異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十九話 これにて一件落着!(したらいいなあ)

 遠く、十一時の鐘が鳴るのが聞こえる。

 ほとんどの人間が片膝をついて平伏する室内。

 立ってるのは俺とスー・ティグ、商人風の男とその護衛くらい。

 

「副隊長、スー・ティグとゾンク、そこな男と配下たちを逮捕しなさい。臣民アジャとその叔母に対する殺人、及びその娘ディディの誘拐、そして内乱罪の共謀容疑です」

「は、ははっ!」

「ま、待て・・・!」

 

 何かわめき散らして抵抗もしたが多勢に無勢、スー・ティグはあっさり捕縛された。

 気絶しているゾンクや、戦意を失ったヤクザどもも同様に。

 

「・・・」

 

 一方で商人風の男とその護衛二人は、じりじりと俺が破った窓の方に近づいて行く。

 警邏の人たちがその逃げ道をふさいだ。

 

「武器を捨て、投降しなさい! もう逃げ道はありません」

「ちっ、搾取だけが取り柄の抑圧者が・・・!」

 

 商人風の男が舌打ち。

 何か不穏な言いぐさだけど、それ以上にまだ何か隠し持ってるなこいつ・・・!?

 

「マジカルリング!」

「VHE-HA!」

 

 俺が捕縛用の魔法の輪を投げつける寸前、男の手が胸元のメダルを握りしめ、コマンドワードを唱える。

 館が揺れ、床を突き破って何かが現れる。

 崩れ落ちる床の中で、咄嗟にお姫様とアジャさん親子を抱えて宙に飛び上がった俺が見たのは、20メートルほどもある巨大な亀だった。

 

 アイエエエエ!? 亀!? 亀ナンデ!?

 しかもウミガメだぞこいつ! 手足が足じゃなくてヒレだ!

 それが屋敷の一部を突き破って・・・これ地下から出て来たのか?

 どうやって地下に運び込んだんだよ!

 

 いやまあそんなこと考えてる場合じゃないな。

 取りあえず三人をどこかに下ろして・・・くそっ、例の商人たちは姿が見えん!

 

「敵の策にはまるようでしゃくですが、取りあえずはあの亀を何とかしないといけませんわね」

 

 ですね。

 周囲は市街地だ。暴れ回られたらかなりの被害が出る。

 お姫様たちをどこかに下ろして、ばれないように・・・

 

「わたくしが申し上げることでもございませんが、ここはハヤトさまの出番なのでは?」

 

 バレテーラ。

 ええい、それならいっそ気が楽ってもんよ!

 取りあえず下ろしますので、三人とも早く警邏の人と合流して下さいね。

 

「承りましたわ。ご武運を」

 

 アザッス。

 

 

 

「マシン・オン!」

 

 一応光学迷彩を発動して姿を隠してから、俺は呪文を唱える。

 俺の、俺だけの最強の力を呼び起こす呪文。

 《加護》の力が切り替わり、光学迷彩が途切れる。

 巨大化。

 鋼鉄の肉体。

 ただの人間である俺が、不滅の魔神に姿を変える。

 

『オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"!』

 

 咆哮と共に、超合金Σの巨神が首都の街路に降り立った。

 

 

 

 半壊した屋敷の二階。俺を見て警邏の人達が驚いている。

 

「あっ! あれは武神(ハマン)の島に出た鉄人形!?」

「知っているのかネッド!?」

「ああ、ガイガー先生の邪魔しやがったやつだ!」

「え、誰だそれ?」

 

 首をかしげる副隊長さんと、俺を指さすひげ面でやぶにらみのドワーフみたいな警邏のおっさん・・・あっ! この人、俺に武神の島への通行証くれた人だ!?

 あんた警邏だったんかい!

 仕事しろよ! 休みにしてももうちょっと有意義なことに時間を使え!

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 戦いは巨大スコップの召喚から始まった。

 

『ディバイディング・スコッパァァァァ!』

『!?』

 

 ピギィ、と大亀が声を上げる。

 警邏やヤクザもの達も同様に。

 

 ヤクザ屋敷の庭に突き刺さったスコップは地面に光の線を走らせ、その線に沿って大地が割れる。

 亀が亀裂に沿って地の底に落ちる。亀だけに亀裂!

 

 いかん、ラファエルさんに影響されてる。

 オヤジギャグは置いといて俺も地の底に身を踊らせる。

 他に巻き込まれて落ちた人は・・・よし、いない。

 ここなら全力を叩き付けられるぜ!

 相手はヨタヨタとしか歩けない産卵中のウミガメ、物の数ではない!

 

『ブレストヴォルケイノ! ・・・なにいぃぃぃぃ!?』

 

 胸から放たれる三万度の熱線。

 デモゴディΣ最強の兵器を、ヨタヨタとしか歩けないはずのウミガメは華麗に避けた。

 いやなんで、地上を真横に滑って軽やかに回避してんの!?

 良く見ると四本のヒレの先から炎を噴射して、ホバー移動みたいにスルスルと動いている。

 こいつパンジャンドラムタートルの同類か!?

 何にしてもアレだ、初手で必殺技は負けフラグだなやっぱり!

 

『豪子力ビーム! ミサイルドリル!』

 

 タイムラグの少ないこの二つを乱射するが、やはりスルスルと前後左右に素早く動いて連続回避する亀野郎。

 俺は地の底で巨大ロボと戦う怪獣! ザ・苦労亀! 言ってる場合か!

 

『うおっ!』

 

 やっぱりだが火まで吐いて来やがった!

 しかも広範囲拡散タイプでちょっと回避がつらい!

 その分威力控えめだからダメージはさほどでもないが、うっとうしいなこれ!

 長期戦に持ち込まれると面倒だ・・・よし、これで行くぞ!

 

 このディバイディングスコッパーで作られた空間は、地面が完全に平坦で、それ故にホバー移動には都合が良い。

 なら、その前提を崩してやればいいのだ。

 前回の腐銀妖魔コバル戦で体得した、巨大状態でも二つめのロボを使える能力。

 今回はそれに加えて、この技に最適のシチュエーションという有利な状況もある。

 燃えよ! 砕け! 俺の拳!

 

『おおおおおおおおおおお!』

『!?』

 

 俺の体が金色に輝く! 戸惑う亀だが、これは奥義を使う前段階に過ぎない!

 

『炸裂! ガイアスマッシャー!』

 

 ディバイディングスコッパーとは逆に、地面に叩き付けた俺の拳を起点に大地が隆起する。

 

『ビギィ!』

 

 その盛り上がりは一瞬にして戦闘フィールドを走り、ホバー亀を捕らえる。

 ホバー移動するどころか、岩に半ば飲み込まれてジタバタする亀。

 これぞガイアスマッシャー、扱いは悪いが実は強かったGガンボイのパワー担当の奥義よ!

 そして動きを止めればこちらのもの!

 体を覆う光が、先ほどまでの明鏡止水のそれから豪子力のそれに移り変わっていく。

 両腕が大車輪に回転し、それが頂点に達したとき、二筋の光の矢が宙を疾る。

 

『大回転ロケットパンチッ!』

 

 悲鳴の一つをあげる暇もなく、盛上がった岩山もろとも、巨大火炎噴射亀は光の矢に貫かれて消滅した。

 ・・・ん? 消滅? 爆発でも血しぶきを上げて肉片が四散でもなく消滅?

 どういう事だ? ダンジョンのモンスターは倒すと消えるけど、それでも倒したときは普通の生物と同じように血しぶきを上げるし、死体が消えるまでにも多少のラグがある。

 うーん・・・わからん、わからんが後で師匠に相談してみよう。




>ザ・苦労亀
僕のヒーローアカデミア外伝「ヴィジランテ」の主人公、ザ・苦労マン(違)。
ブラックロッドの人が脚本書いているだけあって、原作漫画もアニメも最高やでえ・・・!
似たのは割と偶然だけど、四つん這いでホバー移動する姿が割とまんまだったw

>ガイアスマッシャー
Gガンダムのボルトガンダムのガンダムファイター、アルゴ・ガルスキーの必殺技ガイアクラッシャー。
地面を隆起させる通常モードと、相手に直接震動波を叩き込んで破壊する真モードがある。
監督によれば前者は本質的に相手の動きを封じる妨害技とのこと。
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