異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
『モードチェンジ!』
「ほわっ!?」
シルヴィアさんが意外にかわいい声を出す。
「意外には余計だ! それはともかくこれはどうなってんだい!?」
そう、シルヴィアさんはいつの間にかコクピットの俺の後ろに移動している。
俺もいつのまにかデモゴディそのものから、パイルビードのコクピットで操縦桿を握るパイロットになっていた。
複座デモゴディ。
デモゴディも何度もリメイクされているからいくつもバリエーションがあるが、その一つ「劇場版ムゲン・デモゴディ」で出て来たバージョン。
劇中では古代文明のアンドロイドを乗せて、世界を救うためのオペレートを行った。
どうせやるならミクロスシリーズのワルキューレとか、「轟世のアーシリオン」とか「ゲートブレイカーズ」のブレイカーロボとか、そう言う歌関係や複座式のも考えたんだが・・・。
特にブレイカーロボは後部座席に乗った人間の超能力をメインパイロットのそれに足せるので、今回のシチュエーションにはぴったりなのだが・・・そもそもこのデモゴディ自体が魔法的なものだし、後部座席から能力発揮も出来る。
理由があって、デモゴディの能力だけで複座を確保しておきたかったのだ。
え、Gガンボイのモビルグラップラーとか、最終回限定必殺技・驚天ラブラブ動地拳はどうだって?
それ以上言うな、死ぬぞ(俺が)。
「・・・アンタなんか変な事考えてないかい?」
「いえそんな滅相もない」
大体何も言うてへん! 後ろの座席だから顔も見えないでしょ!
「ガラス窓に映ってるんだよ!」
そこまで責任持てるかぁ!
「魔力同期シーケンス完了! これで俺とシルヴィアさんは繋がりました!」
「一心同体って訳だね。いいじゃないか、生きるも死ぬも一緒だよぉ!」
テンション高くシルヴィアさんが叫ぶ。
同期しているだけあって、その感情の高ぶりが俺にも伝わって来た。
そもそも、デモゴディになってもシルヴィアさんが俺の腹の中にいたのは、俺がデモゴディになりつつ、ブロイザーの力を維持できていたということだ。
さっきまでのアドバイスも、窓で外を見れたからこそ。
つまりデモゴディ単独の力でシルヴィアさんの居場所を確保できた場合、このブロイザーの力を発動していた分のスロットというか、俺の器に余裕が生まれることになる。
そこに差し込む新たな力は・・・
「雷ァァァァイ電ェェェェンッ!」
「ブレイバー雷電」。
先ほども召喚したオカルトロボ。
恐らく通常時であれば、第二ロボの力をフルに発揮する事はできまい。
今の俺はあくまでデモゴディなのだから。
だがこのシチュエーション、そして《声の加護》持ちのシルヴィアさんが手を貸してくれればできる事がある!
『∨■§≧ゞ(’%’&「!』
もはやドワーフとしての自我は飲み込まれたのか、意味不明な音を発してコバルヴァがムチ槍を乱射してくる。
更に打撃に使用していない触手の先端を青く染め、そこから青い魔力ビームを連射。
薙ぎ払えーっ!
だが今度はその程度で防がれるような技ではない!
先ほども言ったが、こいつの必殺技は飛行形態に変形して体当たりするゴッドホークアタック。
だがそれを越える禁断の最強必殺技、音波を用いたそれをこいつは持っている!
「開け!」
俺の咆哮と共にデモゴディの胸が大きく三つ開く。
その中にはスピーカーのアンプのような円盤。
絶え間なく攻撃してくるムチ槍や光線から、それを腕でブロックしつつ、俺は後部座席のシルヴィアさんに叫ぶ。
「行きますよ!」
「おうっ!」
既に魔力的な同期は完了している。
今の俺の魔力を注ぎ、彼女の《加護》を起動させる!
「Ahh―――」
「La―――」
彼女の《声の加護》と、元から備わる機構を起動させる俺の声が共鳴する。
そしてそれは破壊の咆哮となり、デモゴディ=雷電の胸から放たれる!
「「ゴォォォォッド・アトゥム・ラァァァァァァァ!」」
『!?』
一瞬、コバルヴァは持ちこたえるかに見えた。
だが体に開いた三点のヒビ。
そこから入り込んだ音波が内部に浸透する。
『}*`+{`?`{OL・・・い、嫌だ、死にたくない! せっかく・・・私の・・・私だけの・・・!』
そこまでだった。
全身に一気にヒビが走り、粉々に砕ける。
高周波音が響き、キラキラ輝く青銀色のチリが宙に舞う。
美しくもあっけない、妖魔コバルヴァの最期だった。
「ふうっ・・・」
コクピットで思わず息をつく俺。
そこに後ろから鋭い声がかかった。
「気を抜くんじゃない! まだ終わってないよ!」
ハッとして目を見張る。
銀色のチリが寄り集まって、渦を巻く。
それは闇ウルヴァの顔になった。
『イッヒ・フォム・ヒメル・ゲファレン・・・「我天から堕ちたり」。
だが我が死は全世界と共にあるであろう!』
顔が消える。寄り集まった青銀のチリは光となって、地中に吸い込まれた。その後にぽっかりと穴。
や、やばい!
「チェェェンジ、ジェッターII(ツー)! スイッチ・オンっ!」
俺はサブスロットを雷電からジェッターIIに切り替えて地中に潜る。
「ハヤト! どういう事だい!?」
動揺したシルヴィアさんの声。
「マグマですよ! 吸血鬼の城があった所で山から吹き出した、溶けた岩の塊! そいつを吹き出させてラザルスを壊滅させようって腹です!」
「なんだってぇっ!?」
根拠はないが多分そうだ。
青銀のチリが地中に入っていったときに穴があった。
地面をすり抜けられるコバルヴァだ、ただ地下に潜るだけなら穴が残るわけがない。
穴を作ることが必要だったんだ、こいつは!
何としても止めないと!
「・・・」
シルヴィアさんが無言になる。
俺はひたすら、地中に潜る事に集中した。
青いチリ。
ジェッターII(ツー)。
どんどん潜っていく。
どんどん。どんどん。どんどん――。
くそっ、追いつけない!
元が大地の精霊である分、あいつの方が一枚上手か!
――そして。
努力もむなしく、俺の目前でマグマ溜まりに突入し、大爆発を起こした。
「・・・こいつは!?」
メーターやら日本語の表示やらが読めなくても、これだけでかい震動が起きれば気がつく。
シルヴィアさんも間に合わなかったのがわかったようだった。
「くそっ! ・・・ハヤト、まだ手はあるのかい」
このまま地面を掘り抜いて、安全な方向に溶岩を誘導します。
その前にシルヴィアさんを下ろしますから・・・
「ん・・・」
その先を言う事は出来なかった。
今日何度目だろうか、シルヴィアさんのやわらかい唇が俺のそれをふさぐ。
「野暮は言いっこなしさ。
言ったろ。二人で生き残るんだ」
・・・はいっ!
そこからは時間の勝負だった。
青いチリの掘ったトンネルと穴を繋ぎ、上に繋がる二つの穴を雑に溶接。
そして地中レーダーとムラマサについたタリエシンの宝珠を併用し、周囲の地形を大雑把にサーチ。
誰も住んでいない、通らない谷間を見つけ、その一点目がけて一直線に地中を穿孔する。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
全力での穿孔。
後ろから迫る溶岩。
俺の記憶はそこで途切れている。
気がつくと満点の星の光が見えた。
周囲は岩山の谷と溶岩の河。
夜の闇の中、赤く輝く河をパイルビードが流されていく。
背もたれが倒され、俺は後ろからシルヴィアさんに抱きすくめられていた。
「起きたか。お疲れさん、よくやったよ」
それじゃあ・・・?
「ああ。こうやって穴をブチ開けて、溶岩は外に流れ出た。
ラゼルスの洞窟も無事だろうさ」
安堵の息をつく。
さすがにこれで終わりですよね?
「まあ、多分ね」
笑みを含んだ声。
俺の体を抱く腕に、僅かに力が籠もる。
え、何?
「何って、満天の星空の下、溶岩の河でデートだよ?
こんなロマンチックなシチュエーションはないじゃないかさあ」
体が硬直する。
え、あの、それは・・・。
「当分大丈夫なんだろ? それとも今すぐ逃げないと危ない?」
そういうことは・・・ないですけど。
「じゃあ楽しもうじゃないか。
こんなチャンスそうそうは・・・」
(二人とも聞こえておるか! 答えい! 無事なら答えるんじゃ!)
そこに響いたのは師匠の念話。
思わず二人で顔を見合わせる。
「まったく、早すぎるんだよ」
シルヴィアさんが溜息をついた。
タイトルはペルソナ3から。
>劇場版ムゲン・デモゴディ
2018年の劇場アニメ「マジンガーINFINITY」。
かつて子供だったおっさん達のための東映まんが祭り。俺達が見たかったのはこれなんだよ!
水木の兄貴こと水木一郎さんの絶唱にもなりました。合掌。
>ミクロスのワルキューレ → マクロスのバルキリー
>ゲートブレイカーズのブレイカーロボ → ゲートキーパーズのゲートロボ
>アーシリオン → アクエリオン
>Gガンボイ モビルグラップラー 驚天ラブラブ動地拳 → Gガンダム モビルファイター 石破ラブラブ天驚拳
>ゴッド・アトゥム・ラー
元ネタはライディーンのゴッドボイス。「ゴッド・ラ・ムー」と叫ぶと超絶破壊音波が発射される。
ライディーン最強武器だが反動も凄いので、原作の威力を再現するとラゼルスごと吹っ飛んだ上にハヤトが死ぬ。
サブスロットで再現度が甘かったのが何気に勝因。