異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 発掘現場

「はぁ・・・ひぃ・・・死ぬかと思った・・・」

 

 狂気の空間から逃げ出して少しして、腹の中のシルヴィアさんが復活した。

 大丈夫ですか?

 

「まあ何とかね・・・しかしアンタ、アレに良く耐えられたね。ある意味尊敬するよ」

 

 なんででしょうねえ・・・アレが日本のギャグで俺がオリジナル冒険者族だからなのか、それとも修行の成果なのか。

 ともかく先ほどまではあのオブジェ人間たちがチョコチョコ現れていたが、ここしばらくは出て来てない。あいつらが相互に遠距離で更新できるとすれば、ラファエルさんの「アレ」で混乱していて情報が伝わっていないのかも知れない。

 今のうちに何かしたいところだが・・・何か道が深い方に向かってる気がする。

 

「・・・引き返して脱出してもいいよ?」

 

 ・・・。

 いや、ここまで来たら底の底まで見てみましょう。

 元々掘り出した何かを確かめるために来たんですし。

 そう言うとシルヴィアさんが破顔一笑した。

 

「よく言った、それでこそ男だ! こうなったら行けるところまで行ってみようじゃないか!

 いざとなったら穴掘って脱出できるわけだしね!」

 

 まあそういう事です。

 

 

 

 無人の坑道を奥まで行くと、一際広い坑道の分岐点に立ち入り禁止のバリケードがあった。

 両脇にはドワーフ警備兵が六人。

 裏口を警備してたゴロツキみたいな奴じゃなくて、俺の目から見ても結構な腕利きの連中だ。

 ガッチガチのフルプレートに盾に大斧。術師もひとりいる。

 

 とは言えバリケードと言っても札と鉄の横棒が渡してあるだけで、通ろうと思えば簡単に通れるし、術師もこちらには気付いていないようだ。

 

「恐らくはここだね」

 

 何もなきゃ、ここまでわかりやすく固めませんよね。

 ・・・行きますよ?

 

 腹の中のシルヴィアさんが頷くのを確認。

 光学迷彩で警備兵の目を誤魔化しつつ、俺はバリケードの上をすり抜けて坑道に入った。

 

 

 

 坑道の中はかなり広く、現代日本人の俺から見てもしっかりした作りになっている。

 現代の鉱山と素人目には区別が付かないレベル。ドワーフすげーな。

 彼ら真っ暗闇でも目が見えるから、光が無いのが気になるくらいだ・・・む?

 ミストヴォルグの強化視覚センサーが壁の青い結晶を捉える。

 注意して見ていると、そこかしこに青い輝きがあるのがわかった。

 

「腐れ銀かい?」

「おそらくは」

 

 周囲に聞こえないよう、腹の中だけで会話を交わして先に進む。

 それなりの速度で坑道を下へ、下へと降りていく。

 闇の中を深く、深く、奥へ、奥へ。

 十五分・・・二十分は降りたか?

 一応飛行しているのに、ほんとに深いぞこれ。

 

 その様な事を考えていると、前方からガツンガツンという、沢山の金属と岩がぶつかるような音。

 それから更に五分ほど飛行を続け、目の前が開けた。

 

「うおっ・・・」

「なんだいこりゃ・・・」

 

 三階建てのビルがすっぽり入るくらいの巨大な空洞。岩壁に足場を組んで、多数のドワーフが取り憑いている。

 いや、誤字っぽい感じだけど本当に「憑いてる」ように見えたのだ。

 というのも、作業しているドワーフの人達が、揃って虚ろな目で、無言でツルハシを振るっている。

 俺、鉱夫は重労働だから歌を歌いながら仕事してたって聞いたんですけど、こっちだと違うんです?

 

「アタシもそう言う話は聞いたことがあるねぇ・・・ドワーフは違うって言われたらそれまでだけど、どっちにしろまともな状態じゃないよ連中」

 

 ですよね。

 見るからに不気味・・・シルヴィアさん、ちょっと。

 

「なんだい?」

 

 あそこ、岩から銀色の輝きが見えません?

 

「ほんとだ」

 

 ドワーフたちが取り付いている、高さ10mを越す岩壁。

 どうも見たところ全部ひとつの、文字通りの一枚岩のようなのだが、足場を組んだ地上から7メートルくらいの所、砕かれた岩壁の中から銀色の輝きが見えるのだ。

 

「銀かねえ?」

「それっぽいですけど・・・」

 

 この距離からなら、スペクトル分析だかなんだかで、ざっとした対象の物質組成とかは調べられる。さすが諜報ロボ、ミストヴォルグ便利すぎる。

 分析機能を起動させようとして、その瞬間ガツンと来た。

 

「!?」

 

 後ろから!

 青と銀の派手なフードとローブ。顔は隠れてわからない。

 体格からしてドワーフらしい術者がいつの間にか後ろにいた。

 手をこちらに伸ばしてるが、そこにも手袋。徹底してんな!

 

 手から・・・なんだろう、見えない衝撃波がもう一撃。

 直前に回避行動を取っていたから直撃は免れたが、それでも大きく体勢を崩した。

 

 早い!

 その俺に向かって、ドワーフ術師が襲いかかってくる。

 両手の甲からは、いつの間にか銀色の・・・いや、あのオブジェ人間の隊長格にも似た、青銀色の長い爪が生えている。

 

「たっ! とっ! はっ!」

 

 火花が散る。咄嗟にムラマサブレードと、ミストヴォルグのクレセントムーンを出して凌いだがこいつ強い!正面からの殴り合いじゃ勝てん!

 

「ハヤト! トンズラこくよ!」

 

 アラホラサッサー!

 

「チェーンジ、ジェッターII(ツー)! スイッチ・オンッ!」

 

 Xブロイザーはそのまま、ミストヴォルグと入れ替わりにジェッターIIを呼び出す。

 つまりシルヴィアさんを腹の中に入れたまま、地中を潜行できるって事だ。

 このまま・・・っ!?

 

 飛び込みのようなイメージで地面に潜行しようとしていた俺。

 水面ならぬ地面に、うつろな目をしたドワーフたちが雪崩のように押し寄せた。

 まずい、これじゃ地面に潜り込もうとしたらこの人たちも傷つけてしまう!

 なら壁にと思った一瞬、三度目の衝撃。

 今度はまともに食らい、俺は壁際にまで吹っ飛ぶ。

 既に激しく回転していたジェッターIIのドリルが壁の足場を粉砕し、岩をも砕いて銀色の塊を露出させた。

 

「ほう」

 

 空中に浮遊して俺達を追ってきたドワーフ術師から声が漏れる。

 あれ、この声どこかで・・・そんなことを考える暇もなく、落下した俺は目の虚ろなドワーフたちに群がられ、もがく。

 今の俺なら簡単にふりほどける程度の力しかないけど、次から次へ飛びかかって来るからきりがない!

 その間にもドワーフ術師は俺達に近づいて・・・

 

「!?」

 

 一瞬、驚愕で動きが止まった。

 フードと口元を覆う布を外したドワーフ術師の顔は・・・ウルヴァさん!?

 

「な・・・」

 

 満面の笑みを浮かべる彼に何故、と言おうとした瞬間、銀色の輝きが世界を包み、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 気がつくと、銀色のキラキラだらけの世界にいた。

 前後左右も、上下もわからない。

 

「シルヴィアさん・・・?」

「ハヤトか。一体どうなってんだい、これは」

 

 良くはわからないが、シルヴィアさんと分断されなかっただけでも随分とマシだ。

 

「さあ・・・そもそもここはどこなんでしょう?」

「腐銀の結晶のなかだ」

 

 弾かれたように俺達は振り向いた。

 いや、振り向いた気になっただけかも知れない。

 

「・・・どういうことだい、こりゃ?」

 

 困惑したシルヴィアさんの声。

 

「すまない・・・本当にすまない・・・」

 

 涙を流すウルヴァさんがそこにいた。

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