異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第二十話 危険なSILVER
「いつまでも あると思うな 親と金」
――詠み人知らず――
話し合いの結果、ザナさんはしばらくウチの一座で預かることになった。
まあラファエルさんの婚約者だし、問題はないだろう。
いじられはするだろうが(主にラファエルさんが)。
「しかし、アダインさんって普通にえらい人ですよね」
「・・・まあな」
「それでわざわざ俺達に預けるって、つまりあなたの部下や同僚も信用できないってこと?」
ラファエルさんやザナさんが目を見張る。
一瞬、表情を堅くした後でアダインさんが溜息をついた。
「その通りだ。君も見かけによらず鋭いな」
あのねえ!
どうしてみんな俺を褒めるときは「見かけによらず」とか「意外にも」って枕詞つけるんですかねえ!
よく知ってる人ならまだしも、たいして面識のないアダインさんにまでぇ!
「す、すまない」
「単なる事実なのですぞ。ハヤトは切れるときは切れますが、普段まったくもってそう見えないのは100%自業自得なのですぞ」
バイオリンを弾きながらラファエルさん。
じゃかまっしわあ!
「それはそれとして、お前達は今後どう動くつもりだ」
表情をまじめなものに戻してアダインさん。
多分暗に「お前達と協力してもいい」って言ってるんだな、これは。
「それですがですぞ・・・」
ラファエルさんがこれまでに集めた情報をお兄さんに伝える。
岩窟劇場の厳しい反闇酒姿勢、カブライさんの怪しい行動、話を聞いた直後の火災など。
「そう言えばあの火事って何が原因だったんですか?」
「それが・・・今に至るまで原因は不明だ」
まさか、カブライさんやジェニーさんの口封じの可能性がある?
「考えすぎだとは思うが・・・否定はできんな」
「すぐ施療院に行きましょう。出来ればお二人もウチで預かれば」
「そうだね。用心してしすぎることはない。先手先手だ」
ゲティさんが頷いて、話は決まった。
幸い施療院は無事だったし、カブライさんとジェニーさんも無事だった。
というか、ジェニーさんとお茶してやに下がってた。
「心配して損したのですぞ」
ラファエルさんの冷たい目に、カブライさんが怯む。
「お、お前だってザナちゃん連れてるじゃないか!」
「これはそう言う話では・・・」
「はいそこまで」
「あいたっ!」
ゲティさんが二人の頭に軽く拳骨を落とす。まあ今はコントしてられる状況じゃない。
「そう言うわけだから、アンタたちをハヤトくんの一座に移すよ。いいね?」
「は、はい」
説明を受けたジェニーさんが不安そうな顔で頷いた。
美人と言うよりはちょっとかわいい、という感じの人だ。
くすんだ赤い髪を腰の辺りまで伸ばしている。
ドワーフからしたら美人なのか、それとも単にカブライさんが恋は盲目状態なのか。
ともかくもこの人がひょっとしたら手掛かりかも知れないし、急いで保護しないと。
ちなみに退院はあっさり認められた。
二人ともまだそこそこの火傷が残っているのだが、何せ治癒術師は数が少ない。
生死に関わるような重傷患者が優先で、ある程度治療したら薬塗って寝かせるのがデフォ。
ウチの一座に治癒術師がいると話すと、むしろそちらで治療して貰えるとありがたいと言われたくらいだ。
「お、お前らか。おえらいさんとこ行ってたらしいな、お疲れ。そっちの連中は?」
一座に戻ったのはすっかり夜も更けた頃。
同様に戻ってきたアーベルさんと合流して、宿に向かいながら簡単に情報交換。
「派手にやってんなあ・・・だが、その二人を連れて来たのはいい判断だったかもしれんぜ」
どういう事です?
「実はな・・・岩窟劇場支配人のウルヴァが行方不明になっている」
「本当か!?」
これはアダインさんにも初耳だったらしい。
「おう。少なくとも家にゃいないし、娘も行き先を知らねえ」
「"花火師"のヴィレリか。氏族の戦士隊で名を上げた術師だし、身を守ることは出来るだろうが・・・危険がある事を伝えておいた方がいいかもしれんな」
ちなみにアダインさん、ここに来るまでに通行人を捕まえて、自分とこのオフィスに伝言を届けてる。
そつがないなあ。
「オッケー、そう言う事なら三人ともウチで預かろうじゃないか」
「お世話になります。何から何まで・・・」
「乗りかかった船さ。気にしなさんな・・・って、ドワーフだとこう言う言い回しはしないか」
「大体意味はわかりますよ。ドワーフだと『渡り始めた石橋』等と言いますね」
頭を下げるゲティさんと、笑い飛ばす座長。
「おにいちゃん、お帰りなさい!」
もう寝てる時間かと思ったが、リタが抱きついてきた。
俺達を待っててくれたらしい。
「ああ、ただいま。お迎えありがとう」
頭を撫でてやると、にぱっと笑う。ああ、かわええんじゃ~。
そして聞こえるガイガーさんの鍔鳴り。ですからそういう意味ではございません!
「では情報交換と行こうかい。リタもおねむじゃから、手早くな」
微笑む師匠の言葉で、俺達も車座になった。
リタはあぐらをかいた俺の膝の間にごく自然に入り込む。
だから、娘に何も言えないからって俺を睨まないで下さいお父さん!
まずは俺達が火災について、ジェニーさんとカブライさんの裏通りでの買い物について、ゲティさんの家での襲撃と、二人の保護について話す。
それに補足して、岩窟劇場支配人のウルヴァさんの行方不明をアーベルさんが。
そこで、黙って聞いていたジェニーさんがおずおずと手を上げた。
「その・・・私がカブライくんに買い物に行って貰ってたのは。
喉の薬もそうなんだけど、支配人に頼まれた分もあったんです」
「そうなの!?」
勢いよくカブライさんが振り向く。
「う、うん。
男だと買いづらいし、娘さんにも言いづらい薬だって言ってた。
まあその、お年を召した男性だし、そう言う事もあるのかなって・・・」
そのまま赤くなって俯いてしまうジェニーさん。あっ(察し)。
うんまあそのなんだ、歳を取ると色々衰えるよね!
気遣いしてしまうのもしょうがないよね!
「ふむ・・・」
俺はそう思ったし、ジェニーさんもそう思ったようだが、どうやら師匠は違うようだった。
その眼が僅かに細まる。
「支配人に頼まれた薬の名前は覚えておるか?」
「毎回メモを貰うので、余り覚えてはいないんですが、確か・・・」
たどたどしく、いくつかの名前を挙げるジェニーさん。
師匠の表情が次第に曇っていった。
あんま聞きたくないけど、何かありそうですね。
そう言ったらしかめっ面で頷いた。
「これらはな、ある種の薬品の精製に使う触媒じゃ」
「・・・ヤバい薬かい?」
「いや、真っ当な薬や錬金術の実験に使うものが大半じゃ。
そういう意味ではご禁制でもなんでもない。
ただ・・・」
ただ?
「麻薬の精製にも使えるんじゃよ、これが」
「・・・!」
タイトルの元ネタは勇者特急マイトガイン前期ED「危険なGOLD」。
歌自体はそれほどでもないのですが、フィルムと合体するとメチャクチャ雰囲気いいんだこれが。