異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十三話 おだいじん

「ねぇ~、アタシ『毒竜(ヒドラ)殺し』飲みた~い」

「いいとも! 親父、毒竜殺し瓶丸ごと一本!」

「きゃー、すってきー!」

 

 チンピラっぽいチャラ男ドワーフに群がる女たち。

 なんだろうねこの茶番。

 今時ドラマの中でも見ないような、昭和の成金見てる感じ。

 いや、日本では令和の世でも健在なのかも知れないし、この世界では最先端なのかも知れないが・・・ヤな最先端だな。

 

「よう、景気いいじゃない。ちょいとお裾分けしとくれよ」

「お? アンタ人間か。珍しいなあ。いいともいいとも、お仲間も一緒に座って楽しくやろうじゃないか!」

 

 そしてそこにさらっと混じっていく座長。うーむ、この呼吸は俺には真似できん。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「カンパイ!」

「カンパーイ!」

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 メッチャ強い蒸留酒を大ジョッキでグビグビ飲むチンピラドワーフと座長。

 俺と師匠は同じテーブルの隅っこでミルクをちびちびやっている。

 オブライアン? ばかめ、奴は(ヒドラ殺しをうっかり飲んで)既に死んだわ!

 

「いやっはっはっは、人間のお姉さん強いねー!」

「いやあ、アンタも中々!」

 

 肩を抱いてジョッキを煽るふたり。何かもうマブになってる。

 いやモバイルスーツのコンビ戦術のことではなく。

 

 この人割とマジで人間力は高くて、こう言う時には頼りになる。

 他にこの飲んべえドワーフについてこれる奴がいなかったとも言うが。

 実際周囲は割と死屍累々である。蒸留酒一気飲みしてんじゃありませんよあなた方。

 ドワーフが口をでかく開けてガハハと笑う。いやほんとでかい。俺の拳なら二つくらい入りそう。

 

「そう言えばお姉さんなんつったっけ? 俺はザレロ!」

「シルヴィアさね。しかしアンタ景気いいねー。余程のもうけ話でも掴んだのかい?」

「あー、それね。ここだけの話、新しく銀鉱山が見つかってさ。親父の残したへそくりで株を買ったんだけど、その配当だけでこれだよ! 一生遊んで暮らせるね!」

 

 ・・・えっ?

 

「へえ、凄いじゃん! 先を見る目があるね!」

「いやははは、それほどでも・・・あるね!」

「キャー!」

「すっごーい!」

 

 座長のみならずまわりの女の子・・・女の子?ドワーフはよくわからんが取りあえず女の子としておこう、にもおだてられて調子に乗るザレロ。

 

「すげえなあ・・・」

「例の銀山株か」

「確か銀貨一枚からだったな・・・それくらいなら・・・」

 

 周囲にたむろする他の客もざわついてる。

 これは・・・まさかなあ。

 ともかくどんちゃん騒ぎはそれから一時間くらい続き、その間俺達はちびちびとミルクを舐め続けた。

 

 

 

「意外なところで手掛かりが見つかったねえ」

 

 どんちゃん騒ぎしていた酒場を出た途端、座長がいつもの雰囲気に戻った。

 最後の方はあのドワーフもフラフラしてたのに、この人は顔がほんのり赤いかってくらい。

 どれだけ酒強いんだ。化け物か。

 

「アタシがあんなのと楽しく酒飲むわけないだろ。

 最初からそのつもりだったさあ」

 

 嘘だな。

 

「嘘じゃな」

「嘘っぽいなあ」

「何だとぉ!?」

 

 オブライアンさんにまで突っ込まれてる。

 いや最初は絶対タダ酒しか考えてなかったでしょあんた。

 銀鉱山の話が出て来てからは違ったかも知れないけど。

 

「・・・とにかく、途中からは話を引き出すために飲んでたんだよ。

 あのタコスケ野郎に調子あわせてね。

 興味深い話が聞けたんじゃないかい?」

 

 それはまあ。

 あいつ、多分サクラですよね?

 

「じゃろうの。となると目的は・・・」

 

 銀山株の販売ですね。資金集めかな? でも本当に銀が出るならわざわざ株売りさばく必要ないよな。ひょっとして何かの偽装なんじゃ? もしくは詐欺か。

 

「なるほどねえ・・・」

 

 はいはい見かけによらず見かけによらず。

 

「はは、そう腐りなさんな。アンタはちゃんと頭が切れるよ」

 

 へいへい、そりゃどうも。

 

「そう言うわけだからご褒美を上げよう。一杯付き合って上げるよ」

 

 それアンタが飲みたいだけだろ! あれだけ飲んでまだ足りないか!

 

「アンタは茶でもミルクでもいいさあ。いやあ、あいつ下品だったろ。気分悪くなっちゃってさ。

 それでハヤトに付き合ってもらえたら口直しができるかなーって」

 

 ええい、だから触るな! 抱きつくな! 酒臭い!

 

「なんだい、つれないねえ。こーんな美人さんの体の感触を楽しめるってのにさ。

 ほーれほれ」

 

 むにむにと乳房を押しつけてくる座長。

 実際その体の感触は・・・じゃなかった、酒臭いだけで大幅マイナスなんだよ!

 だが今は力ずくで引きはがせるぜ! 荷物持ちのために《加護》でボボットの力を引き出してるからな!

 そこ、情けないとか言うんじゃない! マジで力強いんだよこの人!

 

「もう、ホントにつれないねえ。あんたなら一晩付き合ってもいいってのにさあ」

 

 ・・・そ、そんな誘惑には屈しないぞ! 作法なき誘惑に揺れる心無し!

 

「心は揺れてないかもしれんが声が揺れておるの」

「間があったね」

 

 ええいうるさい!

 一晩だけとか言ってホイホイ誘いに乗ったら逃げられなくなるパターンだこれ!

 

「ちっ」

 

 舌打ちしてんじゃねー!

 ・・・というかこれ、俺本気で狙われてるのか? 座長に?

 え、やばい。ちょっと顔が赤くなる。

 

「まあそれはいいさ。今はあのドワーフのガキのことだ」

 

 いきなりマジメに戻らないで頂きたい。気温差で風邪を引く。

 

「諦めろ小僧。こいつと付き合っていたら、冬がいきなり夏になったり、春からいきなり真冬に逆戻りするくらいは日常茶飯事じゃ」

 

 季節の変わり目過ぎる! で、何です?

 

「まだあの馬鹿ガキ、店にいるだろ? アンタ透明になって後をつけな」

 

 銀山のステマばらまかせてる黒幕を探るんですね。

 

「そこまでできれば最高だけど、ヤサがわかればアーベルに探らせることだって出来る。

 できればそこまでは探ってきとくれ。わかんなかったら明日の昼前までには戻ってきな」

 

 徹夜仕事かあ。

 まあ帰ったらゆっくり寝るとしよう。

 

「何言ってんだい、そのまま出番だろ。興行に穴開けんじゃないよ」

 

 鬼かアンタは! いや鬼だったな!

 ぶつくさ言いつつ俺は荷物を座長に渡し、路地に入り込んで姿を消した。




>ザレロ
名前のネタ元はザクレロです(ぉ


>作法なき誘惑に揺れる心一切無し!
覚悟完了!
まあこの場合は相手が人外の化け物(変身前は美少女だけど)なので、さすがにシルヴィアさんに対してど許されぬシツレイですがw
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