異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 CVは真田ア●ミだにょ

 アルテとガイガーさん、二人を抱えて空を飛ぶ。

 町の人が俺達を指さして叫んでるが、気にする余裕はない。

 

「ええと、【旅立ち】通りの先、【不在】通りと交わって右に少し行ったところ・・・」

「ハヤト! あれ!」

「!」

 

 アルテが指した方角からは煙が立ち上っている。

 

「くそっ、急ぐぞ!」

 

 俺は後先考えず、魔力を全開でブチ込んで速度を上げる。

 間に合ってくれよ・・・!

 

 

 

 俺達が現場についたとき、既に火の手はかなり回っていた。

 回りの人の消火活動をヤクザ者達が妨害している。アーベルさんの姿は見えない。

 と、思ったら店の二階の窓からアーベルさんが顔を出した。俺達を見て表情が明るくなる。

 

「ハヤト! ガイガーにアルテも! こっち来てくれ! 二人逃げ遅れてる!」

「ハヤト、飛んで二人を助けに行け。こっちは俺とアルテで片付ける」

「わ、わかりました!」

 

 ローターを再始動させて燃える家の二階に向かって飛ぶ。

 うわ、こええ。火の中に飛び込むってめっちゃこわい!

 

「・・・」

「このっ、やめろぉっ!」

 

 足下でアルテとガイガーさんがヤクザ者達を叩き伏せる音を聞きながら、俺は火の中に飛び込んだ。

 

 

 

 飛び込んだ窓の中は、もう一面の火の海だった。

 床も天井も火が燃え移り、今すぐ崩れてもおかしく無さそう。

 マデリンさんと母親のエリーゼさんが倒れ伏して咳をしているのに気付く。

 

「大丈夫だ、二人ともちっと煙を吸っちまっただけだ。お前、二人抱えて飛べるか?」

「・・・やってみます。ジェットシャックル!」

 

 半ば意識を失った二人を、手錠の鎖で俺の体に無理矢理結びつける。

 何とか立ち上がって再びローターを回し始める。もう周囲の火はやけどしそうなくらいに迫っていた。

 

「いけるか?」

「いけます! 多分! アーベルさんは!?」

「何、俺一人ならどうにでもならぁな」

 

 言うなりアーベルさんは窓から無造作に飛び出す。

 慌てて後を追うと、事も無げに石畳に着地した彼が手を振ってきた。

 

 こちらも意識を失った二人を抱えつつ、何とか軟着陸に成功。ジェットシャックルを解除して二人を地面に寝かせた。

 振り向くと火はいよいよ燃えさかっていて、俺は咄嗟に自分の《加護》に精神を集中する。

 

「ウォータービート! アクアプレッシャー!」

 

 「魔働機士アースゾート」の水系ロボウォータービートの放つ必殺の水流。以前オブライアンさんの風呂桶に満たしたものとは比較にもならない、滝のような水が俺の両手から放たれる。

 焚き火にバケツの水をぶちまけるように、燃えさかる火は一瞬で鎮火した。

 

 

 

「・・くそっ」

 

 消火を妨害するヤクザ者達はガイガーさんたちが一掃してくれていたが、エリーゼさんの店を救うことは出来なかった。少なくとももう住める状態ではない。

 二人を助けられたのと、周囲への延焼を防げたのが不幸中の幸いだ。

 

「それよりガイさんはどうしたんです?」

「連れてかれちまった。まあ、こいつらが案内してくれんだろ」

 

 アーベルさんが親指を立て、転がってうめいているヤクザ者を指した。

 

 

 

 アーベルさんとガイガーさんが手早く情報を引き出し、マデリンさんたちを近所の人に預けて俺達はまた走り出した。

 

「それで、どこへ走ってるんです?」

「フィロバーの別邸。どうやらそこに幽閉してスキャンダルのネタにするらしい」

 

 思わず舌打ちをしてしまった。

 人間ってここまで下劣になれるんだな・・・!

 

「必ず助けましょう」

「おう」

「もちろん!」

「・・・」

 

 俺の言葉に、他の三人が短く頷いた。

 

 

 

「ところで飛んで行かなくていいんですか?」

「あれ魔力を結構使うんだろう? 今回は相手も『生きてるガイ』が必要になるから殺しはしない。お前にも戦力になってもらわなきゃいけないからな。魔力は温存しとけ」

「なるほど」

 

 

 

「ほら、吐けよ。こいつにサインしろ。私はロレントの女房と密通してガキを産ませましたってなあ!」

「ぐっ! がっ!」

 

 フィロバー別邸の一室。

 椅子に縛り付けられているのはガイ。それを棍棒で殴っているのは裕福そうな格好の男。

 フィロバーの子飼いで、ロレントと議員の座を競っている男だ。

 高価な服をぜい肉で膨らませ、この十数分自らが振るってきた暴力に肩で息をしている。

 周囲のヤクザ者やフィロバーに仕える召使いたちも、冷ややかな目で彼を見ていた。

 

「はっ、はあっ、はあ・・・」

「旦那、俺が代わりましょう」

「・・・いいだろう。痛めつけてやれ」

 

 頷くと、そのヤクザ者は棍棒を受け取って左手の平にぱしぱしと打ち付ける。

 頬に傷。人を傷つけたり殺したりすることを何とも思っていない顔。

 

「なあ兄ちゃん。大人しくサインしたらすぐに解放してやるぜ。金だってやる。

 お前を捨てた女なんだろ? 義理立てするこっちゃねえじゃねえか」

「・・・」

 

 うつむいていたガイが顔を上げる。その目からは何の感情も読み取れないが、男は押しどころと見たか顔を近づけて、更に饒舌に語りかける。

 

「おめえだって悔しいだろう? お国のために頑張って、足までなくして帰ってきたら女は自分を捨てて金持ちの男とくっついて幸せになってる。

 クソ女とクソ金持ちに一発カマしてやりたくならねえか?」

 

 ぷっ、と小さく音が響いた。

 ヤクザの顔にへばりつく、血の混じったつば。

 ざわめく周囲を、ヤクザが手を上げて制する。その顔は無表情。

 ハンカチを取り出して、顔に付いたつばをぬぐう。

 汚れたハンカチを懐に戻し、棍棒を振りかぶった。

 

「っ・・・!」

 

 殴られるのを予期してガイが身を固くしたその瞬間、光が走った。

 

 

 

 大穴が空いたドアを蹴破る。

 その向こうに見えるのは棍棒――握りのところだけを残して消失した棍棒の残骸――を振り上げたまま固まっている、いかにもヤクザの兄貴分という感じの男。

 屋敷の召使いみたいなのや、チンピラヤクザ、金持ちそうな奴も一人いる。

 そして椅子に縛り付けられ、顔が無惨に腫れ上がっているガイさん。

 その全ての視線が、愕然とこちらを見ている。

 

 豪子力ビーム。

 デモゴディΣが両目から放つ、いわゆる「目からビーム」だ。

 ゲームでは弱い武器として設定されることもあるが、原作ではこれでとどめを刺したことも多々あり、何よりデモゴディの武器の中ではためのいらない、もっとも素早く繰り出せる攻撃。

 

 忍者ロボミストヴォルグの超感覚でガイさんの捕まっている部屋を探していた俺は、中の様子と会話を把握した瞬間我を忘れた。

 気がつけば俺はミストヴォルグではなくデモゴディとなり、目からビームを放って棍棒を吹き飛ばしていたのだ。

 

「て、てめぇどこの組の・・・」

「ロケットパァァァァンチ!」

 

 両手から上がる爆発と噴煙。

 

「がっ!」

「ぎゃっ!」

 

 兄貴分、ヤクザ者、金持ち、召使い。

 超高速で飛び回る二つの鋼鉄の拳は、ガイさんを除いてその場にいた全ての人間を殴り飛ばし、気絶させて俺の両手に戻ってきた。

 

「はあっ、はあっ、はあ・・・」

 

 戻ってきた両手を膝に付き、荒く息をつく俺。一瞬だったが、十数人の人間を正確に殴り倒した精度とパワーを出す為にはかなりの集中力が必要だったらしい。軽く頭が痛む。

 ヒュウッ、とアーベルさんが口笛を吹いた。




永●豪の力を集束して放つ超高密度の破壊光線、それが豪子力ビーム・・・!(大嘘)
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