異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十一話 闇酒はスパイスの香り

 麻薬? 闇酒? わからなくなってきたなあ。

 ウルヴァさんは闇酒に厳しいって言ってたけど、麻薬は使ってたってこと?

 まじめそうな感じに見えたんだけどなあ。

 

「まあそれだけだと何とも言えんが、裏でやってることに気付かれないよう、表ヅラを装うのはそこそこあることだぜ」

 

 と、アーベルさん。それは何となくわかるけど・・・。

 

「闇酒も、一度飲むとやみつきになるから、なんかヤバい成分入ってんじゃないかって噂はあったよ」

「あ、私もそんな話を聞いたことがあります」

 

 こちらはカブライさんとザナさん。ゲティさんたちも頷いてる。

 なんだろうね、黒カレーみたいに脱法ドラッグでも入ってんのか?

 

「・・・」

 

 アダインさんが難しい顔で腕組みしてる。

 何かあるんですか?

 

「それが・・・いや、今更隠すようなことでもないな。

 実は闇酒に紛れて目立たないが、今麻薬が、特に上流階級の間で流行りつつあるんだ。

 そちらの方の流通元が岩窟劇場だという話があってな・・・」

 

 えっ。

 

「あくまで疑惑の段階だ。疑惑のあるドワーフたちが出入りしてたところのひとつが岩窟劇場で、これから当たってみるという話だったんだが・・・あの分じゃそうだったとしても証拠が見つかるかどうか」

 

 派手に燃えてましたものねえ。お客さんの避難は間に合ったところといい、上層階にまだ火が回ってなかった事といい、火元は下の階層の、奥の方・・・。

 座長がぐびり、と蒸留酒を煽った。

 

「つまり、劇場の人間が使うあたり、ってことだね」

「普通火は上から下には燃えうつらねえしな」

 

 証拠隠滅の可能性が大きくなってきたなあ。

 

「・・・ひょっとして僕達、やばいところだった?」

「だから慌てて迎えに行ったのですぞ」

 

 今更ながらに震え出すカブライさんに、溜息をつくラファエルさん。

 ジェニーさんも青い顔をしている。

 

「でも信じられないなあ、あのウルヴァさんが。

 厳しいけど優しい人だったんだよ。闇酒に手を出してクビにしたスタッフにも、ちゃんと再就職先を世話して上げてたし」

 

 ぱっと見だけど確かにそんな感じだったなあ。

 トップ劇場の支配人にまでなる人だし、コネはあるんだろうけど。

 

「そう言えばクビになった人の中にメイクのおじさんがいるんだけど、愚痴ってたわね。

 今更肉体労働なんてまっぴらごめんだって。鉱夫なんか早く抜け出してまた劇場の仕事やりたいって」

 

 ドロップアウトした先は貧乏農場か鉱山か・・・そのへんはドワーフも人間もあんまり変わらんなあ。

 あれ、カオルくんが難しい顔してる。わかりづらいけどガイガーさんも。

 どうしたの?

 その疑問に答えてくれたのは、俺の膝の上のリタだった。

 

「あのね、闇酒飲んでる人が、今鉱山に連れて行かれてるんだって」

 

 なぬ?

 

 

 

 先にネタばらしをすると、ガイガーさん、リタ、カオルくんの三人には動物と話せるリタの《加護》を使って情報収集をして貰っていたのだ。ガイガーさんとカオルくんはリタの護衛重点な。

 それで話を聞いてみたところ、闇酒や、それを飲んでる人は「くさい」のだそうだ。

 動物からすると鼻がひん曲がるような匂いを放つらしい。

 で、そうした人間が出入りしている場所を猫や洞窟ネズミから聞いて調べてみると、どうやら最近見つかったばかりの銀鉱山だったらしい。

 

「それなら記憶にあるな。私の所轄ではないが、有望な銀鉱脈が見つかったらしいと評議会でも話題になった」

「そうなのかい?」

「母さんが旅立ってからの話だからね。大々的に資金を募って、一般人でも小口株を買えるというのでかなりの資金が集まったらしい」

 

 ゲティさんが旅立ってからと言うことは、ここ三ヶ月かそこらの話か。

 

「ああそう言えば、はす向かいのドーロさんが銀山株を買った、みたいな話をしてました」

 

 と、これはザナさん。

 つまり鉱山の配当権を小分けに売りに出して資金を集めた訳か。

 頭いいなあ、ファンタジー版のクラウドファンディングだ。

 ・・・でも怪しいんだよな?

 

「闇酒で身を持ち崩した人間が、手っ取り早い働き口に集まった・・・で一応説明は付くが」

「怪しくはあるねえ」

「怪しいどころじゃねえよ。ぷんぷん匂うぜ。一つ二つならともかく、それだけ重なってりゃ吐いたも同然よ」

 

 アーベルさんが肩をすくめた。

 

「それで、食事をとった店で相席になった人にお酒をおごったりして話を聞いてみたんです。

 銀山がそんなに有望なのか、みんな働きたがってるのか、って。

 借金のカタに連れてこられたり、世話になっているところから紹介されたってひとがかなりいました」

 

 と、カオルくん。ガイガーさんは隣で頷いている。

 まあ多分聞き込みは彼女が中心になってやったんだろうな。えらい。

 言うまでもなくガイガーさんはこう言う事は苦手だし。

 

「まあ、リタが一緒にいてくれて助かりましたよ。子供連れの家族だと、割とみんな口が軽くなるみたいで」

 

 ヌシも策士よのう。

 リタもえらいぞ・・・と頭を撫でてやろうとしたら、すうすうと寝息を立てていた。

 

「ありゃ」

「さすがにおねむみたいだね」

「まあよくがんばったよ」

 

 周囲から微笑ましい視線が集まる。

 

「それじゃ俺がベッドに・・・」

 

 言い切る前に、俺の目の前にガイガーさんの顔があった。

 ゲティさんやアーベルさんですら反応できないこの踏み込み! タツジン!

 

「俺がやる」

「アッハイ」

 

 殺意すら感じる圧迫感。

 俺はコクコク頷いて、ガイガーさんが娘を抱き上げるに任せた。

 

 

 

「さて、それじゃこれからのことだけど」

「銀山に潜入して調べるのが良いのではないか? ラファエルとゲティ殿もいることじゃし」

「え? ちょっと待って下さいよ、いくらなんでも私たちでは」

 

 ああ、なるほど。《幻影変装》の呪文で変装させれば、ってことか。

 

「ですぞですぞ」

「ああ・・・そう言えば外でいっぺん見た事があったねえ」

 

 納得して頷くゲティさん。この場合の外というのは洞窟の外という意味である。

 一方でアダインさんとザナさんは目を丸くしていた。

 どうやらドワーフには幻影の呪文というのは馴染みが薄いらしい。

 見破られたり警戒されたりすることも少なそうだから、そういう意味では助かるな。

 

「でもあの三日月頭はどうなんだい? 幻影を見破ったり、魔力を見たりしないかい?」

 

 あーそうか、その問題があったな。こっちへ来てから姿を見てないが。

 

「三日月頭?」

 

 経緯説明(かくかくしかじか)

 しかし実際何だったんだろう、あのオブジェ人間たち。ホワイダニット! 闇酒密売組織の関係者! とかえらそうに言ったけど、実のところ何ら物証はないわけだし。

 

「ドワーフの伝承だとその手のものがいたりしません?」

「私たちもそう言う事には詳しくないからな。母さんみたいに外を旅したわけでもないし」

「スタロがわからないなら、多分誰もわからないと思います」

 

 首を振るアダインさんとザナさん。

 うーむ。

 結局ゲティさんとラファエルさんを変装させて鉱山に潜り込ませ、俺達は公演の合間にそれぞれ探索すると言う事で会議はお開きになった。

 寝よう、俺も眠い・・・。




>黒カレー
包丁人味平の「ブラックカレー」。
大してうまくもないけど何故か食べたくなる。
気の狂ったスパイスの達人が作った、事実上の麻薬カレー。
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