異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 鉄人28号の超合金が一時期ルーブル美術館に展示されていたことがある

「ウオオオオ!?」

 

 会場に歓声が轟く。

 ドワーフの人達のもの。

 そして、それを呼び起こしたのは俺の手品だ。

 

 トランプお手玉。カードマジック。箱から箱への瞬間移動。鳩や花を帽子から取り出す。

 紙の蝶を縦横無尽に空に舞わせる。鎖で縛ってからの大脱出。

 そして締めはノコギリでの大切断と復元。

 

 《加護》を使って楽して再現してるのもあるが、この世界で滅多に見られないというのはやはり強みである。

 芸人としてヒヨッコである俺が一座の稼ぎ頭をやってられるのもこれが大きい。

 

「ニホンの手妻(手品)か。いやあ、久しぶりに見たなあ」

「250年くらい前だっけ? 冒険者族の芸人がさ・・・」

「もう300年近く前じゃろ。前の前の族長がまだいたころだし」

 

 そんな声が客席から聞こえて来た。マジか。ドワーフ長生きだな!

 年齢はともかく霊猿(ヴァナラ)の森で地球風マジックをやってた人がいるように、こっちの世界で手品やったのは俺が初めてではないらしい。

 とは言え子供の頃から芸人の世界で生きてきた座長が見た事ないって言うんだから、そうそう見られないものであるのは間違いない。

 少なくともここ40年くらいはないってことだからな。

 そう言ったら本気で殴られた。目の前に星が散ったぞ!?

 

「アンタは今言っちゃならないことを言ったっ!」

「今のは小僧が悪い」

「ハヤトが悪いわね」

「ハヤトくんが悪いよ」

「これはお兄ちゃんが悪いかな・・・」

 

 女性陣から怒濤の集中砲火である。

 男性陣からは憐れみと呆れの視線。

 うん、確かに今回口に出しちゃったからそれは俺が悪かった。

 

「大体アタシはまだ28だ!」

「うっそぉ!?」

 

 ミーさん28歳! 昭和28年生まれの28歳! まだ若い!

 それともあれか、10年前から28歳とかそういうやつか? おいおい。

 そう考えた瞬間、もう一度星が散った。今度は口に出してないのに!

 

「今のも小僧が悪い」

「ハヤトが悪いわね」

「ハヤトくんが悪いよ」

「これもお兄ちゃんが悪いかな・・・」

 

 理不尽!

 

 

 

「いってぇ・・・」

「痛くなきゃ覚えないんだよ。特にアンタみたいな馬鹿はね」

 

 額をさすりながら座長についていく俺。わざわざ治療呪文使用禁止を言い渡す座長は鬼や!

 うむうむと頷いてそれに従う師匠もひどい!

 

 それはそれとして今日の興行を早めに終えての買い出しである。

 と言っても食料品はリタ、アルテ、カオルくんとザナさんの娘チームが担当している。

 俺は座長と師匠のBBAチームの荷物持ち担当だ。

 

「ぐべばっ!?」

 

 座長の拳が俺の顎を、師匠の杖が後頭部を見事に捉えた。

 クロスボンバー! 死ぬ、これは死ぬ!

 

「死ぬ死ぬと言って死んだ試しはないね」

「これだけ言われてそういう事を口に出すというのは、つまり殴られて喜んでいると解釈していいんじゃな?」

 

 だから言うてへん!

 

「というかどこ行くんです俺達」

「言ったろうが。ドワーフの細工物や織物を見に行くんじゃ」

「旅芸人である以上、そうした小道具とか色とりどりの幕ってのは必要だからね。

 せっかくドワーフの里に来たんだ、名工の技ってやつを見せて貰おうじゃないか」

 

 ああ、オブライアンさんもついてきてるのってそういう事か。

 

「そういうこと。ドワーフの工芸品を見られるなんて滅多にないチャンスだよ!」

 

 キラキラと眼を輝かせるよく言えば学究、悪く言えばオタク。

 とは言え多方面に知識を蓄えてるのはほんと大したもんだ。

 

「審美眼という点ではわしはさほどでもないからの。こう言う時はこいつが頼りになるわい」

 

 そう言って師匠は最初の店の暖簾(のれん)をくぐった。・・・え? なんで暖簾あるの!? ファンタジー世界の、それもドワーフの店に!

 

「そりゃお前の先輩どもの仕業に決まっておろうが。虫除けには丁度良い工夫だからの」

 

 サーセンwww

 

 

 

 一歩店に入ると、鮮やかな色彩が目に飛び込んできた。

 色とりどりの布。織物やタペストリ、絨毯や旗、布人形。

 どれも原色が強く、エキゾチックな感じで素晴らしい。

 ・・・これ、ドワーフの作品なんです?

 

「そうだよ? ドワーフだって別に鍛冶や石工しかしてない訳じゃない。

 確かにドワーフと言ったら金物や石だけど、織物や木工だって大したものさ」

 

 それから木工の店、刺繍の店、針金細工の店、金紙銀紙による飾り物の店などを色々と見て回った。ゲティさんの紹介してくれた店だけに、どれもこれも一級品。

 でかいキノコを乾燥・彫刻して、発光ゴケと組み合わせることで、芸術的ランプスタンドにしたのは思わず息を呑んだ。しかも発光ゴケだから電気代が要らない!

 まあドワーフの人は闇の中でも目が見えるので、ただ物珍しいだけの作品になってしまっているのだが・・・

 

 そして最後に、もちろんドワーフ工芸の真髄である金属細工と宝石細工の店。

 いやー、凄かった。ルーブル美術館とか行ったらあんな感じだろうか。

 鉄神五十一号の超合金が一時期展示されてたらしいがマジかね。

 それはともかくカオルくんなんかは美術品にも興味があるらしいから、時間があれば連れて来たいな。

 座長が笑って肩を叩く。

 

「意外にマメだねえ、あんたも」

「何がです?」

 

 きょとんとしてそう答えたら、三人とも妙な顔をした。

 

「・・・何でもないよ」

「そうじゃの。まあそれが小僧の悪いところであり、良いところでもある」

「悪い方が大きい気もするけど、まあ半人半馬(ケンタウロス)に蹴られたくはないからやめとくよ」

 

 何が言いたいんだよあんたら!

 後それ日本のことわざが元なのか?

 人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に堕ちろ!

 

 

 

「なんだい、派手な奴がいるねえ」

 

 歩き回って腹が減ったので、ちょっと休んでいこうと酒場に入る。

 なおドワーフの言葉で「酒場」というと、飯屋と風呂屋と床屋と甘味処とマッサージ屋と公民館を全部指すらしい。

 普通の酒場はメシ酒場、風呂屋は風呂酒場、床屋はヒゲ酒場。

 どれだけ酒が好きなんだ、ドワーフの人達。

 

「それだけ今回の事は重要って事だよ・・・なんだろうね、あれ?」

「さあのう。とは言え随分怪しい奴ではあるな」

 

 俺達が注視する先。

 酒場の中央で。

 

「ははははは! みんなじゃんじゃんやってくれ!

 銀はいくらでもあるんだ!」

 

 銀の小粒をばらまいて、手当たり次第に酒をおごっている若いドワーフがいた。




>手妻
手品の古い言い方です。

> ミーちゃん28歳! まだ若い!
「パタリロ!」や「翔んで埼玉」などの作者魔夜峰央先生の持ちネタ。50年経っても28歳。
「昭和28年生まれの28歳」は実際に単行本の作者紹介に書いてあったw

> 10年前から28歳とかそういうやつか?
こっちは声優井上喜久子さんの17歳でーす! おいおい。が元ネタ。
なお一部の女性声優の間では17歳教という宗教が広まっているそうな。

>ルーブル美術館と超合金
これはマジです。
一時期「太陽の使者」版の鉄人28号の超合金が展示されてました。
まああれ、再度のアニメ化嫌がってた横山先生が、見た瞬間に手の平返ししたってレベルのグッドデザインですからね。
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