異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
取りあえず話を持ってきてくれた護衛の人から詳しい事を聞く。
くだんの消えた被害者、容態が安定したので手術室から集団病室のベッドに放り込んでおいたのだが、今朝エッソ先生たちが気付いた時には姿を消していたらしい。
「申し訳ありませんが、それ以上のことはこちらでもつかめておりません」
「どのような方だったのですか? 犯罪者というか後ろ暗いところのあるような・・・?」
「えーと」
お姫様のご下問にちょっと考え込む。
襲っていた方は二人ともわりかし犯罪者ヅラだったが、被害者の人はごま塩髭を生やした普通のおじさんだった気がする。
かついだ時にあまり筋肉が付いてなかったような気がするから、肉体労働者ではないかなあ?
寝かしたときに気付いたが、手もごつごつしてなかったので多分職人さんのたぐいでもない。爪の間に土がついてないから農民でもない。
それと着ているものが高級とかではないが、土ぼこりとか、何かのシミとか、そう言うのが無くてこざっぱりしてる感じがした。なので商人の人にしても生鮮食料品とかを扱う人ではないし、露店の店主や行商人でもないんじゃないかなあ。
ごま塩ヒゲも伸ばしっぱなしではなく、そこそこ綺麗に整えられてたんで、客商売の可能性は結構ありそうだ。それも意外と高級品のたぐいを売るところかもしれない。高級なお菓子とかサービス業とか。
「わかるのはこんなところでしょうか・・・何です?」
気がつくとお姫様と護衛の人が目を丸くしていた。
ぱちぱちぱち、とお姫様が拍手してくれる。
「素晴らしいですわ。少し接しただけの相手をそこまで詳しく見てとることができるなんて」
ふっふっふ、シャーロック・ホームズに憧れて、一時期観察と推理ばかりしてたミーハーとは俺の事ですよ。
男は誰でも、一生に一度は名探偵に憧れるのだ。
「まるでシャーロック・ホームズですわね!」
あんのかよこの世界!?
わかっちゃいたが俺の先輩方は節操がなさ過ぎる・・・
いや、俺も向こうの小説から劇の脚本のネタ出ししてたから言えた義理でもないけど。
後服が微妙に派手だったし、結構オシャレっぽいと言うか、洒脱な感じもした。
ひょっとしたらあれだ、俺と同じ芸人か、あるいはまあその、夜の町関連の人かもしれない。
「ああ、ポン引きと言う奴ですか。それとも女衒?」
お姫様がそう言う言葉使っちゃダメーっ!?
誰が教えたんだ! あなたか!
思わず護衛の人を見ると、必死にぶんぶんと首を振る。
「違います! 姫様、お願いですからそう言う言葉をお使いにならないで下さいと何度も・・・!」
「あら、時と場合はわきまえておりますわ。あなたとハヤトさましかいないのですから、いいのではなくて?」
そう言う問題なのか?
「違います。絶対に」
断固として否定しつつも、絶望の溜息をついて護衛の人がうなだれた。
「ともかく警邏に今の情報を伝えておきましょう」
疲れたように一礼して護衛の人が席を外す。すまじきは宮仕えやな・・・(天丼)
「お願いしますね」
レヴィータさんが優雅にカップを取り上げ、静かに口にした。
うーん、それだけのことがいちいち絵になる人だ。
俺が公園のベンチでサンドイッチ食ってても背景の一部だが、キAヌ・リーブスがやると映画のワンシーンみたいになる。
顔もそうだが所作とか雰囲気が違うのだ。
そんなことを考えていると、レヴィータさんがカップを置いてこちらを見た。
にっこりと笑うお姫様。あ、やばい。見透かされたかな。
「さて、ハヤトさま」
は、はい。
「今日の護衛は今出ていったクロエと奥に控えているステフだけ。
つまり、今は二人っきりと言う事ですわ」
どことなく妖しげな雰囲気を漂わせ始める、お姫様の笑み。
「しばらくは侍女も近づかないように言いつけておりますし、大声を出さなければステフもこちらには参りません」
身を乗り出してくるレヴィータさん。
そ、そうなんですか(汗)。
「つまり、私どもが何をしても、しばらくは邪魔が入りません。
・・・わたくしが何を言いたいのかおわかりですわね?」
え? いや、その、まさかとは思うけど・・・
いかん! イレマーレのマナさんはまだしも、この御姫様相手にそんなフラグ立てた覚えはないぞ!?
この国の王様はレヴィータさんをメチャクチャかわいがってるらしいし、下手な事したら打ち首獄門さらし首!
落ち着いて下さい姫様! 俺には三人のかわいい恋人とひとりの年増の愛人が・・・いるわけでもないけど、そんなことになったら万が一この国から逃げ出せても多分命がないんです!
どうか早まったことは・・・!
「そうです。
私とハヤトさまで、事件の真犯人を突き止めるのですわ!」
そっちですか!?
「結局押し負けてしまった・・・」
隠し場所から手際よく衣裳を引っ張り出し、別室でさっさと着替えてしまったお姫様。
俺も諦めて粗末な服に身を包み、お姫様の後からトボトボとついていく。
「あれ、ゴミ捨て場行くのでは?」
「さすがにゴミや汚物にまみれて調べ物はできないでしょう。
大丈夫、出ていく手段はいくらでもありますわ」
そう言いつつ、暖炉の奥の壁を押すレヴィータさん。
影になっていてよく見えないが、何かスイッチが入った音がした。
ごごごごご、と音を立てて暖炉の奥のレンガ壁がずれていく。
くらやみのかべをおせ、というやつかな。遊んだことないけど。
暗い通路を進んで行くと、どこかのしゃれた邸宅の庭に出た。
結構長く歩いたな。ここどこだ?
「王城の西側の一帯ですね。先ほどまでいた離宮からは1km程離れています。
表向きはとある貴族の所有と言う事になっておりますが、滅多に使われませんのでそこはご安心下さい」
さすが王族、あれこれ備えは万全やなあ。
しかし、離宮の方は今頃騒ぎになってるだろうなあ。
大丈夫なんです?
「・・・・・・・・・・・・・てへっ♪」
てへっ♪じゃねーよ!
かわいく言ったら何でも許されると思うな!
いやまあかわいいから許すけど!
>そんな言葉を
本来お姫様とか上流階級の女性は、「娼婦」とかそう言う言葉を使うだけでアウトだったりします。