異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十七話 被害者くんの家庭の事情

 このおっさんはアジャ。一人娘のディディさん七歳を抱えるシングルファーザーで、俺の推理通り夜の町の客引き――いわゆるポン引きをしてたとのこと。

 要するに「兄ちゃん兄ちゃんいい娘いるよ」って声かける人達のことだ。

 本人曰く、余りあくどい商売はしてないとのことだがまあそこは置いておこう。

 でもそれならどうして襲われるん? ヤクザの縄張り争いにでも巻き込まれた?

 

「それが・・・どうも何かやばいことを知ってしまったみたいで・・・」

 

 彼の働く娼館は結構上級のところで、元締めが客を招いて密談をすることもあるらしい。

 裏庭でタバコ吸ってサボってたら、開いていた窓から偶然話が聞こえて来たのだそうだ。

 

「それが何の話してるのかよくわからなくてな。魚が沢山用意してあるとか、包丁の準備は十分かとか、決闘クラブがどうこうって話もあった」

 

 うーん? 決闘クラブの話が気にはなるが、それだけだと魚市場か何かのシノギかもと思うんだが。

 

「だよな? さっぱり訳がわからないんだが、とにかくまずいことだったらしい。

 顔を出した元締めに見つかって、問答無用に殺されそうになったんで慌てて逃げて、あの路地で捕まって殺されそうになったところをアンタに助けて貰った、って訳だ」

 

 ふーむ。それで、娘さんとかそちらのおばさんとかは?

 

「医者のところから逃げ出した後、ディディを連れ出しに行ったんだが、家にはいなかった。

 代わりに『娘の命が惜しければ、すぐに来い』という脅迫状があって・・・

 そのことについて相談しようと、叔母のところに来たんだ。頼りになる人で頭もいいし、知り合いも多いからな。

 だが、あっちもそのことは知ってたらしく、俺が話を始めたところでご覧の有様だ・・・」

 

 悔恨の溜息をつくアジャさん。

 色々運が悪かったなあ。

 

「叔母様の怪我は大事ありませんわ。しかし、そこで元締めのところに行かずに叔母様の所に相談に来たのはいい判断だったかも知れません」

 

 どこからか取り出したポーションでおばさんを手当てしてた姫さん。

 叔母さんも頷いた。

 

「大人しく出ていったところで、命を助けてくれるとは思えないねえ。

 ディディ共々殺されておしまいだったろうよ。アンタにしちゃ上出来だ」

 

 殺されかかったのにタフな人だ。アジャさんが頼ろうとしたのも頷ける。

 

「いやそのそれが・・・」

 

 ん? ひょっとして何かあるのか?

 

「ヤバいってことだけはわかったんだよ。警邏にも頼れないって事も」

「・・・どういう事です?」

 

 レヴィータさんの声に厳しいものが混じる。

 だが、その次に発された言葉は、そのお姫様をして驚愕を避け得ないものだった。

 

「それが・・・部屋の中にいた三人の内、一人は『猟犬』のスー・ティグだったんだ」

 

 なぁぁぁぁっ?!

 

 

 

「大丈夫ですか、ハヤトさま?」

 

 あ、はい、大丈夫です。多分。

 けど、あの決めつけ警邏(デカ)が最初からグルだったってのはさすがにショックだった。

 

「私もですわ。優秀な警邏として有名な方が、まさかそこまで犯罪組織と癒着していたとは」

 

 お姫様が溜息をつく。

 対照的におばさんはつばでも吐きそうな表情。

 レヴィータさんがいなかったら絶対吐いてたと思う。

 

「あたしゃ不思議にも思いませんけどね。絶対にそう言う後ろ暗いところがあるだろうと思ってましたよ。

 この近辺だけでも、あいつに泣かされた人間は両手の指じゃ利かないんだ」

 

 うーむ。

 しかしこうなると本格的に戦力整えて殴り込みするかしないと・・・

 

「ですね。ヘタをすれば警邏隊の上の方も噛んでいるわけですし」

 

 そんなことを話していると、マジカルリングで拘束していたチンピラの一人が下品な笑い声を上げた。

 叔母さんにナイフを突きつけてた、多分こいつらのリーダーだ。

 

「バーカ、そんな時間があるかよ! 俺達が十一時の鐘までに戻らなきゃ、こいつの娘は殺されるんだ!

 それが嫌ならとっとと元締めのところに行くんだな!

 そうすりゃ、娘は売り飛ばすくらいで許してやるぜ!」

 

 なぬ!?

 《加護》の体内時計で時間を確認する。

 現在午前十時四十七分。

 あと十分くらいしかないぞ!?

 

「・・・人を呼んでくる時間はなさそうですわね」

 

 悔しそうに顔を歪めるレヴィータさん。

 ハスキー一座まで俺が飛んでいってみんなを連れてくる手も無くはないが、それでもギリギリ間に合うかどうか。

 

「・・・」

「ハヤトさま?」

 

 いや、そもそも本当にそうなのか?

 こいつがハッタリカマしてるだけじゃないのか?

 

「さてどうだろうなあ? けど、ハッタリじゃなかったらこいつの娘は確実に死ぬぜ?」

 

 へらへらと、勝ち誇った笑みを浮かべるチンピラリーダー。

 くそ! その通りだ! ハッタリだろうとは思うけど、それでも行くしかない!

 

「場所は私が走って7,8分のところですか。

 ハヤトさまならもう少し早く行けますわね?」

 

 頷く。

 もう考えてる暇はないな。行くしかない。

 

 

 

「オラオラどけどけぇーっ!」

「うわっ!」

「ひえっ!?」

 

 午前中の、買い物客でそこそこ賑わう街路を爆走する俺。

 

「あっ、あいつだっ!」

「芸人ハヤト、大人しくお縄に・・・うわあっ!?」

 

 前を遮る警邏の人をはね飛ばして走る!

 すいません、緊急避難って奴です!

 ピー! ピピー!と鳴り響く警笛。

 

「出たぞー!」

「こっちだー!」

 

 わらわらと現れる警邏たち。

 くそ、アクションゲームの雑魚キャラかよ!

 

「たっ! とっ! はっ!」

「うおっ!?」

 

 《加護》で得た身体能力任せに、壁面三角飛びを繰り返して警邏たちを飛び越え、先に進む。

 ホントにアクションゲームだな!

 

「あいつだ! 追え! 捕まえろ!」

 

 ん? 聞き覚えのある声が・・・あっ、決めつけ警邏(デカ)

 

「奴をこれ以上進ませるな! 何としてでもここで捕らえるのだ!」

 

 どこか切羽詰まった決めつけ警邏(デカ)の声。

 警邏必死だな・・・と思った瞬間、視界の隅に目的地。

 アジャさんの娘さんがいるだろう、ヤクザの元締めのお屋敷。

 ピーン(閃いた音)。

 

「ははは! こっちだ! ついて来いよ!」

「待てー!」

「舐めやがって!」

「石抱かせてやる!」

「ぶりぶり責めだ!」

 

 鬼気迫る表情で追ってくる警邏の皆さん。

 まああっちからしたらここ二日走り回らされて、いい加減イライラも限界に来てるだろう。

 というか、石を抱くのはまだしもぶりぶり責めって何! コワイ!

 

 だが悪いのは俺じゃなくておたくらの上司だからな!

 もうちょっと付き合ってくれ!

 

「大回転大魔斬!」

「「「のわーっ!?」」」

 

 五分ほどの猶予を残してたどり着いた成金趣味のお屋敷。

 全身を銀色の弾丸と化し、回転しながら特攻。

 門と門番のチンピラどもを吹き飛ばしつつ、俺は警邏たちを引き連れて元締めの屋敷に突入した。




>ぶりぶり
逆さづりにして水につけながら、数人がかりで竹や木の板でぶったたくという拷問。
何故かこの時「ぶりぶり!」とかけ声をかけるのでぶりぶり責めと言うらしい。
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