異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
キャラ紹介
ダン・ハヤト 現代日本からの転移者。16才。《ロボットアニメの加護》を持つ。父親の教育でロボットアニメが好き。
アルテ ヒロイン。16才。《怪力の加護》を持つ力持ち少女。ハスキー一座の怪力芸とおさんどん担当。駄肉。
タチバナ・カオル ヒロイン。16才。ハヤトと同じ転移者。《魔剣の加護》を持つ。美形で天才で善良だが馬鹿正直。
リタ ヒロイン。7才。動物と話せる《会話の加護》を持つ。一座の動物使い。
シルヴィア ヒロイン? 28才。一座の座長で歌姫のあだっぽい美人。腕っ節も強く気っぷもいい。眼帯巨乳。
ペトロワ 魔女で一座の知恵袋。主人公とカオルの魔術の師匠でもある。
ガイガー リタの父。剣とコマ芸の達人。ヒゲモジャで無愛想。不機嫌なときには鍔を鳴らす(主にハヤトの女関係)。
アーベル 経歴不詳の小人族。軽業と道化芸と忍び技の名人。顔が濃いラテン系。
ラファエル ドワーフの吟遊詩人。ヒゲモジャだけどイケメン。笑うと歯が光る。
オブライアン 魚人妖精(オアンネス)の学者。好奇心旺盛。多少の魔術の心得がある。
デモゴディΣ(シグマ) 元祖巨大ロボットにしてハヤトの最推し。ハヤトは感情が高ぶるとこれに変身巨大化できる。
第一話 ある日どこかの公演で
わあああああ・・・!
俺達はいささか困惑していた。
芸人が舞台に上がるより先から観客席に満ちる歓声。
ドワーフの集落ラゼルスから元の街道に戻り西に進んだ先、ゼンティル王国の都スノスレス。
いつもの如くテントを張って公演を始めようとしたところでのこれである。
理由は簡単。
観客席の真ん中でにこにこしている、凄い美人さんご一行のせいだ。
見た感じ高校生から大学生、服装は裕福なお嬢様って感じだけど、もの凄く綺麗なオレンジのかった金髪とハイソオーラ、見るからに腕利きのお供数人とか、どう見ても一般人じゃない。
「誰でしょう?」
「・・・」
幕の隅で一緒に覗いてるアーベルさんも複雑な顔。
「マリアンヌ・レヴィス・アルティス・ペドロン・・・この国の王女様だよ。
国民からの愛称はレヴィータ。
国王の一粒種で、慈善事業にも力を入れてて、気さくな人柄で国民の人気は絶大らしい」
ファーッ!?
気さくすぎるだろ王女様!
暗殺とか大丈夫なのかな。
「そのためのあのお付きどもさ。
見ての通りの腕利きばかりだ。お前ももう、その辺はわかるだろう?」
ういっす。冒険者で言えば多分
そこにシルヴィアさんが割り込んできた。
「まあ相手が誰でもあたしらは全力で演じるだけさね・・・問題なのはハヤトがお姫様に手を出さないよう、鎖で繋いでおかなきゃいけないって事だけど」
ちょっと! 人を発情期の犬みたいに!
「実際そうでしょ。イレマーレではお姫様にしっかり手を出してたじゃない」
ブフォッ! 違うんです! あれは!
「そうだよねー・・・ハヤトくんって手が早いし」
カオルくん!?
俺が自分から女性口説いた事なんて・・・ええと、悩んでるアルテをデートに誘ったとき以外はないよ!
「そこが問題だと思うの、色々と」
リタまで!
師匠含めて誰もフォローしてくれる人がいない。
ガイガーさん! ここ鍔鳴らす場面ですか!?
などとあれこれ騒いではみたものの、こちらもプロフェッショナル。
ラファエルさんがバイオリンをかき鳴らしながら現れ、続いて現れたアーベルさんが軽妙なトークを交えて軽業とジャグリングを始める。
続いて現れたオブライアンさんと師匠の、水芸を含めた魔法ショー。
オブライアンさんが会場全体を覆うように薄い霧を出して、師匠がそこに光の魔法で文字通り七色の虹をきらめかせるのはどこでもバカウケする鉄板の演出だ。
師匠たちが拍手に送られて引っ込んだ後は、アルテの怪力ショー。
続けてリタの動物曲芸だ。
「みんな、こんにちわー!」
「「「「こんにちわー!」」」」
お姫様含めてノリ良く挨拶を返してくれるお客さんたち。ほぼほぼN●Kの教育番組のノリやこれ!
ハムリス達の輪くぐりやジャンプ、組体操。ラインダンス。
和やかな笑いと拍手が起こり、会場が笑顔に包まれる。
お姫様もにこやかな笑顔で拍手してる。ホントに気さくな人なんやな。
リタの後は対照的にシン・・・と会場が静まりかえる。そして低い驚愕の声。
まあアレは驚くわな・・・。
ガイガーさんの、刃を渡るコマ芸である。
当初出演予定はなかったが、王女様がいらしてるので急遽変更だ。
感嘆の拍手と共にガイガーさんが去った後はラファエルさんの話芸と笑芸。
前回ラゼルスで開眼というか吹っ切れた彼は《笑いの加護》の力を使い、遠慮無しにお客さんの笑いをとりに行っている。
まあこれでも加減はしているらしい。
全力で使ったら三日月頭どもみたいに、冗談抜きで笑い死ぬ人が出るからな・・・
破ぁーーーーー!! 《笑いの加護》って凄い、俺は改めてそう思った。
シルヴィアさんの歌で再び観客席を静かにした後はトリ前、俺の奇術である。
カオルくん曰く、地球の芸でも最後から一つ前の出し物は奇術とかやる事が多いらしい。
そのへんは世界が違ってもあんま変わらんのやな。
ま、自分で言うのも何だが、普通に手品してるだけで大受けするから楽なものである。
いや、俺もアーベルさんやラファエルさんに習って、見せ方とか色々と努力はしてますよ。
アーベルさんも簡単な手品くらいなら出来るし。
それにあれでガイガーさんも観客の呼吸を読むのは得意なので、参考にはさせて貰ってる。
「ワーッ!」
「ヒューヒューッ!」
「ねーちゃん一晩どうーっ!?」
歓声にところどころ混ざる野卑なヤジ。
まあしかたない、最近はアルテのみならずカオルくんも女の子の格好でアシスタントしてくれてるからな。
どっちもタイプの違う美少女だからそりゃ人気も出よう。
「両手に花かよ!」
「野郎死にやがれ!」
うるせえ黙れ非モテども! 俺だって別にこの二人と二股かけてる訳じゃねえよ!
・・・後ろからの視線がちょっと怖くなったのでこの話はここまでにしておこう。
そして最後は一座総出演の劇、「隣り合わせの風と龍、君の灰色の青春に届いているか」。
ニホンからもたらされた伝説の名刀ムラマサブレードをふるい、極悪非道の女帝ハルギア(ここ重要)を打ちたおした英雄、サムライハヤトの物語である。
演じるのはカオルくんで、俺はドラゴンの足だけどな!
凛々しい美少女が男装して大立ち回りするので女性客がきゃーきゃー言ってる。もげろ。
いや元からついてないけど。
なおカオルくんが持ってるのは俺のムラマサではなく、エフェクトで使ってる幻夢剣という魔剣。反りのある片刃剣なので、こっちの世界の人ならカタナっぽく見えるかもしれない。
「みなまでおっしゃるな、
かならずや、あなたをサイコロ山の頂上までお連れしよう!」
こんな感じでセリフを言いながら、背後にサイコロ山の幻影を生み出したりしてる。
ホントに器用なものだが、考えてみると興行のたびに使ってるので、ひょっとしたらサンダースウォードより使い慣れてるのかも知れない。
ともあれ、今日の公演もまた大成功である。
「はいはいお帰りはこちらー・・・あ、ちょっと!」
この時代の演劇や芸能なんて、大体酒飲んだり飯食ったりしながら半日がかりで見るようなものである。
つまり結構あるわけだ・・・酔っぱらって暴れたり喧嘩したりするようなことが。
「GRRWWWOOOOO!」
「この野郎っ!」
顔を真っ赤にした酔っぱらい二人が、片方は3mくらいの熊人間に、もう片方は同じくらいの逆三角形マッチョに巨大化した。
《加護》使って喧嘩すんなよ!?
「みなさん、そいつらから離れて! お二人とも落ち着いて・・・」
「るせえっ!」
「おっと!」
こっちに振り下ろされる熊爪を軽く下がってかわす。
こいつらパワーは凄いけど、攻撃の鋭さはそこまででもない。
冒険者で言えば青等級くらいかな?
ともあれそっちがそうならこっちも手加減はしない!
「ハンドネット!」
ジェッターロボG第三形態、ジェッターワダツミの特殊装備。
手首から発射されるネットが、馬鹿二人をまとめて包み込む。
エレクトリックダンス、ぽちっとな。
「「あばばばばばばばばば」」
網に電撃が流れ、二人が激しく踊り出す。
いや痙攣してるだけだけどね。
「はい、お騒がせしましたー。お気をつけてお帰りください」
のびた二人を楽屋裏に引きずりつつ、オブライアンさんに誘導の代理を頼む。
師匠の魔法で酒精を抜いて、それでも大人しくならなければ警邏に突き出しておしまいだ。
この辺は俺ももう慣れたもんである。
ん、どうしたんです、アーベルさん?
「いやその・・・お姫様が楽屋に来てるんだよ」
なんですと?