異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
気がつくと周囲は廃墟だった。
真なる魔法文明時代の頑強極まりない建材が跡形もなくボロボロになり、一部は崩落している。これ外殻部の、外が見えるガラス張りの場所だったら壁が壊れて水が入ってきてたな。
内部の通路で良かった。
しかしこれは多分あれだな。天承巨神イセオンの全方位ミサイルだな。
全身に装備されたミサイルランチャーを同時にぶっ放し、文字通り上下左右全ての敵を殲滅するという大技である。
その場合、セリフは「カミーラスタインのかたきー!」のほうが適切であるはずだが、まあその辺はアレンジメントというやつだ。多分。
「何をのんきにいちびっておるんじゃ! 死ぬかと思ったぞ!」
「そうだよ! 配信もしてないのに!」
いいじゃないですか、皆さんの周囲に損傷がないって事は、俺もそっちに撃たなかったってことだし。
というかオブライアンさん、怒るところそこですか?
のほほんモードに戻ったレリアさんがうんうんと頷く。
「思った以上に強烈でしたね~。今度からこれは奥の手にしておきましょう」
そこは禁じ手にして欲しいな!?
取りあえず《加護》のサブスロットをブロイザーから探索・警戒用にミストヴォルグに切り替えておこう・・・。
「ウッソだろおい」
ガンボイのパイロットではない。
それから十分ほど、警戒しつつ進んでいた俺達だが・・・センサーに映る影に思わず絶句した。
ゆらりと体をくねらせて空中を泳ぐ影・・・あれ幻影だよな? 幻影だって言ってくれ。
「残念ながら実体じゃし、幻影だとしても襲ってくるから関係ないの。
昔の仲間の術師によればどうも事故で水が抜けても死なないように空気を呼吸できるように品種改良して、かつそれが魔力の影響で空を・・・来るぞ!」
声と共に空中を泳いで襲ってくる十匹余りのホオジロザメ。
中には魔力を発して、周囲に竜巻を起こしながら突貫してくる奴もいる。
いやあああああ!
なんで異世界に来てまで、竜巻を起こすサメと戦わなきゃいけないのぉ!?
「おい、パニクるな! さっきみたいなのはごめんじゃぞ!」
わかってるよ! 42! 42! 42!
素早くスロットのロボを入れ替え、背中から二門のレールキャノンと二門のビームキャノンを展開。更に右腕にビームガン、背中の羽根からは無数の小型ドローン!
それらが一斉に火を吹く!
「ハイマート・フルバーストォ!」
機動戦士ガンボイ・シドーの後期主役ロボ・フライハイトガンボイの必殺技。ただの乱射技に見えるが、操縦者が超人なので一発一発が正確に敵の急所に命中する!
なんでもドイツ人が作ったので
粒子ビームやレールガンの弾体が竜巻サメの巨体を次々とうがっていく。
それでも守りたいサメ映画があるんだーっ!(意味不明)
「やったかっ!」
だから先生、フラグ立てるのやめて!
ほら、何匹も生き残ってこっちに突貫してくるから!
というか頭半分吹っ飛んでるのに元気にこっち向かってくるのは何なの!
竜巻だけじゃなくてゾンビとか五つ首とかそっち方面も網羅してるわけ!?
「サメは脳が小さいからのう。側頭葉が三センチほど削れただけで助かったんじゃろうて」
なんだよそのタマラム理論! 生物舐めてんじゃねーぞ!
「その理屈で言えば首をはねられたり、心臓を潰されたりしても生きてるハヤトくんの方がよっぽど生き物舐めてない?」
うむ、反論できん!
これはタマラム一生の不覚! 俺の脳はコンパクト!
なんて古いギャグやってる場合じゃない! サメはもう目の前まで迫っている! 竜巻もな!
もう一度フルバーストを撃つのは隙が大きすぎる・・・ええい、このスイッチだ!
俺はミストヴォルグの力の方に意識を集中し、体を特殊粒子でコーティングする。
竜巻には竜巻! 牙には牙! 俺は両手に三日月型の刃、クレセントムーンを出現させて、猛烈な勢いで回転を始める。
「大回転大魔斬・疾風怒濤ッ!」
銀色の竜巻となって突貫する。触れなば切れなん、銀の刃!
銀の竜巻がサメの竜巻とぶつかり合い、一瞬の後に鮫の竜巻がバラバラになって血しぶきと肉片がまき散らされる。
そのまま次々とサメ竜巻を食いちぎり、引き裂く銀の竜巻。
最後のひとつを粉砕して回転を解く。
仲間の方を振り向くと、一匹だけ通してしまった竜巻ザメを、正面からの真っ向唐竹割でレリアさんが仕留めたところだった。
見事に「ひらき」になったそれを見て、グッと親指を立てる。
レリアさんも無表情ながら親指を立て返してくれた。
その後も悪夢のような探索は続いた。
亜音速で内臓を射出してくる、大きさ五十センチのナマコの群れ。
威力は鉄の盾がへこむくらい。ちなみに一分くらいで内臓は再生する。
レリアさんが大盾を構えて文字通り盾になってくれてる間に、アトミックトーチで焼き払った。
ダメージもそうだが、全身ナマコの内臓まみれになってしまったレリアさんには本当に感謝したい。今洗い流しますね!
「ありがとうございます~。でも別に~、ナマコの内臓くらいどうと言うこともありませんが~?」
メンタル強いなこの人!?
いや医者の助手してたらそんなもんか・・・開腹手術見ても眉一つ動かさなかったしな。
空を飛ぶエイの群れ。
ただし体の縁が鋭い刃物になっており、えらの排出口から勢いよく空気を吹き出して、時速300kmくらいでカッ飛んでくる。
レリアさんが大盾で防ごうとしたら、盾の端っこが綺麗にすっぱり切り落とされた。
ならこうだ!
「ゲキダンフレアーッ!」
攻撃を「そらす」バリア、ダイバーテーション・フィールドを全身に纏い、突貫する。
エッジ・エイの群れを一掃すると共に、攻撃を仲間からそらす一石二鳥の攻撃である。
うわっ、弾かれたエッジ・エイが壁や天井に突き刺さってる!
古代文明の素材貫通するとか、やっぱ生物舐めてんなこいつら!
ゴロゴロゴロ!
炎をまといながら高速回転で迫ってくる車輪の群れ。
時速数百キロ、直径1m、厚さ50cmくらいのそれは、音からしてかなり重い。
俺と、ひょっとしたらレリアさんはともかく、オブライアンさんやじいさんが食らったら致命傷だ。
・・・って、あれひょっとして亀か? 手足引っ込めて回転してんのか? 甲羅がほぼ真円形の亀って自然界に存在してもいいのか!?
「肉食じゃぞ。ついでに火も吐く」
うれしくない情報どうも! 回転しながら空を飛ばないだけまだましかな!
とは言ってもこのパンジャンドラムタートル、これだけの高速で突貫されるだけで十分脅威だ。
ええい、ままよ!
「全員伏せろ! 寝そべれ!」
「!?」
「プロテクションシェェェェェドッ!」
発動する防御フィールド。
先ほどのと違うのは効果範囲をある程度自由に設定できること。
床に寝そべった俺達の周囲を覆うように、なるべくなだらかに発生させたそれ。
ゴロゴロゴロゴロ!
パンジャンドラム亀どもは、レースゲームでジャンプ台を踏んだときのように跳ね、そして着地して走り去っていく。
そのまま奴らは廊下の向こう側に消えていった。
飛び出すな! 亀は急には止まれない!
いや高速移動する亀ってのもあまり思いつかんが。
その他にもこの前の魚みたいにクリック音衝撃波で攻撃してくる肉食イルカとか、完全に透明化できる人喰いクリオネとか、触手を伸ばして人間サイズの動物でも捕食してしまうイソギンチャクとか、まあさんざんな代物と沢山会った。
「ここ、水族館じゃなくて生物兵器の試験場じゃあるまいな・・・」
「聞き慣れない単語じゃが、言いたいことはわかるのう・・・あ、この先じゃ」
エッソ医師に付いて歩くと、これまでより一回り大きな扉があった。
ふいんき的にもスタッフオンリーな感じ。
オブライアンさんは興味津々だ。
「これ開くんです?」
「五十年前使った専用の道具を持ってきてるからな。ちょいと時間はかかるが開くはずじゃ」
「どれくらいかかります?」
「まあ一時間くらいは欲しいとこじゃな」
オッケー、なら今日は帰りましょう。
「なんでじゃ!?」
目を見開くエッソ医師だが、こちらにも引けないわけがある。
だって、今帰らないと夕方の出番に間に合わないんですよ!
「そんな理由かいっ!?」
そんな理由だよ!
>ガンボイシドー
もちろんガンダムSEED。
そしてシドーと言ったらマックス・フォン・シドー。関係ないけど。
>フライハイトガンボイ
フライハイト=ドイツ語で自由ですw
>ゲキダンフレアー ダイバーテーション・フィールド
共に「機動戦艦ナデシコ」より。ゲキガンフレアーとディストーションフィールド。
中身は大体本文通り。
>大回転大魔斬
大回転大魔弾。ミストヴォルグのモデルであるボルフォッグの必殺技。
魔弾という割には回転しての突貫技である。
>疾風怒濤
ドイツ語でシュトゥルム・ウント・ドランク。
大回転大魔弾とよく似たガンダムシュピーゲル@Gガンダムの必殺技。