異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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エピローグ グレイテスト・ショーマン

「このままの自分でいいのかい?」

 

     ――T・P・バーナム――

 

 

 

「それじゃ帰るか」

「そうしましょうか」

 

 師匠の念話通信の後、パイルビードを浮かせて川岸に上陸。

 改めて空を見上げる。

 赤く輝く溶岩の河に満天の星空。

 都会で見るようなそれじゃなくて、山奥でしか見られないような、本当に一面の星空。

 ラゼルスを破壊しかけたとわかっていても、それは本当に美しい光景だった。

 

「ん」

 

 背中に押し当てられる感覚。

 前はそれだけでもあたふたしていたものだが、さすがにもう慣れた。

 くるり、と体をひっくり返される。逆らわずに反転、向き合う。

 ちょっと下にシルヴィアさんの顔。彼女は俺より頭半分ほど背が低い。

 

「ん・・・」

 

 シルヴィアさんがつま先立ちになって、唇が重なる。

 

「とりあえず今はこれだけにしとこう。後でもっとしてやるよ」

「アルテ達のいないところでお願いします」

「ははっ、本当に言うようになったじゃないか」

 

 笑うシルヴィアさんを改めて見下ろす。

 映画のワンシーンみたいだが、演じるのが俺じゃなあ。

 俺が三十代のナイスガイか、シルヴィアさんが十代の美少女なら絵になったんだろうが。

 そこまで考えたところで、シルヴィアさんがもの凄くいい笑顔を浮かべてるのに気付く。

 

「あ」

 

 その後、ボコボコのげしょげしょに殴られて俺はみんなの所に帰ることになった。

 

 

 

「ハヤト!」

「ハヤトくん! ひどい怪我だ! 先生!」

「・・・おう」

 

 宿に帰ると、アルテたちが悲鳴を上げた。

 師匠は果てしなく微妙な表情。気付いてるかな。気付いてるんだろうなあ。

 

「それで、こっちはどうだったんです? ラゼルスの被害は?」

 

 治療呪文を貰いながら、悟られないように話題を逸らす。

 師匠の話によると例の発掘現場が溶岩に呑まれたくらいで、人的被害はほぼ無かったらしい。

 師匠とゲティさんは三日月頭どもと戦ったり、避難誘導をしてた。

 念話が通じなかったのは多分コバルの仕業、三日月頭どもは多分本体のコバルヴァが滅びると共に消滅したのだろう、とのこと。

 

 ほぼ同時、一座の公演にザレロの所とは別のヤクザどもと三日月頭が襲いかかって来たが、ガイガーさんとアルテとカオルくん、一応オブライアンさんもいたし、あっさり撃退できた。

 まあこの面子で正面から撃退できない敵ってどんなんだよって話である。

 

 で、ここのところほとんど顔を見なかったアーベルさんはアダインさんと連携して、評議会の黒幕を捜査していたそうな。

 ウルヴァさんをハメたあいつか。

 ここまでろくに連絡もなかったのは組織を一網打尽にしたかったとのことで、実際ほぼ成功したらしい。

 ザレロもヘタしたら一緒に捕まってたなあ。

 あいつは一度臭い飯食って反省すべきだとはちょっと思うけど。

 

「つまり大体問題ないってことでいいんですね?」

「まあそうじゃの」

「なら一つ確認しておきたいことがあるんですが」

 

 まわりの人間の顔を見ながら確認。

 

「なんじゃ?」

「ラファエルさん・・・スタロさんとザナさん、いつ結婚するんです?」

「ぶふぉぉっ!?」

 

 のんきにエール飲んでたラファエルさんが盛大に吹きだした。

 隣のザナさんは頬を染めて俯いてしまう。うーむ可憐。

 

「ハヤト?」

「ハヤトくん?」

「お兄ちゃん?」

 

 せやからそういうのやない!

 人の恋人、しかもドワーフやぞ!

 そんな俺達を尻目に、ゲティさんが凄みのある笑みを浮かべている。

 

「そうだねえ。まさかこの期に及んで逃げるとは言わないよねえ?」

「そうだよスタロにいちゃん! いいかげん姉ちゃん嫁に貰ってやれよ! そうでなかったら、今度こそアダインにいちゃんにブッ殺されっぞ!」

 

 ザレロまで参加して包囲網。

 実際ここにアダインさんがいて、ラファエルさんがノーと言ったら即座に殴るだろうな。

 ラファエルさんは焦った顔で周囲を見ているが、誰も助ける人間はいない。

 ふははは、貴様はチェスやショウギで言う詰みにはまったのだ!

 

「ちょっとハヤトくん! 現実逃避してないで、こっち見てくれないかな!」

「ハヤト! シルヴィアと何したの!」

「お兄ちゃん!」

「まあまあ三人とも。余裕がないといい女にはなれないよぉ?」

 

 例によって俺の首ったまに背中からかじりつくシルヴィアさん。

 それに取り付くアルテとカオルとリタ。

 うん、こっちも詰んでるな! 見えてしまっていることが逆に恐怖だ!

 

「なんならアタシがみっちり仕込んでからあんた達と初夜迎えさせるって手も・・・」

 

 鍔鳴りの音がした。ただし今回に限っては俺が対象ではない。

 

「じょ、冗談だって。落ち着きなよガイガー。ね?」

 

 あ、シルヴィアさんが冷や汗流してる。

 さすがのこの人でもガイガーさんは怖いか。

 それはそれとして誰かボスケテ。

 

「人それを応報という、じゃの」

 

 綺麗にまとめてないで助けて師匠!

 

 

 

 その後は結構忙しくなった。

 ラファエルさんとザナさんの結婚式の準備をしつつ、またしても王様の所に、今度は一座全員で呼ばれて大宴会。

 例の無限乾杯を正面から受けて立って、全部飲み干したシルヴィアさんはやっぱり化け物だと思います。

 岩窟劇場支配人、ウルヴァさんの死去もそこで発表された。

 麻薬組織の勧誘を拒否し、監禁されていたが殺害されたと。

 

 驚いた事に、その席でアダインさんと他の評議員のお嬢さんとの婚約が発表された。

 アダインさん曰く、いい岩目だとのこと。ドワーフの言い回しでいい潮目、みたいな表現だ。

 礼を言われたけど・・・俺が何かしたわけでもないんだけどな。

 

「そうでもない。直接ではないかも知れないが、君のおかげだよ。ありがとう」

 

 うーん。まあお嫁さんも含めて一家仲良くしてくださいね。

 

「わかってるよ」

 

 微笑み。これなら大丈夫かな。あ、後・・・

 

「ザレロの性根もこの際叩き直してやって下さい」

「約束しよう」

 

 にやり。今度はかなり悪い笑み。俺も同じ笑みを浮かべてたと思う。

 どこかで悲鳴が上がった気がするが・・・成仏しろよー。

 

 

 

 その後、修復された岩窟劇場で一ヶ月くらい公演させて貰った。

 俺の手品や劇も人気だったが、何より人気だったのはラファエルさん・・・マガモット・スタロの笑芸だ。

 アレで吹っ切れたのか、容赦なく《笑いの加護》を使ってウケをとりに行っている。

 傍で聞いてる俺達でさえ吹き出すのを抑えきれない。うーん大量殺笑兵器。

 

「問題はお客さんなのですぞ。

 演者のこだわりなど大した意味はないのですぞ。

 お客さんが喜んでくれることこそ、最高なのですぞ」

 

 なるほどなあ。

 ついでにカブライさんとジェニーさんも婚約したそうで、ジェニーさんは舞台でシルヴィアさんとデュエットもしていた。

 

 そして一月後。

 俺達はゲティさんやアダインさん、カブライさんやジェニーさん、ウルヴァさんの娘のヴィレリさんと言った方々に見送られてラゼルスを発とうとしていた。

 それで、何であなたがこっち側にいるんですかラファエルさん。

 

「一つの壁を越えたとは言え、吾輩の芸はまだまだ道半ばなのですぞ。

 修行の道は果てしないのですぞ」

 

 だからって新婚ほやほやの奥さんを置いていくなあ!

 

「もう私は大丈夫ですから。いつでもスタロが帰れるように、家を守っています」

 

 良妻賢母の鏡やなあ・・・ドワーフなでしことはこのような人のことを言うのだろう。そんな言葉あるかどうか知らんけど。

 

「まあ何かあったらハヤトに連れてこさせるから安心しとくれ、ザナちゃん」

「はい、ありがとうございます」

 

 シルヴィアさんが勝手に約束してるが・・・まあこれくらいならね。

 飛行機恐怖症のラファエルさんも、さすがに空気を読んで黙っている。

 にこにこ笑うお母さんが怖いだけかも知れないが。

 

「というかさあ、ハヤトもそろそろ結婚できる年齢だよねえ・・・」

「この世界だとそうなるねー」

「だめ! そういうのはわたしが結婚できる歳になってから!」

「じゃあ、結婚しなくてもいいから取りあえずアタシが」

「「「シルヴィア(さん)は引っ込んでて!」」」

 

 呆れるもの。笑うもの。鍔を鳴らすもの。

 

「ストロングなんだ~♪

 ビッグなんだ~♪

 ぼくらの デモゴディなんだ~♪」

 

 混沌と化した門前で、俺は必死に目をそらして現実から逃避していた。




はい、これにて一巻の終わりでございます。
シルヴィアさんヒロイン化とラファエルさんメインストーリーを追求してみましたけど、ちょっと双方中途半端になったかなあ。
ラファエルさん関係もう少し抑えても良かったかも知れない。

ちなみに今回の発想元は駄作のアカデミー賞ことゴールデンラズベリー賞を総なめにしたシルヴェスター・スタローンの迷作「刑事ジョー ママにお手上げ」。
とんでもなくパワフルなおかんに振り回される、独身男スタローンの悲哀を描いた迷作ですw

そうか、タイトルの「金の声」はゴールデンラズベリーの金だったかwww
本当は勇者王ガオガイガーのPSゲームストーリーのタイトル「金の牙、銀の爪」からの発想だったのですが、ググったらアイヌの民話で「金の声、銀の声」というのもあるそうな。
ちなみに「銀の舌」は向こうの言い回しで弁舌に巧みなたとえ。こっちはラファエルさんのイメージですね。

後、イメージ元としては壊れた家族が絆を取り戻す物語「レジェンドオブフォール」とヒュー・ジャックマンの「グレイテスト・ショーマン」。
ウルヴァ=ウルヴァリン=ヒュー・ジャックマンで、その娘さんのヴィレリ=ジュビリー=ジュヴィレーション・リーでした。
90年代のX-MENアニメを見てると、ウルヴァリンの娘はジュビリーってイメージが強くて。
まあグレイテスト・ショーマンはイメージ元にしただけで、ストーリーにはほぼ反映されてませんがw

後ラストは意識してませんでしたけど、これコンバトラーV最終回の地球破壊爆弾ですねw
地球の芯までドリル穿孔して地球ごと大爆発する奴。
もしくはゴッドサイダー・ルキフグス編ラストか。


>ボコボコのゲショゲショ
げしょげしょはどこかで聞いた覚えがあるのですが、どうも山形の方言で、咳をこう表現するそうで。


>人それを応報という
マシンロボクロノスの大逆襲より。
毎回ロム兄さんがためになる単語を解説してくれるアニメ。
原作にもありそうな単語だと思ったけどなかったw

それと申し訳ないのですが、十日ほどネットから離れていた関係で執筆が出来ませず、次作がまだ完成しておりません。
申し訳ありませんが一週間ほどお待ち下さい。m(_ _)mj
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