異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第二十九話 銀山の謎
「そうか、こいつはロド鉱石・・・ヘロインの20倍の効果があるロド麻薬の原料だ」
――コブラ――
「おら、さっさと運びな! 次はそっちの大道具!」
「はいっす、ママ!」
「ママはやめろ!」
「あひぃ♪」
「それもやめろっ!」
「あひぃ♪ もっとぉ♪」
結局ザレロもしばらくウチで面倒見ることになった。
シルヴィアさんにケツ蹴り上げられないとすぐサボるのだが、蹴り上げられると豚みたいな声を出して喜ぶ。どうしようこれ。
「・・・ザレロだよな? 何がどうなってこう言う事に?」
「わ、私にも何が何だか・・・」
ザナさんと、こちらも昔馴染みだったアダインさんも深刻な顔してるが、多分もう手遅れだよあの人。
「もう一週間近くになるけどさあ、ゲティさんとラファエルはどうしたんだい?
何か掴んでないの?」
アダインさんも交えての秘密会議。シルヴィアさんが話題を振ると、師匠が首を振った。
「本当に何もないようじゃ。給金や待遇も悪くないが、不自然なほどに良くはない。
食事に闇酒がついて、それではまって闇酒に金を使う者も多いようじゃがの。
ただゲティ殿が言っておったんじゃが、有望な銀鉱脈にしては、いい銀鉱石が出てこない気がすると」
「ふむ・・・担当の議員にそれとなく水を向けてみましたが、やはり有望な鉱山らしいと言っておりました。母もスタロもそちらは詳しくないはずですがそのへんはどうでしょう? まあ私もさほど詳しいわけではありませんが」
難しい顔のアダインさん。
「まわりの鉱夫達に話をしてみても、経験者は同じような事を言うらしい。
そもそも程度の低い銀鉱石であればともかく、『有望な』とつく位の鉱脈なら、純度の高い銀のかけらが石に混じって出てくるくらいはするはずじゃ。
確認してみたが、そうした鉱石は見た記憶がないと明言しておったの」
「なるほど・・・」
ますます鉱山は偽物で、銀山株売るためのネズミ講とかそう言う可能性が大きくなってきたなあ・・・。
「けど、それはそれでくさいね」
どういう事です、シルヴィアさん?
「いやね。アタシが詐欺師で、銀山株売りつけてドロンする気ならさ、そもそも鉱山なんか掘らないよ。金の無駄だもの。
むしろ鉱夫に違和感抱かれてバレる危険性すらあるだろ」
確かにそれはそうですね・・・じゃあ鉱山自体にも意味はあるって事か?
「有望な銀鉱脈だと思ったらいまいちで、今までの投資分を取り戻すために銀山株で資金を集めて自転車操業しているとか?」
と、カオルくん。だとしたらお粗末な話だが・・・
アルテが首をかしげる。
「よくわかんないけど・・・その場合さ、あの三日月頭とか麻薬とか闇酒はどう関係してるの?」
「その辺の話は今からするつもりじゃった。少なくとも麻薬と闇酒は関係しておる。
銀のかけらは見たことがないが、青い石は何度か見たそうじゃ」
!
「『腐れ銀』ですな。
私も昔話に聞いたことはありますが・・・詳しいものにも尋ねてみましたが、長年鉱石を研究しているその男でもラゼルスで見た事は無いそうです。
ただ、ここから西のドワーフの洞窟では定期的に腐れ銀が取れる鉱脈があり、絵の具や鍛冶に用いられるという話も聞きました。鋼に混ぜると錆びなくなるのだとか」
へー。まるで魔法の銀だな。
もしくはステンレスか。
「こちらの世界で魔法の銀というとミスル銀じゃな。古代魔法文明で魔法的に作られた金属で、
まあそれはおいておいて、アーベルに麻薬の現物を手に入れて貰ったが、これにも腐れ銀が使われておった。つまり闇酒と麻薬は、本質的に同じものだということじゃ」
そうなると奴らの目的は麻薬と闇酒で利益を上げることなのか?
「これだけ市場を席巻している闇酒の供給元だとすれば、多少の人件費の元は取れるじゃろ。
その人件費もかなりの部分は闇酒で回収しておるようじゃしな」
麻薬中毒患者に麻薬掘らせてるわけですか・・・悪質。
「許せないね」
カオルくんもマジ顔になってる。
麻薬に強い忌避感を抱くのは、日本人なら当然の感覚だな。
「そこまではわかるんだけど、三日月頭がわからないねえ。
超自然の存在なんだろ?」
「そちらも改めて調べて貰ったが、それらしきものは思いつかないという報告だった。
ザナ、ザレロ。お前達から見てどうだ?」
「そうね・・・」
「お、俺は朦朧としてたんで・・・」
考え込むザナさん、びくっと反応するザレロ。
多分堅物のアダインさんの事を苦手にしてたんだろうなあ・・・まあそれはさておき。
「昔話に出てくる悪魔とか、悪い精霊みたいな感じかしら。
私もゴブリンは見た事はあるけど、そんなのじゃない。
生き物とは思えないような錆びた銅の塊で、大きな操り人形みたいな姿なんだけど、ドワーフや動物みたいに滑らかに動くの。
本当に気持ち悪くて怖かった」
そうだよなあ。あれ明らかに超自然の存在だ。普通の生き物じゃない。
少なくとも単なる麻薬組織にあんなのがいるとは思えない。
それとも組織に強力な魔法使いがいて、そいつがオブジェ人間たちを操っているんだろうか・・・?
「そこは考えてもわからないねえ。アンタも言ってたろ、「誰が」じゃなくて「何故」だって。
少なくともあの三日月頭が密売組織に関わってるのは確かだし、今後もあいつらが出てくる前提で動くしかないね」
おっしゃる通りで。
その夜、ラファエルさんとゲティさんとの定時連絡。
坑道の奥の方で何か見つかったらしい。
ラファエルさんたちが掘っていたのとは別の坑道らしく、詳しい事はわからないけど何かが見つかった坑道はふさがれてる。
それを探るのに誰かよこしてくれ、という話だった。
「裏口を教えてくれたから、そこから入ってくれということじゃった」
この手の事ならアーベルさんか?
「いや、奴は何か手が離せないらしい。
それに見つかったのは魔法的なものじゃろうからまずはわしじゃろうな。
それと腕の立つものと口の達者なもの、後はお前じゃ」
俺ッスか?
「洞窟の中に忍び込むんじゃ。穴を掘って脱出できる小僧を外すわけが無かろう」
そりゃそうか。
「数は少ない方がいいから、まずはばーさん。ハヤト。そして腕と口であたしかな」
これで三人、最低人数か。
一番腕が立つのは文句なしにガイガーさんだが、あの人に口先三寸で活躍しろというのは師匠に美味しい料理を作れというようなもの・・・痛い!
「料理がヘタで悪かったの」
せやから何も言うてへん!
「心が言っておったんじゃ」
「ダダ漏れだったね」
「本人以外誰も反論してないんだよなあ・・・」
洞窟の風がやけに身に染みるぜ・・・