異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第一章「決闘クラブ」
第二話 レヴィータ


「名誉の章典に従い、君に私を殺害する機会を与えよう」

 

     ――灰色の服の男――

 

 

 

「あら、いらっしゃいましたわね。

 これで皆様方全員ですか?」

「ええ、ハスキー一座勢揃いってわけで」

 

 慌ててお客さんを全員帰すと、アーベルさんオブライアンさん共々楽屋にとって返す。

 お姫様は椅子に座ってにこにこしていた。

 後ろにずらりと並んでるのは護衛の皆様方、ウチの面子もテントの壁際・・・幕際に並んで座ってる。

 本来は全員起立するものだが、お姫様が言って座らせてくれたそうだ。

 やっぱええ人なんやな。

 

「そんなに固くならないで下さいね。ご挨拶に来ただけですので。

 どの芸を取っても素晴らしいものばかりでした」

「ありがとうございます」

 

 それぞれにお褒めの言葉を頂いたが、リタと俺の芸は特にお気に召したらしい。

 リタなどは頭を撫でられて赤くなっていた。うーんかわいい。

 

「あなたの手品も素晴らしいものでした。ニホンの手品だと聞きますが、冒険者族の方なのですか?」

「それはもう。ニホンからやって参りましたオリジナル冒険者族、ホッチョ・ペッパーでございます」

 

 燕尾服で大仰に一礼する俺。

 元はと言えばカオルくんの捜索をごまかすための偽名だったが、実はそれ以来ずっと使ってたりする。

 なんだかんだハッタリ利くし。

 

「先ほども見ておりましたが、随分お強いのですね。

 あの大きなお二方をあっという間に取り押さえるとは」

「きょ、恐縮です!」

 

 お姫様が俺の手を取った。

 思わず声がうわずる。

 あれ、後ろの護衛の人達が俺の方見てる・・・気のせいだよな?

 いや仕事なんだから当然か。

 

「最近は少々物騒なようで、冒険者など腕の立つ方々が集まってきているようです。

 皆様もお気をつけて下さいましね」

「は、はい」

 

 その様な事を言って、雪のちらつく中をお姫様は帰って行った。

 あー、緊張した。

 本当にお褒めの言葉を頂いただけだったが、地球でもやんごとない方々は料理が美味しかったりすると料理長を呼んで褒めたりすることがあったらしい。そういうことかな?

 え、ちょっと待って、アルテにカオルくんにリタ、何で俺睨まれてるの?

 俺何にもしてないでしょ!?

 

 

 

「それじゃ市場を見て回るね! お塩と香辛料と、ナッツと干し果物があれば探しておいて」

「う、うん」

「・・・」

 

 吐く息が白い。寒さに負けないリタの元気な声。

 それに頷く俺とガイガーさん。

 そう、いつもの買い出しに何故か今日はガイガーさんがついてきているのだ。

 普段は俺=リタ、アルテ=カオルくん組で分かれて手分けしてやってるのだが、今日に限っては何故かお父さんがついてきた。

 それはあれですか、胡乱な男が娘に不埒なことしないようにってことですか!?

 

「お父さん、お兄ちゃん、手を繋ご!」

「あ、ああ」

「・・・」

 

 そんなことも知らず、リタは俺と父親と、手を繋いで楽しそうに歩いてる。

 まあリタが喜んでくれているなら何よりだ。

 ガイガーさんも・・・これはこれで喜んでる、のかな?

 この状況ならいきなり不埒ものめ!成敗!ってことにはならなそうだし一安心である。

 ふふふ、貴様の利き手は娘の手によって塞がっている・・・その有様で抜き打ちは出来まい。

 

 などと時代小説みたいなことを考えていると、前の方から本当に時代劇に出てくる放浪の剣客みたいな人がやってきた。

 黒い革の上下にロングソードとこちらの冒険者っぽい感じだが、短く刈り込んだ黒髪に眼帯、左顎から頬にかけて刀傷、まるで隙がないし、雰囲気がめちゃくちゃそれっぽい。

 これで頭にチョンマゲが載ってたら、異世界柳生十兵衛とか言われても信じる(真顔)。

 

 その人はガイガーさんを見て僅かに目を見張った後、歩みを止めて礼儀正しく一礼した。

 距離は4m程度。あれか、一足一刀の間合い・・・剣を抜いて踏み込み一歩で相手を斬りつけられる間合いの僅かに外?

 多分「ここであなたに危害を加える気はありません」という剣士的な意志表明だ。

 

「突然にて失礼。それがしロウブと申す。

 ぶしつけながら、一手御指南頂きたい」

 

 一手御指南。言葉通りに取れば「剣を教えて欲しい」と言う事だが、平たく言えば「私と勝負して下さい」ってことだ。

 もっともガイガーさんがそうした誘いに首を振るとは思えないし、実際即座に首を横に振った。

 

「俺は剣士ではない。芸人だ」

「ほう?」

 

 興味深げに片目を細めるロウブさん。

 

「しかしその所作・・・そちらも若いながら中々の腕前とお見受けする。

 てっきりお弟子かと思ったのだが」

 

 あーうん、弟子ではあるんだけど。

 

「手ほどき程度のものだ。俺もこいつも剣士ではない」

「ふむ・・・しかし貴公に斬りつけられない位置を意識して取っていた様子。

 貴公ら、仲の良い様子ではあるがそう言う関係かと推察つかまつったのだが」

 

 げっ、ばれてた!

 

「お主、腕は立つがもう少し内心を隠す事を覚えた方がよい。

 色々苦労するぞ」

 

 ははは、と笑うロウブさん。

 ご忠告どうも! 自覚はしてるよ! 直せたらとっくに直してるわ!

 ガイガーさんはちらりと俺を見てロウブさんに視線を戻す。

 

「娘に害を為す者は、何であれ容赦はしない」

 

 ロウブさんは俺とガイガーさん、リタを見比べるとからからと笑った。

 

「なるほどなるほど、そう言う事でござったか、いやこれは無粋でしたな」

 

 ちょっと待て! そこで何で納得するんだ! むしろ何を納得した!

 

「さて、何をだろうな?

 まあともかく改めてお尋ね申すが、御指南下さる気はないと言う事でよろしいか」

 

 ガイガーさんが頷く。

 

「それは残念。そちらのお主はどうだ? それがしで不足なれば、ほど良き相手を見つけて進ぜようが」

 

 うん? この人俺達と勝負したい訳じゃないのか?

 どっちにしろ荒事にはできれば一生関わりたくないのでご遠慮申し上げます。

 

「そうか、鍛えればかなりの所まで行くと思ったのだがな。

 お主も冒険者族だろう?」

 

 ええまあ。するとあなたも? 名前もそれっぽいけど。

 

「わかるか。先祖がオリジナル冒険者のサムライでな。

 このような生き方をしている。

 それでは最後にせめてご芳名を頂戴できまいか?」

「ガイガーだ」

「ハヤトです」

「り、リタです」

 

 ロウブさんが笑顔で頷く。

 

「痛み入る。しからば御免」

 

 もう一度一礼して、ロウブさんは去っていった。

 剣呑ではあったが、礼儀正しくていい人だったなあ。

 ホントにサムライって感じの人だった。

 でも剣の勝負、多分真剣勝負をいきなり挑んできたのは普通じゃない。

 

「・・・お姫様が物騒ですよって忠告してくれたの、こう言う事でしょうか?」

「わからん」

 

 ガイガーさんが首を横に振った。

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