異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十二話 こーゆー字を書く・・・

「追え! そっちに逃げたぞ!」

麻薬中毒(ジャンキー)のサイコ野郎が・・・必ずひっ捕まえてやる!」

 

 そして今、俺は追われてる。

 やっぱり何かそう言う術か何か使って追跡してるんだろうなあ!

 ずっと透明化してるもの!

 というか麻薬中毒ってどこから来たんだよ!

 

 まあ幸いなのは師匠の術のせいか、こっちの場所をそこまで正確に掴んでるわけではないらしいって事だ。

 ないらしいのだが・・・百人くらいの人間がわらわらと周囲を追っかけて来る!

 ここの警邏どれだけ暇なんだ!

 

「そっちだ! そっちの方にいるぞ!」

 

 くそ、大雑把な方向はわかるらしいな!

 光学迷彩+静音ステルスヘリで空飛んで逃げてるけど、何人かはヘリの音を聞きつけてるのか、こっちをぴったり追いかけて来る。

 なるべく音を立てないようにゆっくりめで移動してるのだが、それでも追いすがってくるんだから厄介だ。

 こうなったら速度を上げていっぺん街の外に・・・ん? 何か小石みたいなのが当たった?

 

 振り向くと屋根の上にインドのサリーみたいなものを着た女性の姿。

 どっかで見たような・・・あっ! この人、レヴィータさんの護衛の一人だ!

 

 屋根の上に着地して光学迷彩を解く。

 彼女は驚く様子もなく、下の裏路地を指さすとそのまま飛び降りた。

 ままよ、だな・・・なんてかっこいいセリフを吐く余裕もなく、俺は慌ててその後に続く。

 

 10mほど走ると、何かの食料品店の店先に小柄なサリーの姿がもう一つ。

 顔はかぶった布で見えないけど、体格的にレヴィータさんか?

 何やら言い争いをしているが、すぐ店主がお手上げと言った風に手を上げた。

 路地の入口から響く足音。

 くそ、もう追いついて来やがった!

 

「こちらへ!」

 

 こちらに気付いたレヴィータさんが手招きしながら店の奥に入る。

 それに続いて店の奥に駆け込む俺達。

 店主さんは諦めたような顔でそれを見ていた。

 

「こっちですわ・・・ええと、ここ!」

 

 連れて行かれたのはトイレだった。

 いい女に弱いボクは、誘われるままホイホイとトイレについて行っちゃったのだ。

 って、ホモネタはもうええんじゃ!

 

「・・・」

 

 う、護衛の人にジト目で見られてる。

 見透かされたかな・・・

 

「行きますわよ!」

 

 トイレのふた(いわゆるボットン便所である。出した物が下の穴に落ちる奴)を外してレヴィータさんが中に飛び込む。

 えええええええええ!?

 

「申し訳ありませんが、諦めて飛び降りて下さい」

 

 本人も諦めきった表情で、護衛のお姉さんが俺を突き飛ばした。

 人間は生き、人間は落ちる。 そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。

 でも肥だめの中はいやじゃあああああ!

 

 

 

 かつーんこつーんと響く音。

 下水道の中を小走りで移動する俺達。

 明かりはレヴィータさんが魔法の指輪で灯してくれている。

 

 幸い、糞尿の中に頭からどぼん、は免れた。

 というか俺は空飛べるんだから、冷静に考えればさほど問題はなかった。

 まあ縦穴の壁にあれこれ付いてたんで、ちょっとついちゃったけど!

 

「ここの下水道は、真なる魔法文明時代のそれを流用しているのです。

 どうも材質が特別らしくて、今の私たちが使うような術は阻害されるのだとか。

 恐らく今はあなたを見失っているでしょう」

 

 おー。

 

「あの店主さんも仲間だったんですか。最初からこのルートを考えていたんですね」

「いいえ、全然?」

 

 えっ。

 

「まあ、下水道に入るつもりだったのはその通りですが、店主様は存じ上げませんわ」

 

 ・・・良くトイレ貸してくれましたね?

 今のお姫様の格好はサリーみたいなとは言ったが、俺達がイメージする華やかな奴じゃなくて、むしろ貧民よりのぼろっちい奴。顔も泥で汚してて、どう考えても門前払いされそうだが・・・

 

「トイレを貸してくれ、そうでなかったら店先で漏らすことになる、と脅したのですわ」

 

 ひえええええ。

 特撮監督として有名なアングル・ジソージだか誰かが「人間その気になったらできないことは余りない」とか言ってたらしいけど・・・よくもまあそんなことを。

 

「・・・」

 

 護衛のお姉さんは何も言わないが、走りながら器用に頭を抱えていた。

 すまじきは宮仕えやな・・・。

 

 

 

 一時間ほども小走りに移動した後、レヴィータさんが足を止めた。

 

「ここを昇ります」

 

 え、ここを?

 ハシゴとかじゃなくて斜めの穴ですよ? 色々あれなものがついてますよ?

 

「後で洗えばよろしいのではなくて?」

 

 そう言うと、レヴィータさんは汚物やらなんやらで脂ぎった穴をさっさと這い上がって行ってしまった。

 ホントこの人の行動力凄いな・・・ちらりと見ると、護衛の人が絶望的な表情で首を横に振る。

 溜息をつきつつ、俺は彼女に従って穴を登り始めた。

 

「あれ? でもこの下水道出たら、また俺が場所を見つけられたりしません?」

「この上は大丈夫ですわ」

 

 レヴィータさんに続いて、護衛のお姉さんが口を開く。

 

「恐らくお前を追っていたのは、警邏のスー・ティグという男だ。

 『猟犬(チャリーカ)のスー・ティグ』と呼ばれる男で、生まれつき見たものの場所がわかる力を授かっているそうだ」

 

 《加護》・・・いや、生得魔術(ナチュラル・ソーサリー)だっけ?

 たまにいるらしいですねそう言う人。

 

「博識だな。

 ともかく奴はその力で、多くの犯罪者を検挙してきた、腕利きの警邏だ。

 だが、とかく後ろ暗い噂もついて回りがちな男でな・・・強引な捜査手法に始まり、賄賂や犯罪組織との癒着の噂は枚挙にいとまがない」

 

 確かに、ろくに話も聞かずに俺を犯人と決めつけてたな・・・

 噂を全て鵜呑みにし、犯人を決めつける! 決めつけ警邏(デカ)

 おっとろしいなあ・・・

 

「まあ、我が国は随分マシな方ではありますが、それでも珍しいことではありません。

 悲しいことではありますが」

 

 マンパワーも足りないだろうし、予算とか倫理観念とか、暮らしが余程豊かにならないとその辺はなあ。

 

「!」

 

 そんな話をすると驚きの気配。

 あ、やべっ。

 

「冒険者族かとは思っておりましたが・・・」

「ひょっとしてハヤトさまはオリジナルなので?」

 

 ソウデスヨー。

 おりじなる冒険者族、大魔術師ほっちょ・ぺっぱーデスヨー。

 

「そう言えばそうでしたわね。これは失念しておりましたわ。ごめん遊ばせ」

 

 イエイエ、オ気ニナサラズー。

 ・・・ばれてるかなあ、これ。ばれてるよなあ。

 溜息をつきつつ、俺は無心にゴミ捨て穴を這い上り続けた。




>人間は生き、人間は堕ちる
坂口安吾「堕落論」より。
もちろんこの場合の堕ちるは堕落という意味であって、物理的に落ちることではない。
こーゆー字を書く・・・ っ「墜落」


>アングル・ジソージ
ウルトラマンや帝都物語、姑獲鳥の夏などで有名な実相寺昭雄、もしくはそのユニークな演出として有名な実相寺アングル。
個人的には岡本喜八(シン・ゴジラの元ネタの一つ「日本の一番長い日」を撮った人)と並んでけったいな演出を好む人というイメージがある。
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