異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
キラキラした青と銀のなか。
上も下もわからない世界。
周囲に目を凝らすと、俺とシルヴィアさん、ウルヴァさん以外にもゆらゆらと影のようなものが沢山いた。
あれは・・・?
「君も外で見ただろう。この世界・・・いや、悪魔コバルの中に取り込まれたドワーフたちの魂だ」
と、ウルヴァさん。
悪魔コバル!?
「正確には妖魔というのだそうだ。神々がこの世界を作りたもうたとき、自然発生した大地の暗い精霊。
種類によって違うが、おおむね巨大な鉱物に宿るそうだ」
じゃあ、あのでかい銀みたいなのが?
「そうだ。そして今の私の肉体を動かしているのは、コバルと契約したもう一人の私だ」
・・・どゆこと?
つまり、ウルヴァさんは麻薬をやっていて二重人格で、もう一つの人格に体を乗っ取られたってこと?
「私も、自分の中にそんなものがいるとは思ってもみなかった。
時々記憶が途切れるのは麻薬のせいかとばかり・・・」
まあ、二重人格って、本来の人格は存在に気付かないけど、新しく生まれた人格は本来の人格のこと知っているのが普通らしいですしね・・・。
「そう言うものか・・・なるほど、冒険者族か。異界の知識というやつかね?」
まあ大体そんなものです。
「二重人格か。そう言うのがいるってのは聞いたことあるけど・・・
アンタが死んだのはなんだったんだい? それともあれはアンタじゃないのかい?」
首をかしげるシルヴィアさん。
「いや、あれは私だ。よくはわからないが、多分準備をしていたのだろう。
私を一度殺して、その衝撃で揺らいだ精神を分離して、コバルの中に引きずり込む。
そして自分が肉体の唯一の支配者になる。そう言う事だったんだ。
コバルの中に引き込まれて、ようやくわかった」
そんなことできんの!?
二重人格ってあくまでも一つの精神の別の側面のはずだけど・・・遊●王じゃあるまいし。
まあ魔法とか妖魔とかが絡んでるならそういうこともあるのかもしれん。
師匠ならわかるんだろうけど。
「私にもわからないが。古の精霊が絡んでいるというなら何でもありだろう。
そうとしか言いようがない。
多分君たちも私の顔を見て動揺した瞬間にここに引きずり込まれたんだ」
ここから脱出する方法って何かありませんかね・・・。
「難しい所だな。そもそもここは精神の強いものでなければ自己を保つことさえ難しい。
見てみたまえ、彼らを」
ウルヴァさんが指し示したのは、声も上げずゆらゆらと揺れる沢山のドワーフらしい影。
「外で掘削・・・いや、発掘作業をしていたドワーフたちの精神だ。
残念ながら彼らは、妖魔の腹の中で意識を保てるほどに強くはなかった」
うーん。
ちょっと待って発掘? つまりもう一人のあなただか妖魔だかの目的は・・・
「コバルの本体を掘り出して、その力を発揮させることだろうな。
・・・! これは!」
ウルヴァさんが指し示した方向。
何も見えないぞ?
「もっと目を凝らすんだ。
銀の輝きを突き抜けるように!」
むむむ・・・見えた! 水のひとしずく!
じゃねえよ! 何だこりゃ!?
「アンタじゃん!」
シルヴィアさんの言う通り、銀のキラキラの向こうに見えたのは俺。
左腕のドリルを突き立てて、銀の塊・・・つまり悪魔改め妖魔コバルの依り代を包みこむ岩の塊を片っ端から破壊していた。
《ロボットアニメの加護》で生み出されたドリルは固い花崗岩の塊をやすやすと砕き、見る見るうちに銀の塊――恐らく正確には「コバルトの塊」なんだろう、コバルトって外見だけだと銀そのものだからな――が露出していく。
なにせ設定上は地中を時速300kmで掘り進められるジェッターII(ツー)だ。
固い花崗岩とは言え、ただの岩を掘削することなど造作もあるまい。
「何胸張ってんだい」
「あたっ」
声に出ていたらしい。
後頭部をぺしっと張られた。
俺の精神がここにいるから、体を操られてるってことか・・・しかしどうすれば。
「《加護》とは肉体と精神、どちらに根付いたものだと思うかね?」
何ですいきなり。
・・・まあ、少なくとも俺の場合は肉体かな?
外では俺の体が景気よく岩を削り続けてるし。
「私は違うと思う。
《加護》は魂に降りるものだ。
そして私たちの精神はここにいるが、肉体との繋がりは途切れていない。
先ほどから色々試してみていたが、時折私の肉体の目を通してものが見える。
恐らくコバルはその繋がりを利用して私たちを操っているのだろう。君の体が《加護》を使えるのも同じだ」
なるほど・・・でもそれが?
「ここは精神の世界。意志が強ければ術師ならざる私たちでも自分の魂の形を具現化できる世界だ。
《加護》は肉体を通して発揮するものだが、ここであれば意志の力だけで《加護》の力を具現化することも不可能ではないだろう」
「いったい何やろうってんだい・・・?」
嫌な予感を覚えたのか、シルヴィアさんが険しい顔。
「私の《加護》は《声の加護》だ。
前に一度だけやった事があるが、高い周波の音は固い鉱物にひびを入れる事がある。
落盤した岩を砕いて、中のドワーフたちを助けたんだ。
その後一ヶ月寝込んだがね」
それをここでやろうと?
「ああ。私がやっても力尽きて脱出できないだろうが、ヒビの一つでも入れば、君たち・・・特に冒険者族である君なら脱出できるかも知れない」
ドリルを振り回す外の俺を見ながらウルヴァさん。
まあ確かに。
それなら・・・あれ、シルヴィアさんがもっと険しい顔してる。
「ねえあんた・・・体があっても一月寝込んだんだろう?
精神だけの今の状態でそんなことして、もつのかい?」
・・・あっ!
確かにそうだ!
魔力ってのは精神力と生命力から練られるもんだって師匠が言ってた。
肉体無しで精神だけの今は、精神だけで必要な魔力を練り上げなくちゃならない。
そうしたら・・・。
「だとしても、放置しておけばラゼルスはおしまいだ。
命をかける価値はあると思うよ。
頼む。ここから出て、もう一人の私を討ってくれ」
言い切るウルヴァさん。
・・・この人やっぱり、死にたがってるのかも知れない。
そう思ったら、僅かに微笑まれた。
バレバレだなあ。
「待ちなよ」
シルヴィアさん?
「アタシの《加護》も《声の加護》だ。
やれるかどうかわからないけど手伝いは出来るだろ」
「いいのかね?」
「二人なら生きて帰れる可能性も上がるだろ。
それにこいつさえ外に出られれば、大抵の相手はどうにかなる」
「ほぉ」
感心した目でこっちを見るウルヴァさん。
ちょっと気恥ずかしいが、ここは俺も覚悟を決めるときか。
腹をくくると、その眼を正面から見返す。
「娘さんには、あなたは麻薬組織と戦って死んだと伝えます」
さっきも言ったことをもう一度繰り返す。
ウルヴァさんは、本当に嬉しそうに笑った。
「アタシには何も無しかい? つれないねえ。アタシだって命張るのにさ」
シルヴィアさんが死ぬところが全く想像できないので。
まあほっといても大丈夫でしょ。
「この野郎、言うようになったじゃないか。
・・・ま、必ず生き延びてやるからアタシの体の方は頼むよ」
もちろんです。
「こいつは礼の先払いだ」
「!?」
そう言うとシルヴィアさんの唇が俺の唇をふさいだ。
いやちょっと不意打ち過ぎるでしょ!
「この一件を片付けたらもっといいことしてやるよ。だから男見せな」
うっす。
いや、頷いちゃいけないような気もするけど。
>遊戯王の二重人格
遊戯と闇遊戯とか、バクラと闇バクラとか、マリクと闇マリクとか。
千年アイテムに宿ってた別人格である闇遊戯とか闇バクラは分離・消滅しても本体に影響ないのはまあわかるんですが、本当の意味での二重人格である闇マリクが本体マリクと切り離されて消滅するのはどういう事なんだろうなあw
というか虐待親父を(概ね正当防衛で)殺してゲームで城之内を痛めつけた程度の闇マリクより、
千年ロッド洗脳で人間を手駒にしたり、殺し合わせたり、自殺に追い込んだりしてグールズを結成、世界各地で強盗を繰り返してた本体マリクの方がよっぽど悪行積み重ねてると思うのは私だけではあるまいw