異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十三話 雪国

 トンネルを抜けると、そこは雪国だった。

 いやマジで。

 白亜の宮殿に、雪の降りつもった庭園。

 大きさはそれほどでもないが、小型タージ・マハルみたいな華やかさがある。

 雪は綺麗に整えられ、京都の石庭みたいに筋で模様がつけられているところを見ると、そこまで含めて庭園の一部なんだろう。

 

「魔法で雪を溶けないようにして、あの形で固定しているのです。

 オリジナル冒険者族の方が生み出された作庭法ですわ。

 茶道や陶芸の手法などもお伝えになった文化人だったそうです」

 

 うーむ。

 茶道の人だったのかな? その辺横断的に習得してる豪商とか金持ちの武士だったりするかもしれん。

 脳裏でチョビ髭のおっさんがゲヒヒと笑ってたが、あの人の系譜ならもっと前衛的だろうから多分違う。

 閑話休題(それはさておき)

 

「取りあえずこれ洗いましょう。さすがにお姫様がその格好というのは・・・」

 

 隅っこのゴミ捨て場らしきところから俺達は出てきたのだが、ホントに体中ゴミだらけで、染みもついてて汚いにもほどがある。後くさい。

 

「あら、ご心配して下さるんですのね。ありがとうございます。

 確かにひどい匂いですし、それでは着替えてお湯を使わせて頂きましょうか」

 

 お風呂!

 その言葉を聞いた途端、今更ながらにでかいくしゃみが出た。

 へーっくしょい!(オヤジ臭い)

 

 

 

「うー、生き返る・・・」

 

 ちょっとした買い物だからと、薄い舞台衣裳のまま出かけたのが良くなかった。

 その後飛び回ったり走り回ったり下水道を歩き回ったりして冷え切った体に、お湯の温かさがじんわり染みる。

 あー、もうちょっと沸かそう。

 

「俺のこの手が光って燃えるー・・・」

 

 右手がちょびっとだけ爆熱し、ぽこぽこぽこ・・・と泡が上がる。

 あーこのくらいこのくらい・・・

 

 関係ないが江戸っ子が熱い風呂を好むというのは本当かも知れない。

 江戸っ子という訳じゃないが、東京出身の親父が関西の友達の家に遊びに行って、風呂沸かし直したら熱すぎるって怒られたそうな。

 正直親父が個人的に熱い風呂が好きなだけじゃないかと思うがどうなんだろうな。

 閑話休題(それはさておき)

 

 ゆっくり浸かって芯まで温まった後、バスローブ姿でくつろぎながら冷たいジュース。

 時間をかけて汗を流し、体温を元に戻す。傍には侍女が控えていて、うちわで扇いだり、マッサージをしてくれたりする。

 気恥ずかしいのでマッサージは断ったが、贅沢な入浴法やなあ。

 さすが王族の風呂。

 その後しばらくジュースを楽しんでから、俺は冷却室(というらしい)を出た。

 いや、着替えは手伝わないでいいですから! お願いだから外に出てて!

 

 貴族のお坊ちゃんみたいな服に着替えると、俺は居間らしき場所に案内された。

 既にレヴィータさんが待っていて、護衛の女性がその後ろに控えていた。

 

「あら、良くお似合いでしてよ」

 

 ありがとうございます。

 あ、俺の服は?

 洗濯してくれてるんですか?

 

「あ、処分するように言っておきましたがまずかったでしょうか?」

 

 えっ!

 

「姫、あれはハヤトさまの舞台衣裳ですから・・・」

「ああ、それは失礼しました。では同じ衣裳を新しくご用意させていただきますわ」

 

 燕尾服なんだけど・・・こっちでも結構あんの?

 

「あれもオリジナルの方が広めた礼服でございますし」

 

 そうかもしれないが、あれはアルテが俺のために仕立て直してくれたものだからなあ。

 しかしあちらとしては善意な訳で、どう切り出そうか・・・。

 

 そんなことを考えてると、レヴィータさんと護衛の人が視線を交わした。

 どっちも笑みを含んだ表情。

 う、嫌な予感・・・。

 

「なるほどなるほど、それは重ね重ね失礼致しました」

「恋人の手縫いの衣裳とあれば、粗末にしたくないのは当然でございますね。これは気付かぬ事を」

 

 いやっ! だからっ! そう言うのではっ!(必死)

 

 

 

 二十分くらい必死で弁明した結果、二人はどうにか理解してくれた。

 

「そうですね。一座の仲間が作ってくれた、思い入れのある衣裳ですものね、ええ」

「長く使った道具には愛着があるもの。無論そこに恋愛感情が挟まっているなど有り得るはずもございませんね、ええ」

 

 にこにこと笑うレヴィータさんと護衛の女性。

 これいまいちわかってねえな・・・?

 

「ともかくハヤトさまの御衣装は回収して洗濯するように申しつけておきましたのでご安心下さい」

 

 あざっす。

 しかし、俺ここにいて大丈夫なのかな・・・?

 その猟犬さんだったか、警邏隊長は俺の居場所を掴んでるんですよね?

 

「大雑把なところは掴んでいるでしょうね。ですが、あれだけ数を出してあちこちを探させているのですから、本当に大雑把な場所しかわからないのでしょう」

 

 まさか王族の離宮か何かに踏み込むこともできないだろうけど、この辺の家やら何やらしらみつぶしに探されたら、消去法でここだってわかりません?

 

「この周辺は高位の貴族の別邸が大半です。

 明白な証拠でもない限り、一介の警邏隊長が手を出せるところではありません」

 

 なるほどー。

 しかしこれからどうしよう。

 ここにいれば見つからないけど、このままじゃ雪隠詰めだ。

 ああいや、エッソ医院の被害者の人が回復すれば、さすがの決めつけ警邏(デカ)もその証言で考え直してくれるか?

 

「それで考えを翻さないようであれば、私の方からお口添え致しますわ。

 さすがに彼も王族に逆らう度胸はないでしょう」

 

 素晴らしい。

 権力バンザイ!

 いやあ、権力者のお友達がいるっていいなあ!

 世の中の人々が権力にすり寄る気持ちがちょっとわかるわ!

 

「それまではこの離宮でお過ごし下さい」

 

 ありがとうございます。せっかくだから、王宮のおもてなしを堪能させて貰おう。

 公演に穴開けちゃって、帰った後のシルヴィアさんが怖いけどな!

 そして迎賓館みたいな超豪華ホテルに一泊して翌日。

 

「被害者の方が行方不明になってるそうです」

 

 なんですとーっ!?

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