異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十話 奇跡のスーパーボロボット

 翌日。

 午前の公演が始まる前に俺とアーベルさん、オブライアンさんは野営地を抜け出した。

 

「で、これからどうするんです」

「何も難しいこっちゃない。ばあさんがあいつらの記憶を抜いたからな。

 ヤクザ者どもの元締めはわかってるから、後はそいつらの根城に忍び込んで証拠を見つけるだけさ」

 

 何でもないことのように言うアーベルさんに俺は感心する。ペトロワ師匠といい、この人たちやっぱすげえわ・・・実は旅芸人一座のフリをした秘密部隊とかだったりしないよね?

 ベ●ナムで鳴らした特攻野郎とか、夜空の星が輝く影で即参上する始末人とか、異界との境界都市を守る元吸血鬼ハンターの秘密結社とか、ゴリラがゴリラでゴリラな人達とか。

 

「へー。記憶を抜くってそんな魔術があるんです?」

「何言ってんだ。あの奴隷商人の屋敷の見取り図作る時にお前もやったろうが」

「あれかー・・・」

 

 脳みそに指を突っ込まれてクチュクチュされるようなあの感触は思い出したくもない。

 まあ役には立ったけどさあ・・・悪人とは言えヤクザ者達に同情を禁じ得ない俺であった。

 

 そんな感慨を振り切り、俺の出番まで三時間はないので、小走りに町を駆けていく。

 ヤクザ者達から引き出した情報によれば、貧民街にほど近いところにあるお屋敷に奴らのボスがいる。

 多分アーベルさんの中ではこれからの完璧な計画も出来てるんだろう。

 前回その手際を間近で見た俺の中には、彼への確固たる信頼がある。

 

「で、屋敷についたらどうするんです?」

「取りあえず忍び込んでそれから考える」

「「・・・」」

 

 思わず視線を交わす俺とオブライアンさん。

 この人意外に行き当たりばったりだな!?

 

 

 

「うわあああああああ!?」

 

 この世界では金持ちの家にしかない高価なガラス窓を破り、俺とアーベルさんが屋敷の外に飛び出した。

 一瞬遅れて壁が丸ごと吹っ飛び、2mを越す巨大な男が飛び出した。

 全身が真っ黒に染まり、表面が金属の光沢を帯びている。

 

「魔法!? それともあれも《加護》ですか!? でも怪力と体が硬くなるのと、二つの《加護》は持てないんですよね!?」

「多分固くなる方が《加護》だな! 石壁をぶち破る腕力は、単純に鍛えたんだろ・・・うわっ!?」

 

 巨大黒光り男が拳を振り下ろし、庭の石畳が爆発四散する。

 ただ鍛えるだけでここまでいけるんかい! 人間の可能性は無限だな!

 そう現実逃避する俺。破片が当たって痛いが、足を止めたら死ぬ!

 ローリンズ商会と同じで忍び込んだは良かったが、いきなり変なのが出てきて追いかけ回されるとかついてない!

 

「があああああああ!」

 

 大男がまた拳を振り下ろす。

 飛び散る破片がマジで痛い! というか刺さってる!

 

「跳ぶぞ!」

「はいっ!」

 

 2mほどのレンガ壁を跳びこえる俺とアーベルさん。

 直後、壁が爆発して大男が通りに飛び出して来る。

 

「ちょっと! こっちに来ないで下さいよ!?」

「薄情者!」

 

 顔を引きつらせた変装済みオブライアンさん(外の路地で待機していた)がそれでも水の弾丸で牽制するが、顔面に当たってもこの爆走戦車(ジャガーノート)はびくともしない。

 あれスイカくらいは割れるんだけどなあ!?

 

「アーベルさん! 無敵のナイフさばきで何とかして下さいよぉ~~~!」

「刃が通らないのにどうしろってんだよ! 正直今どうにか出来るのはお前の《加護》くらいだ!」

 

 路地を今度は三人で逃げながら情けないことを叫ぶ俺達。

 幸い筋力はあっても体が重いのか、あちらの足はそれほど速くない。

 

「ハヤトくんの《加護》ですか! また何か新しいことをやってくれるんですね!?」

 

 目をキラキラさせるオブライアンさん。ぶれないな、あんた。

 ええい、やっちゃるわい! 

 

(・・・今気付いたんだけどさ、力持ちの"ろぼっと"に変身してガイさん担げば良かったんじゃないの?)

 

 酔いつぶれたガイさんを運ぶのに苦労した後、ずっと考えてたパワー特化ロボ・・・!

 

「ごああああああああ!」

 

 くろがね色の大男が振り下ろす拳を、振り向いた俺の左手が受け止めた。

 

「ごあ!?」

 

 続けて振り下ろされたもう一方の拳を、今度は右手で受け止める。

 がっぷり手四つ。2mを越す筋骨隆々の大男と、身長170センチ、細身でろくに筋肉の付いてない俺が組み合って互角に押し合っている・・・!

 

「くろがね色ならこっちがオリジナルだぜ・・・まあ、お笑い担当のコメディロボだけどなあ!」

 

 デモゴディΣの脇役ロボ、ボロロボ・ボボット。

 超合金で全身を固めたデモゴディと違ってただのくず鉄製なので、防御力は低い、動きは鈍い、武器は付いてない、センサーは操縦者の目視のみ、空も飛べないし海に入れば浸水と、名前の通り非の打ち所のないボロロボットである。

 しかし、腕力だけなら65万馬力のデモゴディに匹敵する怪力を誇る。

 

 今回俺が呼び出したのがこのボボットだった。

 もちろんその怪力が理由だが、それ以上にボボットでなくてはならない理由がある。

 ロボットアニメも沢山あるから、当然怪力を売りにしてるロボもそれなり以上の数が存在するのだが、それらのロボは怪力以外にも様々な特性を持っている事が多い。

 ミサイルやビームを装備しているとか、空を飛べるとか、水中や地中に適応しているとか。

 

 その点ボボットは「怪力以外何もない」と明言される珍しいロボだ。つまり、他の能力の再現にリソースを割く必要がない。

 加えてまだ《加護》を使いこなせない俺でも発動させられるだろうという思惑もあった。ぶっつけ本番で成功したところを見ると、満更間違いではなかったようだ・・・って!

 

「ぐぐぐ・・・!」

「ぐああああ・・・!」

 

 動かねえ! マジかこいつ! 人間サイズとは言え65万馬力のデモゴディΣだぞ! それに匹敵するパワーのボボットだぞ!?

 この世界の人間、鍛えただけでどれだけ強くなれるんだ!

 こいつ相手ではアーベルさんもオブライアンさんも打つ手がない。

 こうなれば我慢比べだ・・・と思った瞬間、岩と岩がぶつかるような凄い音がした。

 

「が・・・」

 

 目をぐるん、と回転させ、白目を剥いた大男が倒れる。その肌からすうっと色が引いて、浅黒くはあるが普通の人間の肌になった。

 

「三人とも、だいじょうぶ?」

「アルテ!」

 

 大男の後ろにいたのは、どこで拾ってきたのか鉄のハンマーを持ったアルテ。

 気が抜けたのか、腰が抜けてぺたりと座り込んでしまう俺。

 

「アルテぇ・・・助かったぁ・・・」

「よしよし、よくやったよくやった」

 

 苦笑しながらアルテは俺の頭を撫でてくれた。




頭を撫でられる系主人公・ハヤト
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