異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十九話 賭けねばならないとき

『ルイントルネード! ミサイルドリル! ミサイルラッシュ! 豪子力ビーム!』

 

 周囲に武器を乱射する。

 コバルヴァ本体には牽制にしかならないだろうが、蜘蛛の子のように散っていったオブジェ人間どもはいくらか吹っ飛ばせたはずだ。

 だが毒ガスが拡散したら居住区域に達する危険性もある。

 時間がない!

 ぐっ!

 

『’&%&’クタ婆レェ!』

 

 コバルヴァのショルダーアタックに体が揺らぐ。

 だが大してダメージはない!

 

『豪子力ビーム!』

『ギゃッ!』

 

 牽制。ひるんだ隙に距離を取る。

 とは言ってもここはとにかく狭い。

 数十メートルの広さがある空間でも、18mサイズの俺達にとっては三畳間くらいの感覚でしかない。

 こう言う時こそこれだ!

 

『ディバイディング・スコッパァァァァ!』

 

 ムラマサの変化した巨大スコップが岩を穿つ。

 空間が岩壁ごと切り裂かれて巨大な闘技場が現れ、俺達はそこに落下した。

 これで毒ガスも大きく拡散するはず!結果的には無力化できる!

 

『’&$$#`*`!?』

『隙ありっ!』

 

 怒濤のミサイルラッシュ。

 ただし奴ではなく、奴の足元を狙ってだ。

 奴の体勢を崩す!そしてその間にチャージだ!

 

『マシンフォース・スタートアップ!』

 

 盛大な土煙を見ながら、鋼鉄の体に豪子力を満たしていく。

 後数秒。土煙からいつ奴が飛び出して来るかと身構えながら待つ。

 そして土煙が晴れ・・・奴がいない!?

 

「ハヤト、下だっ!」

『ぐっ!』

 

 シルヴィアさんが警告した瞬間、下から突き上げられた。

 下腹に強烈な衝撃。

 相手の攻撃に対応すべく前傾姿勢だったから良かったようなものの、棒立ちだったら股間に喰らってたな!

 その股ぐらにロケットパンチ! いや撃つの俺の方だし、この体だと何か生えてるわけでもないけど!

 

 そんなアホな事を考えつつも、吹き飛ばされた俺は空中で一回転して着地。

 天地が回る視界の端に捉えたのは、岩床からスルスルと現れるコバルヴァ。

 ああくそ、予想してしかるべきだった!

 分身だか眷族だかなオブジェ人間たちが地面や岩壁をすり抜けられるんだから、本体がそれやれないわけがない!

 なら・・・こうだっ!

 

『ドラゴンスクランダーッ!』

『!?』

 

 俺の声に応えて、どこからとも無く現れる赤竜の翼、ドラゴンスクランダー。

 一瞬戸惑ったその隙を突いて、赤い翼は合体した。

 ただし、俺ではなく銀の巨人と。

 

『&%#%何$”%Y${∫★∪?!』

 

 デモゴディを高度五千メートルまで一瞬で運ぶ爆発的な推力は、同じ金属の巨人を圧倒的な速度で上空数百メートルにまで持ち上げる。

 合体用のアタッチメントで胴体を固定しているだけだから数秒もてばいい方だが、それで十分!

 

『マシンフォース・スタートアップ!』

 

 その寸前にドラゴンスクランダーの爪から解放され、銀色の巨人が自由落下を始める。

 

『大回転ロケットパンチィィィッ!』

 

 豪子力の光をまとった二条の黄金の矢が、銀の巨人に吸い込まれた。

 

『!』

 

 光の爆発。

 光だ。物質が爆発したそれじゃない。

 

「ハヤトッ!」

『はいっ!』

 

 今度は警告と回避が同時。

 光の爆発の中から射出された、青銀の二本の槍を側転してかわす。

 槍の切っ先が岩の地面を削りとり、間髪おかずスルスルと縮んで元に戻っていく。

 同時にロケットパンチが戻ってきて、俺の腕に再合体した。

 

 爆発から落下して現れたのは無傷のコバルヴァ。

 だが今までの岩の塊のようなそれではなく、滑らかな表面の、つるりとしたフォルム。

 形状も大雑把にドワーフを模した今までのそれではなく、寸胴バランスのままだが、ある種のクラゲというかクリオネというか・・・二本の足の上に、無数の触手と頭を生やした異形に変わっていた。

 

 今射出したのもそのうちの二本。

 手下の青銀オブジェみたいに伸ばして射出、槍のように使ったんだろう。

 目のカメラが望遠モードになり、奴の表面を精密にスキャンする。

 目に見える損傷はひび割れが三つ。俺が脱出したときのと、今の攻撃による二つか。

 マシンフォース込みの大回転ロケットパンチでひび割れだけってことは、いよいよ我慢比べしか選択肢がないか・・・?

 

「待ちなハヤト」

『何です?』

 

 これまで、咄嗟の警告以外は無言で俺の戦いを見守ってくれていたシルヴィアさんが初めて声を発した。

 

「傷が三つ残ってるって言ったね?」

『ええ。ほんのひび割れ程度ですが』

「奴が粘土みたいに姿を変えるって言うなら、何で残ってるんだい? 姿を変えたときにそれくらい消えちまうだろう」

 

 ・・・! そりゃそうだ! どういう事だ?

 

「こっちの昔話だけど、悪魔が人間に化けたけど悪魔の姿の時に斬られた傷が残っていて、正体がバレるって話がある。

 よくわからないけどそういうものかもしれない」

 

 うーん、霊体に傷をつけたら肉体の方も傷ついたままとか、そう言う話か?

 しかしそれが?

 

「アタシを外に出しな。

 ひび割れが残ってるって事は、アタシの声でひび割れをもっと大きくできるってことだよ。

 そうすりゃ、アンタの攻撃でとどめが刺せるくらいまで行くかもしれない」

 

 却下。

 

「おい! じゃあ何か代案があんのかい! ないだろ!」

 

 怒るシルヴィアさんだが、ここは譲れない。

 この状況で外に出したら死ぬに決まってるでしょうが!

 ちょっとした余波だけでも、人間なんか粉々にちぎれますよ!

 大体消耗してる今の状況でこれ以上《加護》使ったらそれだけで死にます!

 

「アタシを心配するとは、あの小僧がえらくなったもんだ。

 グダグダ言ってないでとっとと出しな!」

 

 お断りします!

 ちなみにこの会話も、攻撃を再開したクリオネコバルヴァとドツキあいをしながらだ。あちらが遠距離攻撃になったので、こちらも豪子力ビームやロケットパンチで応戦している。

 

『俺にとってね、シルヴィアさんは無二の恩人なんですよ! こっちに来て行く当てのない俺を拾ってくれた! その後も何くれとなく助けてくれた!

 そんな恩人死なせてまで勝ちたくはないんですよ! 勝つなら二人で! 生き延びるなら二人で!』

 

 一瞬、シルヴィアさんの声が途切れた。

 

「はっ、アタシに説教とは、本当にえらくなったもんじゃないか。

 けどさ、そいつぁアタシだって同じなんだよ。アンタが戦ってるのに何もしないで見てられるわけがないだろうが!

 もう何も出来ずに、何もせずに誰かが死ぬのはいやなんだよ!」

 

 声に込められた悲しみと自分に対する怒り。

 ・・・そうか、弟さんの・・・ひょっとして俺に対しても、弟さんかぶせて見てたのか。

 

「聞こえてるよ。

 ふん、アンタなんか、かわいかったころのドッティの足元にも及ぶもんか。

 ・・・まあ、いい子じゃあるけどね」

 

 はいはい。

 それはともかく、勝つ手が思いついたんでご協力願えませんか。

 リスクはありますけど。

 

「上等。賭けなきゃ前に進めないときだってあるさ」

 

 そう聞くとやめたくなるなあ。

 ウルトラヅガンのシルヴィアさんと一緒にギャンブルはしたくない。

 

「アンタ後で覚えておきなよ!?」




>その股ぐらにロケットパンチ!
ターンエーガンダム、コレン・ナンダー軍曹の名セリフ。誰が何と言おうと名セリフ。

>ウルトラヅガン
片山まさゆき「スーパーヅガン」。
麻雀でついてない奴(ヅガン)を描いたギャグマンガ。
「ぎゅわんぶらぁ自己中心派」と並んで同作者の代表作。
アニメにもなったんやで!
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