異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十一話 とりかえしのつかないこと

 見張りのドワーフを師匠から預かったぼんやりの香で無力化した後、部屋に侵入。

 部屋の中には薬品の入ったとおぼしき無数の小瓶、フラスコや小さな炉などの、化学実験に使うような、こちらで言うと錬金術師の部屋のような品物の数々。

 そこでラファエルさんの口から出て来たのがウルヴァ・クスメの名前だった。

 

「だ、誰だお前達は? 鉱夫がこんなところで何をしている?」

「お久しぶりですぞ、支配人。マガモット・スタロですぞ」

「マガモット・スタロ?! ・・・顔は変わったが、そのしゃべり方と声は確かにスタロだな。どういうことだ?」

「その前に話を伺いたいのですぞ。何故岩窟劇場は燃えたのか。あなたが麻薬を売っていたというのは本当なのか」

「うっ・・・」

 

 ラファエルさんの厳しい声に、ウルヴァさんがたじろぐ。

 

「・・・わかった」

 

 ウルヴァさんが椅子に沈み込み、がっくりとうなだれた。

 

 

 

 話によると、彼は若い頃から麻薬の常習者だったらしい。

 出来合いのものでは物足りなくなり、そのうちに自分でも調合するようになっていった。

 ただしあくまで自分で使う分だけで、それを他人に広めようとは思わなかったそうだ。

 

「ろくでもないことをしているという自覚はあったのかですぞ」

「ああ。娘を・・・ヴィレリを引き取ってからは特にな。何度もやめようとしたがやめられなかった・・・」

 

 重い息をつくウルヴァさん。ラファエルさんが続きを促す。

 

「それが、どうして麻薬の売人に成り下がったのかですぞ」

「脅迫された。協力しなければ私が麻薬中毒であることをばらすとね。

 娘に知られることを考えたら、断れなかった・・・」

「何故わざわざあなたに? 心当たりはあるのかですぞ」

「自慢するわけではないが、私の調合したものは非常にバランスがいいらしくてね。

 上流階級向けに売るには最適だなどと言っていたよ」

 

 難儀な話やなあ・・・麻薬ばらまいて中毒者増やしたわけだし、余り同情はできんが。

 

「ジェニーに買いに行かせていたのも、麻薬精製のための薬物ですかですぞ?」

「ああ。小数とは言え客に売るには自分で買い込む分だけでは足りなかったからな・・・余り頻繁に買うと怪しまれるし、ジェニーに代わりに行ってもらうしかなかった。

 組織からは原料の青い粉を除いて可能な限り自分でまかなえと言われていたしな」

 

 雑な組織だな・・・

 それとも組織の方にも入手するようなルートがなかったのか?

 

「そのへんはわからないな。

 ともかく刺激を欲しがる有閑階級に麻薬を売りさばいて、ある日いきなり組織の人間に拉致されてここに連れてこられた。

 岩窟劇場が燃えたと聞いたのも、ほんの三日前の話だよ・・・私のせいで劇場が・・・劇場のスタッフたちも・・・」

「ならばあなたはここにいるハヤトに感謝すべきですな。

 彼が劇場の火を消し止めてくれたおかげで全焼は免れましたし、奇跡的に死人も出なかったのですぞ」

「本当か!」

 

 ウルヴァさんが勢いよく身を起こす。

 

「ありがとう・・・本当にありがとう・・・私は、私の大切なものを・・・いや、ラゼルスのドワーフの宝を壊してしまうところだった・・・」

 

 涙を光らせて、俺の手を取るウルヴァさん。

 

「・・・」

 

 その様子にいたたまれず、俺は僅かに目をそらした。

 

「おほん」

 

 シルヴィアさんが咳払いをして空気を元に戻す。

 

「じゃあ三日月頭の、金属で出来た人間みたいな奴は見たことがあるかい?」

「それはわからないな・・・さらわれてきてから、ここから外に出たことはないんだ。

 ただ見張りたちが話してた『金繰り人形』がそれだと思う」

 

 金繰り人形?

 

「前に話した、ドワーフの昔話に出てくる命を持った銅の人形のことですぞ」

 

 ああなるほど。奴らっぽくはあるな。

 

「それで?」

「そいつらの話によれば、この鉱山を掘らせてるのがそもそもその金繰り人形らしいんだ」

 

 ・・・はい? どゆこと?

 

「私にもわからない。そいつらも確証があって話しているわけではないようだったしな」

 

 どうなんだろうなあ。アーベルさんにも話を聞きたいところだが。

 

「つっても、風のないところに波は立たないもんさ。

 何かその元になった話があるんじゃないかと思うね」

「ですぞですぞ。何かそのような事があるから噂になるのですぞ。

 少なくともその金繰り人形がここにいるのは間違いないところでしょうぞ」

 

 まあ関係ないって事は無いだろうな。

 しかし、本当にそいつらが鉱山掘らせているなら、一体何のために?

 まさか麻薬売って一儲けしようってことでもあるまい。

 

「そう言う人間臭さとは無縁に見えたけどねえ」

「操り人形じゃなくてある種の生き物だとは思いますですが、少なくとも人間やドワーフのような欲得とは無縁に見えましたぞ」

「・・・」

 

 ん、ウルヴァさん、何か?

 

「いや、古い言い伝えを思い出してね。ここでは腐れ銀が取れるのだろう?

 スタロは知っているかな、悪魔コバルの話にそんなのが出て来たなと思ってね」

 

 悪魔コバル。師匠が言ってたな。銀を腐らせる悪魔だったか。

 

「・・・ああ! 『かくて悪魔コバル、穢れし銀の精霊に呼びかければ、銀の鉱脈より腐れたる銀立ち上がり、また悪魔となれり』でしたかですぞ。

 むむむ、確かに良く似ているのですぞ。思い出せなかったのは不覚でしたですぞ」

 

 銀を腐らせる悪魔のしもべが腐った銀を採掘させてんのか・・・

 ひょっとしてマジで何かあるか?

 しーきゅーしーきゅー、こちらハヤト。師匠応答せよ。

 

 ・・・通じないな。

 何かあったんだろうか。

 

「まああのばあさんとゲティさんに限って、そうそう何かあったりはしないだろ。

 あの三日月頭どもがいるなら盗み聞きされるかも知れないしね。

 それほど心配することもないだろうさ」

 

 まあ・・・そうですね。それじゃこれからどうしましょ。

 この人連れて脱出します?

 

「そうだね。ここに置いておいてもろくな事は無いだろう」

「ここから? そんなことが・・・出来るのだろうな。ここまで入ってきているのだから」

 

 そう言う事です。

 まあ大船に乗った気持ちで任せて下さいよ。

 

「んじゃハヤト、廊下の方探っとくれ。あんたなら扉の向こうの音も聞こえるんだろう?」

 

 まあね。震動センサーもあるから誰か歩いてきたら確実にわかりますよ。

 ・・・OK、だいじょう、ぶ・・・

 

「こふっ」

「「「!」」」

 

 ウルヴァさんの口から空気が漏れた。

 胸から突き出しているのは赤く染まった金属の手。

 石壁を透過して現れたオブジェ人間の手が、ウルヴァさんの胸を貫いていた。




>CQ
これよく聞きますけど、実は全方位オープンチャンネルで呼びかける時のコードなので、特定の人に呼びかけるときには使わない符号だったりしますw
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