異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「さて、意気込んで出てきたのはいいですけどこれからどうしましょう?
こうして二人で出てきたからにはクロエたちにお願いすることもできませんし」
邸宅の門を出たところで首をひねるお姫様。
その仕草だけでも絵になるが、何も考えてなかったんかい!
自信満々で出てきたのに!
「まずは行動することですわ。
今戦わない人間が後で戦うはずがございません。
戦わないための言い訳など、無限に考えつくものですわ」
うわあ、「魁!漢組」の名セリフ。
こんな昭和臭溢れるセリフ持ち込むほうも持ち込む方だが、それをお姫様が知っているってのはどういう教育受けてるの。
「? 普通に有名な戯曲の名場面ですが?」
あかん(あかん)。
まあ俺から見れば古くさいけど、この世界の人から見たらかっこいい名言なんだろうなあ・・・
(・・・やっぱり無理ですか?)
(その男の顔をわしは見ておらんからのう。小僧の記憶から引っ張り出すこともできなくはないが、やはり術の精度は大きく落ちる。
小僧の案の方が確実じゃろうて)
(わかりました。失敗したときはお願いします)
(うむ。くれぐれも気を付けての。こっちの周囲にもまだ5、6人は張り込んでおるから、滅多な事では戻ってこぬ方がよいぞ)
(ですよねー)
溜息をついて師匠との念話を切る。
本当にしつこい奴だな、あの決めつけ
ええい、こうなりゃプランBだ!
「それじゃ、ちょっとエッソ先生の医院に行ってみましょうか」
「まあ、何かお考えがあるのですね?」
目をキラキラさせるお姫様。
なんだろう、こう言う人がこう言う目をするとろくな事にならないような気が・・・
まあいい、とにかく行動だ。
このままだと俺にかかった嫌疑は解けないし、そうなると一座のみんなにも迷惑がかかるからな。
「やはり重要なのはまず行動することですわ。
ハヤトさまも同じ考えのようで、嬉しゅうございます」
あんたはもうちょっと、行動する前に考えてからにしなさい。
お姫様に対して順調にぞんざいになっていく自分を自覚しつつ、俺は先生の医院の方へ歩き出した。
「はい~。ステゴロですか~、切り傷ですか~・・・あら~~~、ハヤトくんじゃないですか~。まだ捕まってなかったんですね~」
開口一番それかい!
相変わらず大賑わいのエッソ医院。
応対に出てきた目隠れのほほんグラマラス巨女看護婦レリアさんの、初っぱなの一言がこれであった。
そうだよな、この人のほほんしてるから誤魔化されがちだけど、結構いい性格してるんだこれが。
「ご無沙汰しております、レリアさん」
「あらあらあら~~~。レヴィータちゃんじゃないですか~。お久しぶりですね~」
あれ、お二方お知り合いで?
「ええ。親戚に当たりまして」
「年齢は違いますけど~。幼馴染みと~、いうあれですね~」
周囲を広域汚染する和みオーラをぽわぽわ発するレリアさん。
思わず流されてしまいそうになるが、ここは雰囲気に負けている場合じゃない。
俺が担ぎ込んだ被害者の人いるでしょう。
「いませんけど~?」
ああうん、今はいないけどいたでしょう?
何か持ち物が残ってるとか、血や汗をふいたタオルとか残ってたらちょっと貸して貰えません?
寝てたベッドでもいいです。その後他に同じベッドで寝た人はいます?
「持ち物は~、残ってないですねぇ~。布とかはすぐに洗うか焼くかしてしまいますので残ってません~」
そりゃそうか。不潔だもんな。
この世界、衛生観念がマジで近代的なのは本当に助かる。
ナイチンゲールの話などを聞くに、それ以前は血まみれの包帯とか平気で使い回して患部が腐ってたりしたらしいし・・・オリジナル冒険者族バンザイ!
「ベッドは~、あれから空いてたと思いますよぉ~」
やっぱりか。寝かせたときに結構空きが多かったからそうじゃないかとは思ったけど。
多分あのエッジシステム(仮)のせいで、寝かせておかなきゃならない重症患者が減ったんだろうな。
俺が持ち帰ったあれが、回り回って俺を助けるとは妙なもんだ。
情けは人のためならずってのはこう言う事だろうな。
「でもあんまり感心しませんねえ~。人形に欲情するのも大概ですけどぉ~。おじさんの残り香に興奮するのもいい趣味とは言えませんよ~?」
そういうのじゃないから(真顔)。
交換していないことをレリアさんに確認してから、掛け布団とベッドのシーツをクンクンと嗅ぐ。
「・・・」
そこのお二人さん、お願いだから胡乱な目で見ないで。
変な風に見えるだろうけど、必要な事なんです!
そう主張すると、レリアさんがぽん、と手を叩いた。
「ああ~。《獣の加護》ですね~? 犬みたいに匂いを嗅いで後をつけるんですか~」
その通りである。
《獣の加護》そのものではないが、俺には《ロボットアニメの加護》がある。
普段使いしている「勇者獅子王ラオライガー」のミストヴォルグもそうだが、勇士シリーズに出てくる忍者ロボというのは大体犬や狼に変形できて、嗅覚センサーも備えている。
だから本物の猟犬同様に匂いで追跡することも可能なのだ。
・・・正直余り使いたくはないんだけどな・・・普段感じない悪臭とかモロに鼻を直撃するし、普通ならいい匂いと思っている花の香りとか美味しそうな料理の匂いとか、そう言うのが全部ガツンと鼻に来る。
あれだ、香りが強すぎる香水。
とは言え今回えり好みしてられる状況ではない。
被害者Aさん(仮名)の匂いは取りあえず覚えた。
これで・・・
「御用改めである! 逆賊・芸人ハヤトを大人しく差し出せい!」
ピャーッ!?(言葉にならない悲鳴)
ちくしょう、無駄に有能だなこんな時だけ!
それでも問答無用で踏み込んでこないだけまだ理性的な対応か!
「とりあえず~。私が応対いたしますので~、その間に~逃げて下さいね~」
ありがとうございますレリアさん!
「丁度そこにお手洗いがありますわ。また使わせて頂きましょう」
またう●こまみれになるのかよぉぉぉ!
心で泣きながら、俺はお姫様に手を引かれ、ボットン便所の中に飛び込んだ。
>「魁!漢組」の名セリフ
元ネタは美味しんぼの原作者雁夜哲と、「スパイダーマン(通称池上スパイダーマン)」「クライングフリーマン」「トリリオンゲーム」の池上遼一がタッグを組んだ「男組」。魁!男塾は関係ありそうでない。
原文は正確には
「大事なのは今だ! 今闘うことが大事なんだ! 今、闘わない人間が後で戦うわけがない!
戦わないための言い訳なんて、無限に考えつくものなんだ!」
「魁!クロマティ高校」の単行本宣伝文でパクられたことでも有名(?)。