異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十一話 鷲は舞い降りた

 王都の隅っこ、警邏の詰め所の一つ。

 さびれた街区の暇そうな詰め所。何でもこう言う警邏とか詰め所とかができたのもオリジナル冒険者の影響の一つらしい。日本の交番制度を外国に普及させる活動があちらでもあったが、それに近いものだろうか。

 普通中世レベルだとこう言う警察みたいな組織はなくて、自分の身は自分で守るか、せいぜい村や町の自警団がどうにかする程度。泥棒や殺人犯に会っても誰も助けてくれないのだ。

 うーん、素晴らしきかな現代日本。

 閑話休題(それはさておき)

 

「すいませーん」

 

 顔も体もたるんだ、無精髭のおっさんがだらしなく椅子にもたれかかってこちらを睨む。

 

「なんだガキ。俺は忙しいんだ。さっさと用を言って出てけ」

 

 おっさんに睨まれてちょっとびびる。嗚呼小市民。

 というかどう見ても貴方凄くヒマしてますよね?

 それはそれとして。

 

「芸人のハヤトと言いますが、『鷲の巣に伝言をお願いできますか』」

「これは失礼致しました。あなたの事は承っております」

 

 立ち上がって一礼するおっさん。

 横柄だった口調が一転して丁寧なものになり、表情もきりっとしたものになってる。

 と言うかほぼ別人だ。

 アーベルさんが時々やるが大したもんだわ。

 

「亀と魚に関して少し調べてみました。詳しい事はこれに」

 

 豹変に感心しつつも師匠のメモを手渡すと、警邏のおっさんは一瞥して頷いた。

 

「確かにお渡しいたします」

「ありがとうございます。では」

 

 俺も一礼してその場を辞した。

 詰め所からしばらく歩いた後で深く息をつく。

 

 あー、緊張した。

 「連絡を取りたいときは」ということで、ここの詰め所と合言葉を教えて貰ってはいたが(ちなみに鷲はこの国の王家の紋章である)、睨まれた時は正直びびったわ。

 この世界だと割とそれが普通らしいけど! 愛想良く接してくれる日本のお巡りさんってすごかったんだな・・・。

 

 

 

 手紙届けに行ったのが、武神の島に調査に行った日の夕方。

 日が沈む前にお姫様がお供を連れてやって来た。

 早いよ! マッハで既読が付く人かよ!

 

「きどく?」

 

 あーいえこちらのことですお気になさらず。

 

「はあ。ともかくお話は伺いました。

 例の怪物が魔法で生み出された存在である可能性があるとのことでしたが」

 

 そうなんです? 召喚じゃなくて?

 丁度メシ時で、アルテの作った海鮮ブイヤベースもどきをつつきながら話をする。

 お姫様にこんな庶民料理食わせても良いのかと思うが、ご本人が美味しい美味しいと食べてるのでまあ大丈夫だろう。

 アルテの料理は絶品だからな!

 

「えへへー」

 

 そういうと笑み崩れるアルテ。

 カオルくんとリタは苦笑している。

 

「こらこら、いちゃつくでない。

 まあ召喚の可能性はまだ残っておるのですが、別口のものである可能性も出て来ましたでな。

 どっちにしろ魔法によって生み出されたものには変わりませぬし、中間報告がてらにお伝えしておこうかという程度の話ですじゃ。

 姫様に直接お出で頂くほどの話ではございませぬ。誤解されましたら申し訳ない」

「いえ、こちらでも『王に叛くもの(アンティゴネー)』の組織はまだしも、『魚』の事については全く手掛かりが無い状態でして。専門的なお話で理解出来ないかも知れませんが、ざっとでもお話し頂けませんか?」

「わかりましたじゃ」

 

 頷いて師匠は話し始めた。

 要約すると、魔法で何かを作り出すには大きく分けて三つある。

 

 一つは創造。魔力を元にして物質を無から生み出すこと。当然無茶苦茶な魔力と技量が必要とされるが、比較的手間が要らず、作り出したものが確実に実体を持つのが利点。

 

 一つは変性。材料を用意して物質の特性を変え、必要なものを生み出す。いわゆる錬金術とかそのたぐい。生物とかを培養するのもこれに含まれる。手間と時間はかかるが一番安定している。

 

 最後の一つは具現化。魔力によるかりそめの実体を生み出して物体を生み出すもの。

 不安定な上に結構な魔力を消費する、魔力の消費をやめるとすぐに消えてしまう、余り複雑なものは出しにくいなどの欠点もあるが、三つの中では一番手軽。

 例えば刃物が欲しい時にナイフを出すとか、料理作りたいので小鍋を出すとか、サバイバルでノコギリを出すとか。鍛えれば師匠が言ってたように、虎とか戦士とかを出して、動かして戦わせることもできる。

 効果の割に結構難易度が高いので、現代では割とすたれた系統の魔法だそうだ。

 投影って奴かな? あいあむぼーんまいそーどー。

 

「まあともかく、魚の頭が消えたあたりにその具現化の術の名残のようなものが残っておったと、そういうことです。

 そもそも召喚の場合は変性か具現化でかりそめの肉体を作る事が多いですな。

 召喚生物の肉体を丸ごと作れるほどの創造の達人はそうはおりませんからの。

 霊魂を召喚して具現化した肉体にその場で宿らせ、戦闘などを行わせるレベルの術師はまれにはおるそうですが」

 

 はー。

 どれにしても凄いなあ。

 特に具現化、ゲームの召喚魔法を地で行ってる。

 まあその分持続時間が短いんだろうけど。

 

「まあそうじゃの。

 とは言え真なる魔法文明の時代にはそうしたものを長期間維持、あるいは永続させる技術もあった。

 根本的に不安定なのは変わらんから、緊急時の避難所の構築とか、物資の補充とか、そういうのがメインじゃったがの。

 見せ物などに使っているところもあったようじゃが」

 

 まあ突然パッと消えたら困るもんね。

 ・・・ん? んんん? 何か引っかかるような・・・

 

「おい、また何か『あ』があるのか? どうせならいっぺんに思い出してくれよ」

 

 んな事言われたって!

 えーと、えーと、どこかで何か・・・こう、引っかかってはいるんだけど・・・!

 

「こうなったらしょうがないねえ」

 

 にやにや笑うシルヴィアさん。

 え、なに、ちょっと不穏なんですけど。

 

「こう言う時にやることと言ったら決まっているのですぞ」

 

 バイオリンをかき鳴らし、邪悪な笑みを浮かべるイケメンクソドワーフ。

 え、え、何? まさか!?

 

「幸いなことにうちにはばーさんがいるからな。記憶を吸い出して貰えば一発でわかるだろうよ」

 

 いやああああああ! やっぱりぃぃぃぃぃ!?

 頭クチュクチュは二度といやぁぁぁぁ!

 

「割と重要な事かもしれんし、状況を考えるとやらざるをえんの。

 それが嫌なら必死で思い出せ」

 

 溜息をつきながら師匠。

 鬼! 悪魔! デスプール!

 ・・・鬼と悪魔が「一緒にするな」「告訴も辞さない」とか言い出しそうだな。

 いやそんなことを言ってる場合ではなく!

 

 そう言えば何かの作品で、五匹の動物が合体して巨大ロボになるデスプールがあったな!

 日本のロボットアニメ「千獣王ゴゴリラ」がアメリカでも何故か大人気になったからそのパロディだと思われるが、確か熊、ライオン、キツネ、サメが・・・だからデスプールはいいんだよ! 

 

「・・・その様子じゃ放っておいても思い出しそうにはないね」

 

 ひいいい!

 咄嗟に逃げようとしたが、腰を浮かせると同時にガイガーさんが俺の腕を掴んでいた。

 

「諦めろ」

 

 いやあああああああああああああああああああああああああああああ!




>デスプール
みんな大好き第四の壁の貫通者、マーベル一の人気者にしてスパイダーマンの親友デッドプール。
ウルヴァリンと競演した3もひどかったが、過去の自分?を射殺した(それも二度も)2はほんっとひどかった(ほめ言葉)

>ゴゴリラ
百獣王ゴライオン。
何故かアメリカでヒットして、あろう事か版権が向こうに売り飛ばされてしまった。
ゴゴリラは当時の児童誌で本当に出てきた、五体のゴリラが合体する敵メカ。
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