異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「Ahh―――」
「La―――」
シルヴィアさんとウルヴァさん、二人の声が重なる。
「Ah――――――――!」
「La――――――――!」
命を削って放つ、破壊のデュエット。
その声が見る見るうちに高くなっていって、耐え難いほどになった。
今の俺に耳はないはずだが、音が脳天を突き抜けて痛い。
周囲のドワーフたちの影も苦しむようにうごめいている。
耳をふさいでしまいたいところだが、俺は耐えなきゃならない。
僅かでもヒビが入った瞬間、脱出して自分の体に飛び込まなきゃいけない。
具体的にはどうやればいいのかまったくわからないけど・・・
「―――――――――――――――!」
「―――――――――――――――!」
そう言えば声というか音波が最強武器のロボットいたな。
20年くらい後にリメイクというか二次創作というかリスペクトされて・・・
そうか、これだ!
「―――――――――――――――!」
「―――――――――――――――!」
更に高まる音。もはや音と言うより、脳をつんざく衝撃。
だが精神集中と共にそれが世界から消えていく。
そうとも、ロボットアニメのことであれば俺は誰にも負けない、邪魔されない・・・!
「フェード、フェード、フェード・・・」
集中。集中。集中。
「「 」」
もはや何も聞き取れない。世界を揺るがす何か。
シルヴィアさんとウルヴァさんは目から、鼻から、耳から血を流し、それでも歌うことをやめていない。
その目は何も見ておらず、忘我の境地。
だがそれは俺も同じ。
「フェード、フェード、フェード・・・」
集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中集中集中集中集中集中!
師匠の教え! 魔術とはイメージと集中!
何度も見た、憧れたそのシーン!
それを今現実にする――!
「「 」」
ぴしり。
その瞬間、ごく僅かな音がした。
銀のキラキラを貫いて見える俺の体。
その間にほんの小さなひび割れ。
一瞬だ! この一瞬!
「雷ァイ電ェェン! フェェェェェド、インッ!」
その瞬間、俺は光になった。
一筋の光が、妖魔の体に開いた一点のヒビを走り抜ける。
オカルトロボアニメ「ブレイバー雷電」の搭乗シーケンス。
黄金に輝く神像の如き、素体状態の雷電の額から発する一条の光。
それを受けた主人公もまた、一条の光となって額に吸い込まれ、雷電と一体化する。
魔術とは、そして《加護》とはイメージだ。
ただ漫然と体に戻ろうと念じるより、こうした確固たるイメージを元に魔力を放出すれば――!
そして今、俺は光となって宙を走る。
その先には俺の肉体。
額に光が着弾し、内部に入り込む。
目に戻る光。
体にみなぎる力。
放出される魔力。
「雷ァァァァイ電ェェェェンッ!」
俺と、俺の肉体とが一体化する。
この瞬間、俺は再び俺となった。
「なぁっ!?」
上から絶句の声。
空中で回転すると、驚愕で凍りつくウルヴァさん・・・闇ウルヴァの顔。
「ゴッドボーガン!」
右腕に装着された黄金のクロスボウから連射される太矢。
「ブレイバー雷電」の搭乗シーケンスを再現して体を取り戻した俺は、そのまま雷電の力を身に纏っているのだ。
光り輝くエネルギーを注入された太矢は、闇ウルヴァが生み出す銀色の盾を容易く貫き、何発かは奴の体に命中する。
「ぐうっ!」
お返しとばかりに銀色の、拳くらいの金属のつぶてを生み出して飛ばしてくる。
「ゴッドパリィ! ビッグスピン!」
「ぬおおっ!?」
左腕に固定されていた、直径50センチくらいの丸盾が1.5mくらいに巨大化する。
それが高速回転し、飛んできた金属の雹の嵐を全て弾き返す。
地面で密集していたドワーフの人達にいくつか流れ弾が行ったみたいだが、ごめん、後で(ペトロワ師匠が)治すから許して!
「ゴッドサンダー! ゴッドランチャー! ゴッドトライブーメラン!」
額の角から電撃、胸から鳥の形をした誘導ミサイルの連射、左手の盾を変形させて三方手裏剣のような形にして投擲。
「くっ!」
これには闇ウルヴァもひるんで、防御に回る。
通路の床に着地して、銀色の鉱物を盛上がらせて遮蔽にした。
さすがに強固に作っているのか、これだけの連打でも表面が削れこそすれ、次々に盛上がる金属塊を貫けていない。
だがそれでいいのだ、こいつは牽制に過ぎないんだからな。
再度くるりと回転する。
視線の先にあるのは、大半露出した巨大な銀色の鉱物塊・・・妖魔コバルの依り代。
今やそれは不穏な魔力を盛大に吹き出し、間違ってもただの石の塊には見えない。
父さん妖気です!
「ムラマサブレード!」
手の中に現れる日本刀。
その柄元についている琥珀色の宝石――タリエシンの宝珠に精神を集中する。
「エスパーアイ・透視光線!」
宝珠を通して見えるのは鉱物塊の中・・・黒く群れるドワーフたちの影、その中ではっきりと見えるシルヴィアさん。
ウルヴァさんは・・・見えない。
「・・・念力光線! ブレイブ・アルファァァァッ!」
一瞬の間を置いて吹き出す神良明也シャウト。
全身から放たれる虹色の波動が、鉱物塊の中のシルヴィアさんたちをしっかりと「掴む」。
つかみ取ったそれを全力で引き出す。
ひび割れから、人間の精神が奔流のように流れ出すのが宝珠を通して見えた。
「・・・ぷはあっ!」
俺の腹の中でシルヴィアさんが息を吹き返した。
眼下では、精神が戻ってきたドワーフの人達が驚いたように周囲を見渡している。
「お、おのれ・・・」
「ブレイブ・アルファァァァッ!」
「うおおおおおっ!?」
遮蔽の向こうから顔を出した闇ウルヴァ。
今度はそいつに念力光線を向けて宙に持ち上げ、動きを封じる。
「みんな逃げるんだ! ここにいたら悪魔に食い殺されるぞ!」
「!」
巨大な腐銀の塊を指さし、不安げにざわめいていたドワーフの人達を一喝する。
コバルが盛大に妖気を噴出していたこともあり、彼らは一斉に逃げ出した。
「おのれ・・・っ!」
おっと、逃がさないぜ!
少なくともドワーフの人達が全員逃げるまではな!
「ぐおおおおおおお!」
「ぬぬぬぬぬ!」
双方全力で魔力を放出する。がっぷり四つの力比べだ。
俺に冒険者族としてのチートとルイスのヴィラン・コアがあれば、奴にはコバルからの魔力供給がある。
互いに一歩も譲らない。
やがて逃げていったドワーフの人達の足音が聞こえなくなった頃、俺は念動光線で奴を突き飛ばし、距離を離した。
互いに体勢を立て直す。
「ちっ!」
「ふうっ」
奴は舌打ちを、俺は安堵のため息を。だが勝負はここからだ。
さあ、
>「Ahh―――」
>「La―――」
元ネタと言うほどではありませんが、「ラーゼフォン」意識してたりします。
>「雷ァァァァイ電ェェェェンッ!」
イメージボイスは神谷明さんで(ぉ
タイトルも主題歌の一節から。
後ライディーンの敵も「妖魔」帝国なんですよねw
>It's Clobbering time!
もしくは「ムッシュムラムラ!」(ぉ
今度また映画になるファンタスティック・フォーのザ・シング(ガンロック)の決め台詞。
直訳すれば「ぶっ潰しの時間だ!」のような意味。
「戦いのお時間だぜ!」などと訳されることが多い。