異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十二話 水竜

「っ!」

 

 咄嗟に戦闘態勢を取る俺達。

 俺は《加護》を活性化させ、オブライアンさんは印を組み、レリアさんは背中の両手剣をすっぱ抜く。

 その抜き方が恐ろしくスムーズで、やっぱりこの人かなり強いな?

 一方で、エッソ医師は手を広げて俺達を押しとどめた。

 

「ああ、待て待て。こいつはそう言うのではない。敵ではないから鉾を収めろ。これは幻影じゃ」

 

 幻影!?

 改めて水竜を見上げる。

 奴は長い首をもたげて、40mほどの高さから俺達を見下ろし続けている。全体的な体型はプレシオサウルスとかに近い。

 

 いや、確かに攻撃動作はしてないけど、首が動いてるしこっちの動きを目で追ってますよ?

 ソナーで調べた限りでは明らかに実体もあるし。

 レリアさんが恐る恐る近づいて、大剣の剣先でツンツンするが、やっぱり手応えがあるみたいだ。

 

「昔の仲間の受け売りだが、高度な幻影には触覚を誤魔化す力もあるそうじゃ。

 それもここまで来ると事実上実体を持っているのではないかと言っておったわい」

 

 実体のある幻影って・・・質量のある残像かな?

 それとも投影魔術か。あいあむぼーんおぶまいそーど。

 というか何でこんなところに巨大な水竜が?

 

 見回すとここは巨大なエントランスで、広い空間の中央に水竜が鎮座する格好になっているのがわかる。

 確かにエントランスに目を引く何かを飾るのは良くあることだが、そもそもここ何の施設だろう?

 

「これも受け売りじゃが、どうも魚とか海の動物を見て楽しむためのものだったようじゃのう」

 

 水族館なのここ!?

 

 

 

 一瞬呆然としたが、頭を振って気を取り直す。

 水深400mの水族館かあ・・・事故とか起こしたらシャレにならんが、真なる魔法文明の時代ならそうでもないんかな・・・

 と言うことはこのでかい水竜の幻影って、博物館に飾ってある動く恐竜の像みたいなもんか? 動刻とか言ったっけ。

 こうして見ても本物の竜にしか見えん・・・さすがにホラ話の中で見た真なる竜には及ばないが、それでも圧倒的な迫力がある。

 イレマーレのダンジョン最下層で戦った数々の亜竜に比べても引けをとらない。

 

 戦闘とかではなく、ただ人を楽しませるためだけに圧倒的な技術が使われていることにちょっと感動する。

 本当に凄かったんだな、古代文明って。

 

「まあ確かに凄いもんじゃが、いつまでも眺めてるわけにもいかん。

 行くぞ」

 

 へーい。

 

 

 

「ア"オ"ッ! ア"オ"ッ!」

 

 でかぁぁぁいっ! 説明不要っ!

 

「ア"オ"ッ! ア"オ"ッ!」

 

 うるせえんだよ! 俺は「それ」の叩き付けてくるヒレというか前足をかわして、後ろに下がった。

 今戦ってるのはでかいトド。本当にでかいのだ。なんせ頭の高さが5mくらいある。

 ちょっとした亜竜レベルだぞこれ!

 

「スカイ・トーピドーっ!」

 

 両肩から発射されるXブロイザー最強武器。

 それが巨大トドの体を貫いて転倒させる。

 貫通した空中魚雷が壁に突き刺さりクレーターを作った。

 

「「ア"オ"ッッ!」」

 

 絶叫が同時に上がる。

 俺の隣で、レリアさんがトドの腹を切り裂いたのだ。

 大上段からの力一杯の振り下ろしが、トドの腹・・・いや、胸か?を上から下までざっくりと切り裂く。

 苦し紛れに振り下ろしてきた前ヒレを冷静に、というか無感情にかわすと同時にズバッと一斬。

 ヒレの半ばまで、人間で言えば指を根元から綺麗に切り離す。

 そこにオブライアンさんの支援の水弾が目に命中し、更に怯むトド。

 

「タキオンビーム!」

 

 喉元にXブロイザーの光弾が命中し、ぐらりと揺らぐ。

 

「ア"オ"オ"ーーーッッッ!」

 

 なんかホモっぽい叫びを上げてもう一匹のトドも倒れた。

 う、何か尻がムズムズする・・・。

 や ら な い か

 いえ結構です。

 

 

 

「ふう・・・」

「おつかれさまです~」

 

 二匹の巨大トドを倒して息をつく。

 戦闘が終了して、普段ののほほんモードに戻るレリアさん。

 戦闘時は無言無表情のバーサーカーって感じなんだが、そのギャップもまたいい。

 

「しかしやっぱでかいなあ・・・あれ?」

 

 これで毛皮が黄金色とかなら、いいドロップアイテムになるんだが・・・なんてアホな事を考えてると、違和感に気付いた。

 普通ダンジョンのモンスターは倒すと消えて、魔力結晶を残す。

 なんだがこいつはいっこうに薄れたり消えたりする気配がない。

 ってことは待て、これ普通の生物なのか? 

 

「らしいの。ここで飼ってた生き物が、魔力だかなんだかの影響で巨大化したらしい。

 結構ウロウロしてるんじゃよ、こんなのが」

 

 うへえ。

 でもそんなのがウロウロしてるなら、このへんもうちょっと野生化というか、あれこれの死骸が転がっててもいいんじゃない?

 

「こう言うのの死体を食う小さな動物もおるし、掃除をする仕組みもある。

 金属製の球コロが死体を解体して床や壁を綺麗にしておったわい」

 

 なるほどなー。

 

「後、今回はいいが余りでかい術は使わんでくれ。

 肝心の魔道具がぶっ壊れちゃ困る」

 

 へいへーい。

 ところでロボット兵器というのはどこにあるんです?

 

「治療機器のあったところから少し奥へ行ったあたりだな。

 作業に目処がついたら案内してやるからちょっと待っとれ」

 

 うすっ!

 

「いきなり元気になりましたね~、ハヤトさん」

「世の中には人形に欲情する奴もおるからの。業の深いことじゃ」

 

 いやちょっと待って、ロボは好きだけど、少し・・・いや、かなりニュアンスが違うからそれは!

 

 

 

「ぎゃあああああああああああああ」

 

 絶叫。

 叫んでるのは俺である。

 虫が! 虫が! 30センチくらいのメッチャキモイ虫だか節足動物だかが群れを成してこっちに押し寄せてくるぅぅぅぅ!

 床だけじゃない! 壁や天井までうじゃうじゃわらわら!

 だめ、こう言うの苦手なのぉ!

 思わず後ずさろうとした俺の後ろ襟が、むんずと掴まれる。

 

「えっ」

「虫くらいで逃げないで下さい。対応できるのはあなただけです」

 

 だってあれは無理なのぉぉぉ! 生理的にぃ!

 

「そうですか」

 

 あれっ?

 唐突な急加速と浮遊感。

 この女、俺を虫のまっただ中に投げやがったぁぁぁぁ!?

 

 時間感覚が鈍化し、俺はゆっくりと群れに近づいて行く。

 虫の脚の動きもゆっくり。触角の動きまではっきりとわかる。

 わかりたくねぇぇぇぇぇえ!

 

「みんな星になってしまえぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 思わず発せられた不吉極まりないセリフと共に、俺の意識は光に呑まれた。

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