異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四章「スノスレスの休日」
第三十話 幻体戦士術って使ったことない


「前から憧れていたことをしたいわ。何でも気が向くままに」

 

     ――『ローマの休日』――

 

 

 

 それから数日後、訪れてきたクロエさん(王女様の護衛のひとだ)から聞いた話に、俺は思わず大声を出してしまった。

 

王に叛くもの(アンティゴネー)!?」

「マジかよ」

 

 アーベルさんも苦々しい顔でうめく。

 

「少なくともスー・ティグとゾンクを尋問した結果、その名前が出てきたのは事実です。

 『嘘つきの卵(ライアー・エッグ)』でも嘘は検知されませんでした」

 

 じゃあアジャさんが聞いた魚とか包丁とかってのも何かの隠語か。包丁は武器? 魚は・・・まさかとは思うが、あの巨大亀とかのことか?

 

「その可能性が大きいのではないかと、警邏の上層部も睨んでいます。

 ああ、警邏の上層部にいたスー・ティグの協力者というかシンパも尋問を受けていますが、どうもいいように操られていただけらしく、二階級降格の上で閑職に左遷と言うことで収まりそうです。

 恐らく死ぬまでそこから出られないでしょうね」

 

 くすりと笑うクロエさん。メガネのキャリアウーマンっぽいお姉さんだから様になる。

 南無南無。まあそいつは因果応報として、引きずり回された警邏の皆さんの方がどっちかと言うと気になる。しょうがないこととは言え、結構ご迷惑をおかけしたからなあ。

 

「まあそれは・・・やむを得ないことではございますし、彼らも納得はしてくれるでしょう。

 むしろ問題は『王に叛くもの(アンティゴネー)』のほうです。構成員とおぼしき商人風の男は未だに発見されておりませんし」

 

 スー・ティグは一度見た相手は場所を見つけられるんですよね?

 脅して協力はさせられないんですか。

 

「『嘘つきの卵(ライアー・エッグ)』つきで試してみたそうですが、王都の外にいるらしいと言うこと以外はわかりませんでした」

「下水道のような、古代遺跡の中にいる可能性もあるのう」

 

 師匠の意見にクロエさんが頷く。

 

「現状では手詰まりといったところです。それでハヤトさまにお尋ねしたいのですが、あの巨大亀の正体に何かお心当たりはございますでしょうか」

 

 巨大亀の正体か・・・あの後師匠とも話してみたんだが、生き物じゃないし、ダンジョンのモンスターでもないし、なら何だろうという結論にしかならなかった。

 

「倒された瞬間に消失したそうじゃからの。わしの知識の中だと、召喚術で呼び出された存在ではないか?というくらいかの」

 

 召喚術。悪魔とか呼び出すような?

 

「まあ、悪魔でなくとも霊体を召喚してそれにかりそめの肉体を与える術じゃな」

「昔話ではよく聞きますが、実際にその様な使い手が存在するものでしょうか?」

「霊体の召喚とかりそめの肉体の構築の両方が必要とされるから、滅多に使い手のいない術ではあるな。かくいうわしも小規模な使い魔位ならともかく、実戦に耐えるようなもので今生きてる使い手は知らん。

 逆に霊体なしでかりそめの肉体、例えば虎だの戦士だのを作り出して戦わせる様な術もある。こちらはたまに見るの」

「ですか・・・」

 

 その後もあれこれ話したが、手掛かりになるような事は思い出せなかった。

 

「すいません」

「いえ、今のお話だけでもかなり参考になりました。それではまた、何かありましたらよろしくお願い致します」

 

 丁寧に頭を下げて、クロエさんが帰って行く。

 彼女の足跡が聞こえなくなると、天幕の中で一斉に溜息が上がった。

 その中でも特に大きかったのはアーベルさんのそれだろう。

 

「まさかな、また名前を聞くとは」

 

 かつて彼が所属していた、君主制を打倒して民主政体を樹立しようとする非合法組織。

 気の狂った魔導技術者と魔法生物に乗っ取られテロ組織に成り下がったそれを、俺達はアルテの故郷であるトリッチ王国で滅ぼしたはずだったのだが・・・。

 

「確かに大頭・・・あの魔法生物が化けてたじいさんは組織のトップだったが、何もあそこにいたのだけが組織の全部じゃねえ。

 それに同じ名前を冠して別の地域で活動している組織がいるってのも小耳に挟んだことがある」

 

 めんどくせえなあ。

 中央集権的なんじゃなくて、分散型のテロ組織って事か。

 他にわらわら出て来てもおかしくはないって事ね。

 

「迷惑な話だがな」

 

 もう一つ溜息。

 メイワク・・・てろそしきはメイワク・・・などと、どっかの悪の巨大ロボの元みたいな事を言ってる場合ではない。

 今回はでかい亀一体だったから対処も間に合ったが、この広い王都(と言っても日本で言えば市とか特別区一つくらいの大きさではあるが)で同時多発的に出現されたら甚大な被害が・・・あっ!

 

「どうした?」

「ほら、島の!」

「!」

「・・・あっ、そうか、そうじゃねえか! ちくしょう、忘れてたったぁ、俺はドまぬけか!」

 

 目を見張るガイガーさん、頭をかきむしるアーベルさん。

 クエスチョンマークを浮かべる他の面々。

 あれですよ、話したでしょう。

 武神の神殿の島で出てきた、巨大怪魚!

 

「あっ」

「まさか、関係があると?」

「否定はできんのう」

「とは言ってももうすぐ午後の部の開演だ・・・ばあさん、ガイガー、アーベル、ハヤト。アーベルの出番が終わったら、すぐに武神の島に飛んでくんだ。ハヤトの出番まででいいから何か探って来な」

 

 わかりました!

 

 

 

 言われた通り、アーベルさんの前口上と道化芸が終わったところで、着替えたアーベルさんとガイガーさん、師匠を腹に入れて武神の神殿に飛んでいく。

 晴れ渡った冬の空、昼下がりの陽に照らされて、前回とは違う顔を見せる武神の島。

 夜は松明に照らされた秘密の集会所って感じだったが、今はちょっとギリシャの神殿遺跡っぽい感じだな。こっちは現役だけど。

 

「それで、例の魚の頭というのはどのへんじゃ?」

「あのへん・・・にぶん投げたはずですけど。見あたらないなあ。あそこらへんでしたよね?」

 

 俺の確認にアーベルさんとガイガーさんがうなずく。

 

「まあ放り出してたら、今頃とんでもない悪臭はなってるだろうからな」

「兜焼きにして食べちゃったかもしれませんね」

「ははは、それはうまそうじゃの」

 

 魚の一番美味しい部位は頭だと信じて疑わない俺と師匠である。

 特に頬肉とか絶品――!

 閑話休題(それはさておき)

 

「なくなった?」

「ええ。例の事件が起こった翌日、どうにか片付けねばなるまいと思ったのですが、どこを探しても見つかりませんでした」

「確かあのへんにありましたよね?」

「と、私どもも思ったのですが・・・」

 

 あの晩にも見た、左手が鉄の義手になってる武神の司祭さん。

 嘘をついてる風でもないし、嘘をつく必要もないだろうし。

 一応アーベルさんの方をちらっと見たが、かすかに首を振る。

 少なくともこの人は関わってないって事か。

 なんだろうな?

 ともかく司祭さんに礼を述べて俺達は武神の神殿を辞した。

 

「どうします?」

「一応、小僧が首を放り投げたというあたりを調べてみよう。何らかの痕跡があるかもしれん」

 

 そう言う事でしばらく調べてみたが、結局何も出てこず、俺達はそのまま帰路についた。

 師匠が唸っていたので何か気になる事はあるらしいが・・・。




>テロ組織はメイワク・・・
ライジンオーのアークダーマ。
赤い目玉の付いた黒い球体で、「迷惑」という単語と感情に反応してそれに応じた巨大ロボに変化する。
なお作中で一番の迷惑だったのは、地球を守る戦士なのに侵略異次元人に負けた後、ロボットを小学生に渡してトンズラこいたエルドランだった模様(ぉ
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