異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三話 やらないか

「・・・何か、ガラの悪い人多くないです?」

 

 リタが露店の店主と話している隙を見計らってガイガーさんに囁く。

 ガイガーさんが無言で頷いた。

 

 ロウブさんが去った後、市場で買い物をしていたのだが、妙にゴロツキというか戦闘系というか、腕に覚え有りって感じの人が多い。

 用心棒って訳でもなく、普通に買い物をしているらしき人も多いのだが、そう言う人達が俺達に、正確にはガイガーさんに気付くと一様に目を見張る。その後一礼して去っていくか、勝負を申し込んで断られると去っていくのだ。

 中にはリタに視線をやって、ちょっと考えてから去っていく人もいる。

 

 中には犯罪者スレスレというか、明らかにヤクザ者だろうって連中も多いが、そう言う奴らも戦いたそうにうずうずしてはいるが、勝負を申し込んで断られると素直に去っていく。

 どう見てもカタギじゃない、「俺はいじめと人殺しがだぁい好きなんだぁ!(CV:広瀬正志)」って感じの人まで礼儀正しく一礼してきたときには正直ビビった。

 ホントにアホなヤクザ者なら、子供が一緒だろうが相手が買い物中だろうが因縁つけてくるもんだが(経験に基づく推察)。

 

「何人かは俺に申し込んできましたけど、それも断ったら素直に諦めてくれたし」

「・・・」

「何なんでしょうね、この町」

 

 ガイガーさんが小さく首を振る。

 そこでリタに呼ばれたので、その話は打ち切りになった。

 

 

 

「カオルくんたちも?」

「うん、五人以上に申し込まれた。中には女性もいたよ」

 

 戻ってから聞いてみたら、やっぱりアルテとカオルくんもそう言うのに絡まれていたらしい。

 ちなみに数はこっちの半分以下。ガイガーさんに引き付けられるやつが多かったのか、女性なので遠慮したのか。まあそれはどうでもいいな。

 

「俺も申し込まれたぜ」

 

 アーベルさんも!?

 いや、見る人が見ればそれは強いってわかるだろうけど、小人族(バグシー)に真剣勝負申し込む人もそうはおらんやろ。

 

「お姫さんの言う通り、今ここは妙にそう言う奴が集まっているらしいな。

 一人話を聞けたんだが、そう言うのが集まっているらしいと聞いて来たと、それ以上のことはわからなかった」

 

 別に王様が武芸者集めて大会開くわけでもないよね?

 

「なんだがなあ。それにルールがあるらしい。

 無理強いしない、まわりに迷惑をかけない、武器は合意があれば何でもいい、必ず一対一、死んでも恨みっこ無し」

 

 何それメチャクチャ紳士的。

 こっちの世界の喧嘩とか決闘ってもっとサツバツしたものかと思ってた。

 

「いや、実際そうだ。

 見せ物の剣闘士はともかく、ゴロツキや自称剣士同士の果たし合いなんざルール無用よ。

 なのにどいつもこいつも騎士様かサムライみたいなお行儀の良さだ。

 おまけに面子や名誉がからむわけでもなく、ヤクザどものシノギになってるわけでもない。

 全く訳がわからんぜ」

 

 日本だったらまだわからんでもないが、この世界だとなあ。

 ドラゴンキューブの天下第一武道会ってわけでもなし、何かのマンガでストリートファイト形式の武闘大会ってのもあったが、そういうわけでもなさそうだよな。

 参加者ではない俺やガイガーさんに勝負挑んでくるんだから。

 

「純粋に強さを求める者達のための楽園、という感じですかですぞ。

 母上あたりなら感銘を受けるかも知れませんがですぞ」

 

 と、バイオリンを弾きながらラファエルさん。

 まあ確かにゲティさんはそんな感じの人ではあった。

 しかし日本ならまだしも、というものがこの世界で成立するのかどうか・・・?

 そこはどうしても気になる。

 

「武芸に生きるものどもは、こちらの世界でも確かにいるがのう。

 物好きが武芸大会を開いたりすることはないでもないが、大抵は冒険者や傭兵で身を立てとるな」

 

 まあ今のところは物証もないし、そういうのが流行っているって程度でとどめておくべきか・・・。

 何にせよ、俺らは日々の食い扶持を稼がなきゃならんわけだしな!

 

 

 

「お出来になりますな・・・緑等級冒険者とお見受けする。一手御指南頂きたく」

 

 ぶげいしゃがあらわれた! コマンド?

 いやそうじゃなくて! 野営地にまで来るなよ! こっちは芸演じてるだけだぞ!

 お客さんとして来たなら、上演終わったんだからさっさと帰ってくれ!

 

「いえ、俺は《加護》特化で・・・!」

「ほう、《加護》特化でそれか・・・ますます興味深い」

 

 誰かボスケテ!

 まあ断ったら素直に諦めてくれたんだけど、このままだと公演にも差し支えるなあ・・・ん?

 

「よう、いっちょ()らねえか?」

 

 また新しいのが!

 しません! 俺は芸人ですので! 自衛のため以外ではやりません!

 

「そうかあ・・・そう言うならしょうがねえが、気が向いたら海辺の武神(ハマン)の神殿に来てくれや。

 こいつを持ってれば・・・まあ持ってなくてもその気のある奴なら大歓迎だぜ」

 

 そう言って押しつけられたのは、スマホくらいの木の板。

 何か漢字の「武」みたいな紋章だか文字だかの焼き印が押してある。

 

「はあ・・・」

「じゃあな、兄ちゃん。覗くだけでも覗いてくれや。案外気に入るかもしれねえぜ」

 

 そう言うとひげ面でやぶにらみのドワーフみたいなおっさんは手を振りながら去っていった。

 ホントこの町おかしい・・・おかしくない?

 

「あら、ボウヤ。中々できそうね。どう? お姉さんと愛し合わない?」

 

 そこに声をかけてきたのが赤ずくめのお姉さん。

 赤い髪、露出度の高い赤い革鎧、ボンキュッボンの凄い美人さんだが・・・腰には幅広の弯刀(フォールチョン)を二本。

 シルヴィアさんと反対の目に刀傷。

 愛しあおうってそれ、どう考えても殺し愛とかそう言う奴ですよねぇ!?

 お願いですから帰って下さい!

 

 

 

「そう言う事なんですけどどうしましょう」

「どうしましょうったってねえ・・・」

 

 夕食。

 ひげ面のおっさんから貰った木札を見せると、みんな溜息をついた。

 

「うーん、これ漢字?」

「そう見えるのう。『武』を表す文字じゃな」

 

 と、カオルくんと師匠。

 やっぱりそう見えるよなあ。

 

「で、武神の神殿に来いと言ったのですかですぞ」

「ええ。まあそれっぽいですね・・・やっぱり名前の通りの神様ですか?」

「うむ。《百神》というか、真なる魔術師きっての武闘派でな。

 この前お主らが戦ったような古の妖魔や、狂った真の龍を討伐した英雄神として崇められておる」

 

 おー。ちなみに本来は何の神様だったので?

 

「専門は虫の生態じゃな。セミとかヤゴとか、虫の抜け殻を集めるのが趣味じゃった」

 

 へ、平和な人だ・・・!?

 

「本人は至極穏やかな人柄でな。強いからと言って乱暴者とは限らんという良い例じゃな。

 その縁でトンボが神のシンボルになって、一部では珍重されるようにもなっておるが」

 

 うーむ。日本でもトンボって「勝ち虫」って言われて勝利のシンボルみたいな扱いだったらしいが・・・本多忠勝の槍が「蜻蛉切り」なのもそういうことだし。

 日本とこちらの奇妙な相似点に興味を抱きつつも、俺は心重く溜息をついた。




>「俺はいじめと人殺しがだぁい好きなんだぁ!」(CV:広瀬正志)
蒼い流星SPTレイズナーのゴステロ。
監督によればボトムズのカン・ユーの発展キャラらしい。
出番は意外と少ないのだが、シナリオと中の人の怪演で忘れがたい悪役になった。
スパロボのラスボスになったことすらある。
なお中の人曰く「ランバ・ラルみたいのより、こう言う頭おかしい奴の方が演じてて楽しい」そうなw

>武神
そう言うあれこれがあるので、実は養蜂業者や絹農家など虫関係に信仰される神でもあったりします。


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