異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十六話 突然降り出す雨のようなトラブル

「ザナさんがいない!?」

「そうなんだよ、気付いたら姿が見えなくて、こんな手紙が・・・」

 

 夕方。公演が終わってしばらく後片付けをしてたところで泡食って舞台裏に走り込んできたのはカブライさん。

 手紙には「弟さんの不始末についてお話ししたい。二丁目先の角にいるものに案内させる」との文章。

 

 あああああ、タチの悪い! これじゃザナさんが誰にも相談できずに出ていくのは避けられん! そしてなんてタイミングの悪い!

 アルテとカオルくんはリタとジェニーさんと一緒に買い物だし、ラファエルさんとゲティさん、アーベルさんはそもそもいない! いや、それを見越して!?

 そもそも何故ザナさんだ! ゲティさんアダインさんの関係者だってのがばれたか!?

 

「落ち着きな! うだうだ考えてたってわかりゃしないよ!」

 

 はい、落ち着きました!

 不思議なもんで、この人に一喝されると本当に落ち着く。

 人間の格という奴だろうか。

 

「とにかくアルテ達にはばあさんに念話で伝えてもらって、アタシ達は先に行くよ! ガイガーはここで待機。

 ばあさんと相談してよろしくやっとくれ。ばあさん、場所は?」

「・・・三階層下、東南の隅のナガリ第七長坑道を移動しておる。

 今ならまだ間に合うやもしれん!」

 

 了解! ドリル・・・はさすがにだめだろうなあ!

 

「小僧一人くらいの穴なら崩落はせんじゃろうが、それでも下手な事をしたら洞窟中のドワーフを全て敵に回すぞ。走るなり飛ぶなりせい」

 

 了解・・・ならこれだ!

 チェインジ・ガリアード! マニューバーモード!

 

「「ファーッ!?」」

「鉄の・・・なんだいこれ!?」

 

 まあ見た事も聞いたこともあるまい。

 俺が変形したのは1トンくらいの巨大バイクガリアード。80年代のOVA、「ギガゾーン33-4」に登場するパワードスーツ型ロボットに変形する巨大バイクだ。

 飛んでいってもいいが、狭い所も多いドワーフ洞窟だと多分こっちの方が早い!

 

『いいからシルヴィアさん、乗って! 突き出た取っ手を握る!』

「わ、わかった・・・こうかい? ひえっ!?」

 

 なんとか俺にまたがったシルヴィアさんの体を、オートでベルトが固定する。

 即座に走り出す俺。

 

「ひぃゃああああああああああ!?」

 

 シルヴィアさんの悲鳴を引きながら、俺はドワーフ洞窟を疾走していった。

 

 

 

「うお!」

「なんだ!?」

「きゃあ!」

「コラァ!弁償しろ!」

 

 大通りを疾走し、時には圧縮空気を噴出して大ジャンプする俺。

 通行人の皆さんと屋台のおじさんすいません! 後で弁償しに来ますから!

 

「そこを左! 階段を下り終わったらすぐ左折して、そこからまた階段だ!」

 

 了解!

 意外にナビとして有能ですねシルヴィアさん!

 

「意外に、は余計さ。急ぎな! 人はねなきゃ何してもいいから!」

 

 うっす!

 

「きゃああ!」

 

 って、通路の中がドワーフで一杯だ!?

 ええい、ままよ!

 

「うわきゃああああああああ!?」

 

 響き渡るシルヴィアさんの悲鳴。

 後部のロケットを吹かし、姿勢制御用の圧搾空気も全開にして壁を駆け上がる!

 

『おぉぉぉぉらぁぁぁぁあぁ!』

 

 気合い一閃、壁から天井に乗り上げる。

 そのまま天井を全力でかっ飛ばして、人混みの切れ間で反対側の壁に降り、そのまま着地して走り去る。

 驚いてひっくり返った人たちすいません!

 そのまま広いメインストリートから、人のいない坑道らしき場所に入る。

 「ナガリ第七長坑道」という看板がちらりと見えた。

 

「ふうっ・・・」

 

 そこでようやく我に返ったのか、シルヴィアさんが息をついた。

 

「よくやったよ。マジでやっちまったか!って思った」

 

 まあ俺もかなりギリギリでしたわ・・・しかし。

 

「なんだい?」

 

 シルヴィアさんもあんなかわいい声出すんですね。

 あれだけなら十代のいたいけな娘でも通る・・・

 

「・・・」

 

 どすっ、と鈍い音。

 俺のハンドルと座席の間、普通のバイクなら燃料タンクがあるところにシルヴィアさんの曲刀が突き刺さった音だ。

 

「アタシが、なんだって?」

 

 満面の笑みを浮かべたシルヴィアさん。

 人間のままなら多分おしっこちびってたくらい怖い。

 

「それで? アタシが? なんだって?」

 

 いえ、何でもありません。今はザナさんを助けに行くのが先決ですよ!

 

「OK、それでいい」

 

 変わらぬ笑顔のまま、シルヴィアさんが曲刀の切っ先を抜く。

 

(何をやっとるんじゃお前らは)

 

 呆れたような師匠の念話が聞こえた。

 

 

 

 案内の男に連れられてザナがその場についたとき、床には血まみれの弟が転がっていた。

 

「ザレロ!」

 

 駈け寄る姉。弟が僅かに首を動かしてうめく。

 

「おっと」

「きゃあ!?」

 

 駈け寄って弟を助け起こそうとしたザナを、まわりを囲んでいたゴロツキ二人が両腕を取って拘束した。

 

「離して! 離して! あなたたち何なんですか!」

「はじめまして。あんたがザナさんだな」

 

 この場のトップらしい中年ドワーフが、ゴロツキの群れの中から歩み出た。

 ザナにもわかるくらい、周囲のゴロツキとは格の違う雰囲気の持ち主。

 

「弟さんがちょいとこっちの商売に穴開けてくれやがってなあ。

 こいつの稼ぎじゃ穴を埋めるなんて到底無理だからよ、美人のお姉さんに協力して貰えねえかなってさ」

 

 周囲から上がる下卑た笑い声。

 ザナの拳が強く握られる。

 ヤクザの借金取りのすることなど大体同じだ。

 男は鉱山行き、女は風俗。

 自分はどうなるのか、不安に必死に耐えるザナにかけられたのは、しかし意外な言葉だった。

 

「お前さん、あの《岩骨》ゲティにかわいがられてるんだって?

 しかも評議員様とも近い関係らしいじゃねえか。それでな、ちょっと仕事を・・・」

「お断りします」

 

 自分でも驚くほどきっぱりした声が出た。

 周囲のゴロツキからも驚きの声が上がる。

 

「私個人のことであればいくらでも。

 でも、私たち家族の事でよそ様にご迷惑はかけられません!」

 

 びりっ、と衝撃が走った。

 沈黙。

 怒気を発する中年ドワーフに恐れを為して、ザナも周囲のゴロツキも声を上げられない。

 

「そうかよ。大人しく協力してくれれば痛い目に会わずに済んだんだがな。

 嫌ならいい。お前さんの身柄さえあればいくらでもやりようは・・・ほげぇぇぇっ?!」

 

 激怒の表情のまま、ザナに手を伸ばした中年ドワーフ。

 怯えたザナが目を閉じた瞬間、静かな怒声が悲鳴に変わる。

 目を開いた彼女が見たのは、中年を丸い前足で蹴り飛ばす鋼鉄の馬?だった。




買い物のメンバーに何故ドワーフが入らずジェニーが入っているかですが、彼女もラゼルスの生活が長いので買い物のガイドには役に立ちます。もちろん変装付き。なおカブライは役に立ちません。


>ガリアード
もちろんメガゾーン23のガーランド。
企画段階ではこの名前だったとのこと。
タイトルも主題歌のもじり。
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