

 あれかな、自分の事より息子を気にかけてくれてるのが嬉しいんだなあれは。

 とは言え何か出来なかったんですか?

 

「よその家の事情にヒゲを突っ込むのは、余程の仲でも失礼なこととされてるんですよ」

 

 ドワーフの習慣かあ。

 あれ? んじゃ俺ますますマズイことした?

 そう言ったら族長さんが大笑いして俺の背中を叩いた。

 痛い! 痛いって! 手加減して! 俺はひ弱な人間族なの! モヤシなの!

 

「気にすんな! そいつは俺達ドワーフの習慣! 人間なら『まあしょうがない』で済ませてくれるさ!」

 

 ・・・そう、なのかなあ・・・?

 

「まあ、たぶん」

 

 ゲティさんが苦笑した。

 

 

 

 その後も宴は(主にアダインさんをいじって)盛り上がり、無事に終了した。

 ちょっと用事があるってことでゲティさんは家に戻り、俺も何となく付き合う。

 

「ありがとうございますね、ハヤトさん」

 

 え? ああ、大広間でのことか?

 でも何と言うか、事情も知らないのに勝手にわめき散らしただけだからなあ・・・

 ドワーフでなくてもやっていいことだったかどうか。

 

「それでもあの子には届いたと思いますよ。

 ――私も、もう一度あの子にしっかり向き合ってみることにします。

 そのきっかけをくれたハヤトさんには本当に感謝してますわ」

 

 いやもうホント、持ち上げすぎですって!

 そうだったとしても偶然なんですから!

 それでもゲティさんはくすくすと微笑むだけで、俺は彼女の家に着くまで、そこはかとない居心地の悪さを感じ続けたのであった。

 

「あれ、ラファエルさん?」

「おや、一緒に帰ってきたのかですぞ」

「あ、ハヤトさんでしたっけ? いらっしゃい」

 

 ゲティさんの家にはラファエルさんとザナさんがいた。

 あれ? あれあれあれあれ~~~~?

 ひょっとしてお邪魔しちゃいましたか~~~~?

 

「そ、そう言うのではないのですぞ! 大体ハヤトは他人の事にだけ敏感なのですぞ!」

 

 いつも言われてばかりなんだから、たまに言う方に回りたいやんけ!

 大体いつも楽しそうに俺をいじってるんだから、たまにはいじられろ!

 まあ閑話休題(それはさておき)

 

「何ですぞ?」

 

 ドワーフの習慣破ったついでにもう一回破るけど、何でアダインさんと仲違いしたの?

 そう言うとラファエルさんが口を閉ざし、ザナさんは俯く。

 

「そうですね。もうお話ししてしまってもいいでしょう」

 

 そしてゲティさんがゆっくりと頷いた。




>ああっ、私はまたなんというミスを!!
中国だと呉学人は「見てくれはいい役立たず」の代名詞だそうですw
水滸伝作中だと目立ったミスってハンコの時だけだと思うんですけど、逆に大活躍した場面がないからかしらんw

>トオル! 美穂! 真田広之が鎖鎌を握った!
わけがわからないでしょうけど、ネットが普及する前のネットミームというか、そんな感じw
元ネタは俳優漫画「THE STAR」と、それをパロったファンロードの投稿。
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