異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十話 口も八丁胸付き八丁

 予定通り俺と師匠とシルヴィアさんと、三人で潜入する事になった。

 三人ともドワーフの《幻影変装》を身に纏ってる。

 師匠はまだしもシルヴィアさんは身長160センチあるし、俺も170くらいあるんですけど大丈夫です?

 

「まあ、ちょっと無理しておるの。

 余り激しく動くと、幻影に違和感が出てばれる可能性もあるから気を付けるんじゃぞ」

「オーライ」

 

 三人で頷きあい、俺達は出発した。

 

 

 

「いやあ、すいませんねえ。どうしても外の酒場で飲みたいってこいつが」

 

 言いつつ、俺の肩をバシバシ叩くシルヴィアさん。

 俺達の目の前をふさいでるゴロツキみたいな警備員からすると、おばさんのドワーフ鉱夫が気弱そうな若いドワーフをバシバシ叩いてるように見える。なお師匠は無口なおっさんドワーフの設定。

 

「お前らの顔に覚えがないんだが・・・大体ここのことは誰から聞いた?」

「おととい来たばかりですんでね。ここのことは第七坑道のゲトレットとタローンから聞きました」

 

 ゲティさんとラファエルさん・・・スタロさんの偽名である。

 それと同時に、さりげなく警備員のポケットに銀貨を滑り込ませる。

 

 実のところ、勝手な外出は禁止されてるらしいのだが魚心あれば水心有り、鎚心あれば金床心あり。

 この裏口を使って外出する鉱夫というのは意外に多くて、こいつらのいい小遣い稼ぎになっているのだそう。

 ポケットのなかをちらりと見て、それで納得したのか、警備員が頷いた。

 

「ああ、あいつらか。しかしお前さん、いい声してるな。それも頭の上から声が出てるみたいだ」

 

 ぎくり。

 やべえ、確かにそりゃそうだ!

 ドワーフは高い人でも150センチくらい、シルヴィア・ドワーフは女性なのでもう少し背が小さい。本来160センチくらいのシルヴィアさんが声を出したらそりゃ違和感も出る。

 

「昔は歌手もやってましたもんでね。声に関してはこういうものらしいですよ。

 突き抜けるような声っていうでしょ」

「なるほどなあ」

 

 感心したように警備員が頷く。

 アーベルさんも大したもんだが、よくもまあこれだけすらすらデタラメが出てくるもんだ。

 俺も感心してうんうんと頷きたいくらい。

 顔に出ると困るので片手で下半分隠してるけど。

 

 ともかくそれで俺達は無事裏口を通して貰えた。

 なお、師匠に言わせると口先三寸と同じくらいチートなのがドワーフのしゃべり方、方言とか言い回しみたいなものまでを完全にコピーしてることだそうな。俺にはよくわからんけど。

 

「そりゃ小僧はオリジナルじゃでの。慣れればどんな言葉でも聞き取れるし、喋れる様になる。

 小僧からすれば、全てニホンの言葉で話しておるように聞こえるのじゃろう」

 

 言われてみればその通りだ。俺としては「そーいやあったな、そんな機能」ってくらいのもんだが、英語が不得意ではないにしても面倒くさいと思ってた俺としては、実にありがたい話だ。

 しかし、と言うことはシルヴィアさんって実は語学の達人だったのか。

 

「アタシの《加護》は《声の加護》でね。これくらいはお茶の子さいさいさ」

「それを含めても大したもんではあるがの。アーベルやラファエルが加わってからはやっとらんが、ものまねや腹話術も名人級なんじゃぞこいつ」

 

 ほへー。芸達者な人やな。

 さすが年のこ・・・いえ、なんでもないです。なんでもありませんからね!

 そんなことを話しつつ、俺達は鉱山の中に入っていった。

 

 

 

 ラファエルさんたちとは順調に合流できた。

 鉱夫用の酒場でも良かったが、目立つと困るのでゲティさんが見つけておいたちょっとした横穴の中。結構狭いが、まあしょうがない。

 

「まずはこれを」

 

 ゲティさんが差し出したのはそこらへんにあるような石。

 ただし、石ころの中に鮮やかな青い部分がある。

 師匠が手に取ってじっと眺め、頷いた。

 

「間違いないの。『腐れ銀』じゃ」

 

 一斉に溜息が漏れた。

 

「やっぱりここが闇酒と麻薬の元なんですね」

「これまでのあれこれを考えると、断定してよいじゃろうな」

 

 これだけで証拠になりますかね?

 

「この石だけでは難しいじゃろうのう」

 

 日本の化学分析とかスペクトルなんちゃらとか、そう言うのがあればなあ。

 闇酒や麻薬に混じってる腐銀と、ここの腐銀が同じものだって証明できるんだが。

 

「ここはサイモックじゃからの。あるもので何とかするしかない」

 

 師匠の魔術でどうにかなりませんかね。

 

「わしがここの族長の信任を全面的に得ていると言うならまだしも、わしが本当の事を言ってると証明出来なければ同じじゃろうなあ・・・実際わしらはこの鉱石のことを知ってはいても、これが麻薬や闇酒に使われておるところを見たわけではない」

 

 そこまで見れば、ゲティさんのネームバリューで何とかなる?

 

「あるいは書類などの証拠か麻薬の現物じゃの」

「それらがあれば、少なくとも族長に動いて頂けるとは思います」

 

 そこまで話したところで鐘が鳴った。

 

「就寝の合図です。宿舎に行きましょう」

 

 俺達が混じってても大丈夫かな?

 

「毎日のように新しい鉱夫が入ってきますですぞ。心配する事はないですぞ」

 

 うーん。ちょっと不安だがしかたあるまい。

 ドワーフ用の寝台でちゃんと寝られるかな・・・

 

 

 

 ギリギリ何とかなった。

 70×70×150センチくらいの戸棚みたいな狭苦しい寝台で、俺や座長は足をちょっとかがめて何とかなったレベル。

 日本でも遠洋漁業の人とかこんな感じの寝床で一年以上過ごすって言うから大変だなあ。

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 朝食は鉱夫用の共同食堂。雑多なドワーフ達で混み合っていて、誰も俺達を気に止めない。

 

「それじゃ二手に分かれて探りを入れると言う事でよいかの」

「怪しい場所が二箇所ありますからね。私とペトロワ師で一組、もう一組がスタロ、シルヴィアさん、ハヤトくんでよろしいのでは」

 

 戦闘力で言ったらそんなものか。後魔法で色々できる奴。

 でも口達者表振れる人がそっちいないでしょう。

 

「口達者って表になるものですかですぞ?」

「まあ言いたいことはわかる。そう言う状況になったらこう、な?」

 

 師匠が指先をひらひらさせる。

 便利すね魔法!

 

「小僧も眩惑(ぼんやり)の術は見た事があったじゃろう。

 精神力の強い奴には効きづらいが、そこらのザコならどうとでもなろうよ」

 

 なるほどー。

 

「それに書類を調べたりするのには、わしか小僧が必要じゃろうて」

「恥ずかしながら数字には余り強くありませんですからなですぞ」

「恥ずかしながらあたしも・・・」

「シルヴィアはもちっと勉強せいと言うておろう! 仮にも座長じゃろうがお前!」

「はぁい・・・」

 

 しょぼくれたシルヴィアさんという珍しいものを見つつ、俺達は行動を開始した。

 

 荷物を担いで洞窟の中を歩く。

 誰かに誰何されると、そのたびにラファエルさんが適当なことを言って煙に巻く。

 そんなことを繰り返して結構奥まで来た。

 

「ここから先は一般鉱夫は立ち入り禁止区域ですぞ」

 

 成り行き任せって事ね。それとも俺が透明化して先行します?

 

「んー・・・いや、あんたさっきアタシを何てんだい、あの鉄の二輪車に乗せて、幌で覆って見えなくしたろ? あれと同じ事ができんじゃないかい?」

 

 ああ! あんな感じで、二人乗せて風防で覆えば・・・

 

「いや、あの鉄の二輪車だと、歩いてくる奴らがいたらぶつかるだろ? だったら『バクゲキキ』になって、あたしら腹に入れて天井間近を飛べば・・・」

 

 ああ、なるほど! Xブロイザーならホバリングも出来るから、問題なく洞窟の中も移動できるな。納得する俺の横では、ラファエルさんが一瞬で顔を真っ青にしている。

 

「い・・・」

 

 拒否しようとした彼の口を、電光の速さでシルヴィアさんがわしづかみにした。

 

「腹が開いても洞窟の中だ。天井から3メートルも落ちやしないよ。

 嫌っていうならここでアンタの首をひねってから乗せるけど、どっちがいい?」

 

 無論ラファエルさんに拒否する選択肢はなかった。

 そして洞窟の、管理区域の奥。

 厳重に警備された一室。

 

「う・・・ウルヴァどの!?」

 

 岩窟劇場で行方不明になったはずの、支配人がそこにいた。




「胸突き八丁」は本来「疲れて胸が苦しくなってきたけどもう一踏ん張り」みたいな意味です。
もちろん今回はそういう意味ではありません(ぉ
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