異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十三話 チェルブルクのガサ入れ

 そこから先はあっという間だった。

 折良く前の町での捜査協力を終えてチェルブルクに到着したカオルくんとその部下の人達の力を借りて、ヤクザ者とフィロバーの子飼いの男を確保。

 勇者カオルの名前でロレントさんたちの派閥とも渡りをつけ、フィロバーが司法に手を回すのを阻止した上でヤクザ者の残りとまとめて逮捕した。

 

 誘拐、暴行、放火、そしてカザリーンさんへの嫌がらせと脅迫。

 いかに町の大立て者と言えども、どうにもならない罪状が積み上がっていた。

 

 なおここまでのいきさつ全てが、逮捕された数時間くらい後には町中に広まっていた。

 アーベルさん曰く「ロレント達の派閥がやったんだろうな」との事だがやべえ仕事早ぇ。

 

 そして嫌がらせをされていたカザリーンさんは町一番の歌い手で、つまりそれはファンも多いと言う事だ。

 俺は見ていないが、翌日フィロバーの屋敷は暴徒に取り囲まれ、石を投げられたとのこと。

 本来なら私兵が阻止するんだろうが、フィロバーや主立った召使いと一緒に逮捕されたのでどうにもならなかったらしい。

 略奪されたり火をかけられたりしなかったのがせめてもの救いだな、南無南無。

 

 

 

「芋づる式にフィロバー派の大商人が次々と捕まっているそうですよ。中には前の町のローリンズ商会などと奴隷取引をしていたところもありまして・・・。

 一方でロレントさんの方の派閥が力を持ちすぎないように領主さんがほどほどで収めようとしていて、両者の間で綱引きが繰り広げられているとか」

「政治かー」

「政治ですねー」

 

 疲れたような顔でカオルくんと頷き合う。

 報告とお礼がてらにやって来たらしいが義理堅いなあほんと。

 

「奴隷商人となると放って置くわけにもいきませんので、また手を取られそうです」

「ご愁傷様。で、問題の議員にはやっぱりロレントさんがなるわけか」

「まあ決まりでしょうね。対抗派閥が崩壊状態ですし」

「ガイさんはどうなったの?」

 

 あれから姿を見ていないので、ちょっと心配なのだ。

 

「自分は関わっていない、存在していないことにしてくれと言われまして・・・領主様も同情してくれて、全面的に協力してくれました。今は領主様のお屋敷で匿われてますよ。

 表向きには『カザリーンさんの弱みを握るためにエリーゼさんとマデリンさんを誘拐しようとした』と言うことになっています。カザリーンさんも心配してお二人を見舞いに来たとか」

「そっかー・・・」

 

 遠い目をして宙を見上げる。

 

「ガイさんはそれでいいのかな」

「本人がそう決めたんです。外野がやいのやいの言うのも失礼でしょう」

「そうだけどさ・・・」

 

 溜息をついて頬杖を突く。何と言うか、ガイさんは多分まだカザリーンさんを愛しているんだろう。彼女の幸せが最優先なんだ。だからといって、彼がこのままじゃ報われなさ過ぎる。

 そんなことを考えていると、シルヴィアさんが肩をすくめて笑った。

 

「まあ、そんな深刻に考えることもないさね。

 ガイのことはマデリンが支えるよ。子供が生まれたらカザリーンのことも・・・忘れられはしないだろうけど、思い出の一つになるだろうさ」

「・・・え? あの二人そう言う仲だったんですか!?」

 

 思わず口にすると、なめくじを見るような目で見られた。

 

「・・・あんたの目は節穴かい? 惚れてもいない男にあそこまで尽くせる女なんざ、聖女のたぐいだけだよ」

「そ、そう・・・? みんな気付いてた?」

「えぇ・・・わからなかった?」

「見りゃわかるだろ」

「あからさまにそう言う雰囲気だったのですぞ」

「鈍いにも程があるのぉ」

「まあ断言は出来ませんけど多分そうじゃないかと思ってました」

「ガイさんを好きなのは間違いないと思うんだけど・・・おとうさん、どう?」

「(無言で頷く)」

 

 容赦ないお言葉ありがとうございます!

 鈍くてすいません!

 

「ま、まあまあ。僕も気付かなかったから、ね・・・?」

 

 カオルくんのフォローが心に痛かった。

 

 

 

「まあそれはそれとして」

 

 おほん、と咳払いしてカオルくんが話題を変える。

 その顔に浮かんだ笑みを見た瞬間、背筋に悪寒が走った。

 これ、この前の事件で俺を詰めた時のやつだ――――!

 

「この前も、今回も、皆さん随分と行く先々で事件に関わってらっしゃいますよね。本当に芸人の一座なんですか?」

 

 公演の合間なので蒸留酒ではなく香草茶のカップを手にしながら、座長がカラカラと笑う。

 

「まさか、あたし達は善良な一般市民だよ。騒ぎが起こってるから警邏に通報したまでさね。まあウチに殴り込みに来た奴らは確かに撃退したけどさ」

「へえ」

 

 カオルくんの笑みは変わらない。

 こいつ本当に俺と同じ年か? 海千山千の強者の風格すら感じるんですけど!

 その変わらないままの笑みで俺の方を向く。思わず体がビクッと震えてしまった。

 

「今回もね? ヤクザの親分の屋敷に紫の髪の女性が現れたとか、ガイさんを捕らえていたフィロバーの手下たちが紫の髪の女性に一瞬にして全滅させられたとか、色々聞いたんですよ。

 後、人が空飛んでいたとか・・・その時ホッチョさんは何をしてたのかなって」

「わ、わたちはその頃公演で大魔術ショーをやってましたにょ・・・?」

 

 いかん、噛んだ。汗がぶわっと噴き出るのがわかる。実際あの後野営地に戻って出番に間に合ったので嘘は言ってない! けどばれてるんだろうなあ!

 くすくすと笑うカオルくん。やっぱばれてるよこれ! 笑みが大きくなってるもん!

 

「勘違いしないでください。別に責めようとかそういうんじゃないんです。人を助けるのは立派な事ですよ。ただちょっと疑問に思っただけです。

 僕は、そんなあなたが素敵だと思いますよ」

「!? まままま、まぁ困ったときはお互い様ですから・・・」

 

 どきどきばぐばぐしている胸を押さえながら、何とか返事をする。

 もう一度クスッと笑って、カオルくんはその場を辞した。

 だからアルテ、ショックを受けた目で見ないで! これはばれそうになったからドキドキしてるだけだから! 今女の外見だけどフォーリンラブとかそういうのじゃないから!

 

 

 

「勇者様」

「軍曹、どうした?」

「王都からの命令文です。これを」

「ありがとう」

 

 宿舎に戻ると、カオルは腹心の部下から紙片を受け取った。

 荷車一台ほどの大きさの魔法の通信機とモールス信号を介して送られるそれは電報のような短文しか送れないが、その代わりにそれなりに安く、またそれなりに遠くまでメッセージを伝えられる利点がある。

 あてがわれた自室に入り、紙片を開く。

 

『ちぇるぶるく おりじなるノはんのうガ『フタツ』アリ』

「・・・!」

 

 その内容に、カオルの目が大きく見開かれた。

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