異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
第二十一話 ゴブスレ世界のバランスはウォーハンマーRPGくらいだと思う
「迷わず撃て。弾を切らすな。ドラゴンには手を出すな」
――シャドウラン――
時間も押していたし、俺達は先生とレリアさんに挨拶してからその場を離れた。
後で聞いた所によると、エッソ医院は前以上に「大繁盛」してるらしい。
その分もうかってもいるだろうが、大丈夫だろうな? マジで過労死してないかな・・・
しかし、今の俺にそんなことを気にしている余裕はない。
「追え! そっちに逃げたぞ!」
「
というのも、濡れ衣を着せられて現在逃亡中だからである。
どうしてこうなった!
と言うかジャンキーとかサイコパスとか、こっちの世界でも通じるのね!
そんなこと知りとうなかった!
発端は午後の公演が始まったばかりのとき、シルヴィアさんに頼まれたお使いだった。
「ハヤト、紅と白粉買って来てくんないか? アンタまだ時間あるしさ」
別にいいですけど、何で俺? シルヴィアさんなりアルテなりが行った方がわかるんじゃないですか?
「ちょいと遠くてね。残り少ないかなって思ってたら、午後使う分が足りなかったんだよ」
ああそれで・・・まあしゃーないか。
俺の出番までには後二時間くらいあるけど、シルヴィアさんやアルテは一時間もない。
この面子で一番早く移動できるのは俺だし。
ガイガーさんあたり、生身で走っても音速くらい出せそうだが・・・いや、できるかさすがに? できても不思議じゃないが少なくとも地上で音速出したらさすがに迷惑やろ。
そう言うわけで俺はお金を貰い場所を聞いて、ミストヴォルグの力で透明化してから飛び立ったのであった。
で、その先が問題だった。
飛んでいると聞こえてきた剣戟の音。どうやら近くの路地裏が出所らしい。
くそ、また決闘クラブか。放っておきたいが、金属音って事は真剣でチャンバラしてるってことで、この前みたいに大怪我でもしてたらほっとくわけにもいかん。
そう考えて路地裏に立ち入った瞬間、俺は驚きで立ちつくした。
「!?」
後ろから羽交い締めされた男の胸に、もう一人の男がナイフを突き入れてる。
これ決闘クラブの連中じゃない!
殺人だ!
「おい、お前ら何してる!」
「ちっ!」
刺された男性から手を離し、二人が襲いかかってくる。
素人の動きじゃないが、ラファエルさんや、ましてカオルくん、ガイガーさんには遠く及ばん!
「ダブル・ジェットシャックル!」
「「ぐええっ!?」」
久々の鎖付きジェット手錠、オブライアンさんの妹さんを助けた時以来のあれである。
連中の後ろから発射したジェット手錠は奴らの首に後ろからハマリ、二人は自分の勢いで首を絞められて、瀕死のガマガエルのような声を上げる。
「ダブル・クレセントムーン!」
両手に持った三日月型の刃が、奴らの両足のアキレス腱を切って無力化した。
「大丈夫ですか!」
倒れる犯人たちを放置して、胸を刺された男性に駈け寄る。
やべえ、呼吸止まってる。血がどくどく溢れて止まらない。
こっからだと・・・エッソ先生の医院の方が近い!
俺は男性を担いで、再び空に飛び立った。
「すいません! 急患です!」
「ええい、またお前か!」
怒鳴りつけられはしたものの、そこは相手もプロ。
即座に対応してくれた。
「え、何?」
「すいません~。ちょっとこちら優先させて頂きますね~」
それまでエッジシステム(仮)に横になっていた患者をレリアさんが軽々と持ち上げ、入れ替わりに俺が男性をそこに寝かせる。
「丁度良い、魔力を補充してけ! わしらだけだと足らん!」
「は、はい!」
右脇腹の浪漫回路ならぬ胸のヴィラン・コアを大回転させ、魔力を生成する。
先生がパネルを操作すると十本以上のマジックアームが男性に群がり、色々な魔力を照射し始めた。
システムに全力で魔力を注ぎながら、祈るような気持ちでそれを見つめる俺。
「ごほっ」
「!」
一分ほどして、男性が血の混じった咳をした。
やった、呼吸が戻った!
「そのまま魔力を注げ。容態が安定するまでもう少しかかる」
わかりました!
そうして五分ほど魔力を注ぐと、エッソ先生が頷いた。
魔力供給をやめて息をつく。いや結構キツいなこれ。
「治療系はかなりの魔力を使うらしいからの。古代王国時代の遺物とは言え、その辺は変わらんのじゃろうな」
そーゆーもんかー。
「次の~、患者さんを乗せますので~、こちらの方は~、そこのベッドに寝かせて下さいませんか~?」
ういーっす。
抱き上げた男性は目を閉じたままだが呼吸と心音は安定しており、もう大丈夫そうだった。
「あ、そうだ。
先生、この人決闘でこうなったんじゃないっぽいんですよ」
「なぬ?」
「むう・・・」
これから警邏の人のところに話に行きますんで、その間お願いできます?
「そう言う事ならしょうがないの。こいつは身なりもきっちりしてるし、さすがにマジメに対応するじゃろ。ああ、もよりの詰め所は・・・」
了解っす。
ああ、そう言えばあいつらがこの人襲ってた場所もちゃんと言っておかないといけんな。
そんなことを考えつつ、俺はまた飛び立った。
「こいつが俺達を拘束して足を斬ったんだ!」
「その後あいつの胸を刺した! 犯人はこいつだ!」
ええええええええ。
警邏の人を犯罪現場に案内したら、犯人どもがそんなことを言い出した。
いやそんなの、被害者に聞いたら一発ですやん。
そんなの真に受けるわけが・・・
がしゃん、と俺の手にはまる手かせ。
「ハヤトだったな。貴様を逮捕する!」
ええええええええええええ!?
ちょっと待って、話聞いて貰えたらわかるから!
「この二人は身元も確かで立派なスノスレス市民だ。
旅芸人の言葉など信用できるか!」
ピャーッ!?(意味を成さない悲鳴)
逃げてしまった・・・
警邏隊長の命令で周囲のヒラ警邏たちが俺を捕縛しようとしたんで、これはしょうがないよね!?
それ以前にまともな司法制度が期待できない!
「で、どうしましょう!?」
野営地に戻った俺に、シルヴィアさんが深い溜息をつく。
「あんた、本当に厄介ごとに巻き込まれる天才だねえ・・・」
おれわるくないもん!
「ここには透明化して来たんじゃな?」
確認した師匠に頷く。さすがにそこまでまぬけじゃ・・・
「御用改めである! 大人しく芸人ハヤトを差し出せ!」
ファーッ!?
思わず吹き出す俺。
「しょうがない! とにかくここを出ろ! 相手には小僧の場所を察知する何らかの手段がある! 取りあえず妨害術はかけてやるが、その前提で行動せい!」
はいーっ!
そういうわけで、俺はめでたく大道芸人から無法者にキャリアアップしたのであった。
戦鎚RPGやな!(やけくそ
>戦鎚RPG
ウォーハンマーRPG。
イギリスのTRPGで、リアル中世そのままの不潔でサツバツとした世界で混沌の勢力と戦う。
「ネズミ取り」「見習い魔術師」「無法者」「大道芸人」「剣闘士」など100近い職業(キャリア)があり、職業ごとに取得できる技能、能力値上昇率が違う。
色々な職業を転々として少しずつキャラを強くしたり、強くできずに無惨に死んだりするゲーム。