異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
ボナボナボーナーボーナー。売られてゆーくーよー。
売られた仔羊ならぬ売られた俺は、見えない荷車に乗せられ、姫様の後ろをとぼとぼと歩いていた。
いや生贄の仔羊ではあるかなHAHAHA・・・はあ。
「まあ、私別にハヤトさまを買ったわけではありませんわ。
報酬を支払って仕事を依頼しただけで」
その仕事の中身がメチャクチャ不安なんですけどね・・・。
屠殺場よりはマシであることを祈りたい。
「わたくし、ハヤトさまをその様なところに売り飛ばしはいたしませんわ。
もっとも? 売ってくださるなら喜んで買いますが」
・・・えっ?
買うの? 俺を?
「ええ。おいくら出せば買えまして?」
すすす、と近づいてくるレヴィータさん。どきりと心臓が跳ねる。
少し濡れた上目遣い。うう、色っぽい・・・!
し、しかし自ら自由を売り渡すような真似は・・・!
「あら、売って頂けないんですのね。残念」
くすくすと笑ってお姫様が身を離す。
ホッとしたと同時にどこか残念なような・・・
何故か上機嫌にくすくす笑うお姫様。
お付きの人二人が、揃って苦悩の表情を浮かべていた。
「それで、俺は具体的に何をすればいいんです?
さすがに今回は何か考えがあるんでしょう?」
「失礼ですね。私だっていつも考えなしに走っているわけではありませんわ!」
抗議するお姫様。
ちらりとお付きの人達の方を見る。
「・・・」
「・・・」
クロエさんともう一人、体格のいい男性は奇妙な無表情で俺の視線を受け止めた。
「まあそれはおいておいて」
「ハヤトさまはいじわるです」
唇を尖らせてすねるレヴィータさん。
思わず蕩けそうになるが鉄の意志で耐える。
それで話を戻しますけど具体的には何を?
「海辺で大きな魚や亀、イルカなどが目撃されているのです。
ハヤトさまは海中の探索もできるとお聞きしましたので、お力をお貸し頂ければと」
あれ? お姫様の前でそんな話したかな?
まあオブライアンさん辺りがペラペラ喋ったんだろう。(そして師匠に殴られる)
さすがに海の中で息ができるような術師や《加護》もちはそんなにいないだろうしな。
「私が知る限りでは水軍に二人いるようですが、さすがにそう気軽に引き抜くこともできませんので」
そりゃそうだ。
まあ事件の解明に繋がるんだったら、頑張って働くとしましょうかね。
「チェーンジ、ジェッターワダツミ! スイッチッ、オンッ!」
ズングリしたパワー型ロボに変形する。
そのままお姫様とお付きを腹に飲み込み、俺は海中に身を躍らせた。
「うわあ・・・」
窓から見える海中の光景に目を輝かせるレヴィータさん。
お付きの人二人も、声こそ上げないけど目をみはっている。
『本日は海底遊覧船ハヤト号にご乗船ありがとうございます。
航海時間は三時間を予定しております。
不審物の捜索がメインではございますが、その傍ら海底の美しい風景をご堪能ください』
「まあ」
俺のナレーションに笑みをこぼすお姫様。
お付きの人達も顔を見合わせて苦笑している。
何だかんだ言って、お姫様なんて気苦労の多い立場だろうしね。
少し位ストレス解消して貰ってもバチは当たるまい。
結局、数時間海底を探索しても何も怪しいものは出てこなかった。
海中用のセンサーは無論装備してるし、センサーの映像やCG画像は内部に逐一表示してるんで、何か俺が見逃しても腹の中のお姫様たちが気付いてくれるとは思うのだが。
すいません、レヴィータさん。そろそろ時間です。
「そうですか・・・病み上がりで協力して頂いたのに申し訳ありません。
よろしければ明日以降も捜索にご協力願えますでしょうか?」
まあ報酬を払って頂ければ。というかあの座長を納得させられれば。
「ワインをもう一本もっていった方がよろしいでしょうか?」
やめときましょう。ちゃんと保存できないし、美味しいエサはたまにしておいたほうがいい。
「まあ」
コロコロと笑うお姫様。
うーん、尊い。
レヴィータさんたちを腹に入れたそのまま、俺はジェッターワダツミをミストヴォルグに切り替え、光学迷彩をかけて野営地に飛び立った。
「と、言うわけで明日からもしばらくハヤトさまをお借りしたいのですが」
「なるほどなるほど、どうぞどうぞ! それで報酬の方ですが、ワインは・・・」
「あれは契約金ですわ。日当としてお支払いするには随分とお高いものではなくて?」
「ぐっ」
よだれを垂らさんばかりだったシルヴィアさんが、強烈な一撃を食らって怯む。
酔っぱらいに禁酒! こうかはばつぐんだ!
まあ実際あんな状態の良い高いワイン、銀貨30枚どころの値段ではあるまい。
俺の能力は稀少だろうが、それにしても日当としては高すぎるんじゃないかな。
「大体シルヴィアさん、ワイン貰ってもウチの状況だとちゃんと保存できずに、あっという間に悪くなっちゃいますよ。
光の当たらない場所で、ある程度湿り気があって、何より気温が低くないと」
まあ今は冬だからそれなりにもつだろうが、それにしても専用に作られたワインセラーに比べれば、どうしても劣化は避けられまい。
「あら、ハヤトさまはさすがに博識ですわね」
「ば、ばあさんの魔術なら・・・」
「微妙な気温や湿度を維持するのにどれだけ手間がかかると思っておるんじゃ。
大体働いてるのは小僧なんじゃから、報酬の大半をお前が持ってくのはあくどいにもほどがあろうが」
「うぐぅ」
たまにかわいい悲鳴を上げるシルヴィアさんである。
「ええいうるさい!」
顔を真っ赤にするシルヴィアさん。
多分お姫様の前じゃなかったら殴られてたな。
レヴィータさん、あなたは私の魔法の護符です!
「はあ、ありがとうございます? シルヴィア様、成功いたしましたら報酬としてもう一本差し上げますので」
「オーケーハヤト。何がなんでも見つけてきな。姫様、出番以外はこき使ってやってかまいませんので!」
あ、目が据わってる。
まあしょうがない。それくらいは・・・
「すいません~。こちらよろしいですか~?」
あれ、この声は。
「あら、レリアさん」
「あら~、レヴィータちゃん~?」
現れたのはエッソ医院の看護師、のほほん巨女レリアさんである。
そういえば王女様相手にちゃんづけできるこの人も謎だな。
それで何か御用ですか?
「ええ~。近所の大工さんが~、今日から
「シルヴィアさん。レヴィータさん。明日の仕事は大工さんのところを見学してからになりますが、よろしいですねっ!」
「アッハイ」
「アッハイ」
コクコクと頷く座長とお姫様。
「目が据わってやがる・・・」
「お酒とギャンブルが掛かった時のシルヴィアみたい・・・」
アーアーキコエナーイ。
こうして明日の海底捜索は、パワードスーツ見学から始まることが決定したのであった。
タイトルはガンダムXのサブタイトルより。
ガンダムに限らず、自分の乗る主役ロボ売り飛ばそうとした奴は多分こいつ以外にいないw