異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十九話 家族

「ラファエルさんは鈍感男ー!」

「ハヤトこそ、いつもいつも・・・」

「「!?」」

 

 低レベルな争いをしていた俺達が、思わずゲティさんの方を向いた。

 「そういう空気」がゲティさんから発せられている。

 

「え? え?」

 

 一方で戸惑っているのはザナさん。

 少し前までの自分を見てるみたいだなあ。俺も敏感になったもんだ。

 

「何かあったんですか?」

「すぐわかるよ。支度しな」

 

 口調が変わってる。

 親しみやすいおばちゃんから歴戦の闘士に。

 母親から指揮官にだ。

 

「ザナは奥に隠れてなさい。二人はついてきな」

「は、はい」

 

 席を立ち、玄関に向かうゲティさん。それに続く俺ら。

 ミストヴォルグのセンサーを発動させると、通りから聞こえて来たのは悲鳴や扉を閉じる音。

 もっと集中すると、数十人が移動する重い足音も聞こえた。多分けっこうな重武装だ。

 

「どの辺かわかるかい?」

 

 通りの入口辺りだと思います。歩くくらいの速度でこっちに近づいてくるのかな?

 

「後五分くらいか。にしてもそれも《加護》かい? 便利なもんだ」

 

 はっはっは、《加護》の力だけで世の中渡ってるチート主人公とは俺の事ですよ。

 いやほんと《加護》がなければ俺なんてしおしおのぷーで、その辺で飢え死にするか山賊に殺されてジ・エンドだったに違いない。

 

「謙遜することはないよ。さっきも言ったけど《加護》は自分の一部。

 たゆまず鍛錬するならそれも立派な技だ」

 

 ありがとうございます。

 まあ俺の場合、毎日ロボットアニメ見て手品してるだけですけどね!

 

「それはなんとも」

 

 一瞬だけおばちゃんに戻ったゲティさんが、苦笑しつつ玄関を開けて外に出る。

 通りの向こうからやってくる、武装したドワーフの一団が見えた。

 

 

 

 鎖かたびらに角兜、戦斧のクラシックドワーフスタイル。

 プレートアーマーにハルバードを担いだ重武装型。

 革鎧にメリケンサックみたいな武器つけた格闘家。

 ローブに杖を持った術師。

 軽装に短剣や棍棒を持った町のチンピラタイプ。

 

 敵対的ドワーフ集団の数は全部で50人くらい。

 内訳としては最後のチンピラタイプが一番多いが、それでも半分くらいは明らかに殺し合いのプロって雰囲気。

 そして全員揃って顔付きが悪かった。100%ヤクザものだ。

 

 こう言う事が一目でわかるような人間にはなりとうなかった!

 嘆いてもしかたないが!

 

「これはまた、ぶっそうなお客様だねえ。ひょっとしてアタシんちに用かい?」

 

 挑発的な笑みを浮かべるゲティさんに、嫌な笑みを浮かべる襲撃者たち。

 

「もちろんだとも、《岩骨》。あんたが帰ってきてから半殺しにされた売人どもが組織に泣きついてきてな」

 

 昔のコネを当たってみるとか言って、そんなことやってたんかいアンタ!

 

「まあ割とそう言う人なのですぞ・・・」

 

 ラファエルさんが諦めたように首を振る。

 

「とっくに引退したロートルが舐めた真似してくれるじゃねえか。

 今この洞窟を支配してるのは俺達だ。それをわからせてやるよ」

「ロートルかどうか・・・その目で確かめな!」

 

 ゲティさんが二つ名通り、岩のような拳を握る。

 戦いが始まった。

 

 

 

「ビームフリーザー!」

 

 岩窟都市とは言え、ここは人の住む通り。樽とか木箱とか燃えやすいものは山ほどあるし、何より閉所だ。

 ブレストヴォルケイノみたいな高熱武器ではまわりの人が蒸し焼きになる。

 ロケットパンチやルイントルネード、ミサイルみたいな武器も使えない。

 となると、冷凍光線でちまちまと無力化していくしかないのだが・・・

 くそう、ドワーフだけあって頑丈だな!

 チンピラどもはともかく、戦士スタイルの連中はちょっと当てた程度では止まらん!

 なら・・・よし、これだ!

 

 耳の辺りから冷凍光線を発射しつつ、俺は握った左拳を敵集団に向ける。

 前衛で暴れてるゲティさん、母親ほどでないにしても奮戦するラファエルさんの横に回り込み、挟み撃ちしようとする連中に、人差し指の付け根辺りから発射された白い玉が命中した。

 

「うわっ!?」

「な、何だこりゃ!?」

 

 見よ、これぞトリモチ・ミサイル!

 粘性液体を発射して、相手を動けなくするあれだ! 本物の鳥もちって見た事無いけどな!

 ゲティさんたちの右側から回り込んでくる奴らにはビームフリーザー、左側から来る奴にはトリモチ・ミサイル。

 さすがにゲティさんは強く、一人一人確実に倒している。このままなら・・・そう思った瞬間、後ろから悲鳴が聞こえた。

 

「!?」

「ザナの声なのですぞ!」

 

 すぐにそいつは現れた。

 ザナさんを羽交い締めにして、喉にナイフを突きつけて、俺達から見て敵集団の反対側、ゲティさんの家から出てくる。

 そうか、透明だか壁抜けだかで俺達をすり抜けて家の中に・・・!

 敵のリーダーらしい戦士がにやりと笑った。

 

「形勢逆転だな・・・さあ、降伏して貰おうか?」

「くっ・・・」

 

 顔を歪めるゲティさんとラファエルさん。

 どうする? こんな時こそ、手持ちのカードが多い俺の出番・・・けどテレポートで接近しても、一瞬で無力化できなければザナさんが危ない。

 セイウンザーのマジカルリングと言う手もあるが、喉元にぴったりナイフが突きつけられているから、ザナさんごと縛り上げても腕の動きを抑制できるか・・・?

 

「何やってる! さっさと降参しやががががっ!?」

 

 ナイフを突きつけていたドワーフがいきなりけいれん、硬直した。

 あれは・・・

 

「ごぶっ」

 

 口から血を吐き、その場に倒れる。

 背中には十本を超すクロスボウの太矢。

 その更に向こう、通りのもう一方の入口に、クロスボウを五つ束ねて弾倉と歯車仕掛けのついた、弩(いしゆみ)の化け物を抱えたドワーフが立っていた。

 

「ザナに手を出すな。ブチ殺すぞ、犯罪者ども」

 

 ・・・アダインさん!?

 

「ぐばっ!」

 

 俺があっけにとられた瞬間、ゲティさんの拳が敵のリーダーの顔面を陥没させていた。

 

「何ぼうっとしてる! もう遠慮は要らない、ブチ殺せっ!」

「は、はいっ!」

「は、はいですぞ!」

 

 ゲティさんの怒りの岩拳、俺の手加減無しのビームフリーザー、ラファエルさんの拳、そしてアダインさんの抱えた連射式クロスボウの弾幕が、あっという間に残りの敵を駆逐した。

 

「ああ、スタロ・・・!」

「よかった、よかったですぞ、ザナ・・・」

 

 へたり込んだザナさんと抱擁を交わした後、無言で立つアダインさんにラファエルさんが近づく。

 

「ありがとうございましたぞ、兄上。ザナが・・・」

 

 どすんと、アダインさんがラファエルさんの胸を拳で突く。

 一瞬意表を突かれたラファエルさんが、今度は笑顔でアダインさんの胸を突く。

 それは乱暴ではあっても、確かに親愛の情の現れだった。




>トリモチ・ミサイル
元ネタはガンダムですが、スーパー系でも敵側では結構使う奴もいる武器。
ちなみにちょっとググったら「百式とりもちランチャーティッシュケース」なるものが二年くらい前に販売されてました。
頭おかしいんじゃねえの(ほめ言葉)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000247.000055569.html
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