異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第三十四話 海底遺跡再び

 考えてみるとここんとこ、かなりのんびりしてた気がする俺である。

 亀の後、テロ計画が進行してるのに何もしないでいいのかなあと思わないでもなかったのだが、そもそも俺は一介の芸人である。ちょっと便利な《加護》を持ってるだけで。

 便利と言っても捜査や調査向けではないから、犯罪を未然に阻止するとか苦手だし。

 いやあ、俺シティアドベンチャー苦手なんだよ。

 閑話休題(それはさておき)

 

「うおおおお、すげえ・・・!」

「私からすると~。変わってはいるけど特に驚くほどのものじゃ~、ないんですけどね~?」

「わたくしもそう思いますが、ハヤトさまはこう言うのがお好きなようで」

 

 そういう会話がされているのにも気付かず俺がガン見しているのは、海底遺跡探索以来延び延びになっていた大工さんの強化具現化術式、要するにパワードスーツである。

 ロボットアニメおたくな俺であるが、こっちも大好きなのだ。

 

「棟木上げるぞーっ!」

「おらーい! おらーい!」

 

 今材木を両手で掴んで持ち上げてるのは、身長2.5mほどの騎士甲冑にも見えるごてごてした骨組。隙間から中の人が見えている。まあ大体ファンタジーっぽいパワーローダーな感じ。

 

「魔法を使っていると~。ある時突然術式が実体化するんだそうですよ~」

「なので『具現化術式』と言うんですね。古代魔法文明の時代にはそれを狙って起こす技術があったそうで。当時の魔道具は基本的にそうした技術を使って作られているので、現代の魔道具に比べて圧倒的に高出力なのだそうですわ」

 

 なるほど、筋力強化の魔法を使っているとああ言うのが出てくる訳か。

 この世界の魔法は術式に魔力を通すことで発動する。魔法がかかっている時は、見えないけどああいう風に術式が体を覆っているんだな。

 

「作り方を伝承している一族がいて~。子供の頃から筋力強化の魔法ばかりを使わせて~、具現化するのを期待するんだそうですよ~。

 具現化すると高いお金を払って~、どこかの組織とか~、開拓村なんかに引き取られていって~、その後は代々具現化術式を継承していくんだとか~」

 

 うーん。俺からするとちょっと人身売買っぽく見えるんだが、どっちかと言うと丁稚とか年季奉公みたいな感じなのか? 伝承している一族の方だって、子供をいっぱしの術師に育成するのにそれなりにお金かかってるわけだし。

 子供の方からしても、食いっぱぐれないのはかなりのメリットだろうな。

 

「そんな感じでしょうね。かなり優遇して貰えると聞きます」

 

 まあそんなことはいい。

 大事なのはあの具現化なんちゃら、パワーローダーがかっこいいと言う事だ!

 日本でもパワードスーツの基礎技術みたいなのが研究されていたらしいが、今頃どうなってるんだろうなあ。

 何かのレポマンガで見ただけだが、レスキューウォリアーとか実用化されてるんだろうか。

 あー、ちょっと日本戻りたくなってきた・・・ん。なんでしょう。

 

「いえ~。なんでも~?」

「ええ、なんでもございませんわ」

 

 にこにこクスクスと、上下からこちらを挟み撃ちにする微笑ましげな視線。

 う、何かいたたまれない・・・!

 後ろでレヴィータさんのお付きの人達も苦笑してるから尚更!

 

「いえいえ~。夢中になっている男の子ってかわいいですよね~」

「レリアさん、殿方にかわいいは失礼ですわ。

 そこは純真とか夢を忘れないとか・・・」

 

 いえ、結構です! 自覚はありますから!(赤面)

 

「そういえば~、治療の魔道具を取りに行った海底遺跡でも~、楽しそうに大きな具現化術式を見てましたね~」

「見せ物小屋のようなところとお伺いしましたが、そのようなところに?」

「ええ~。大きな動物たちのお世話をするのに~、使ったのではないかと~」

 

 ・・・ステイ。ちょっとジャスト・ア・モーメント、レリアさん。

 今なんて言った?

 

「ほえ? 大きな~動物の~」

 

 いえ、そこじゃなくもっと前。

 大きな具現化術式!?

 

「ええ~。今みたいに~、ハヤトくんが~、熱中して~」

 

 それだ!

 

「!?」

 

 目を白黒させるレリアさんたちを問答無用で腹の中に詰め込み、俺は光学迷彩をかけて野営地に飛んだ。

 出番の終わったアーベルさんとガイガーさん、師匠とカオルくんを腹に詰め、次に飛んだのはエッソ医院。

 

「また貴様か小僧。今度は何だ?」

「今から海底遺跡に出かけるので支度してください!」

「はぁ? 本気で・・・」

 

 いぶかしげな顔になったエッソ医師がレヴィータさんに気付いて言葉を途切れさせる。

 

「申し訳ありません、おじ様。極めて重要かつ緊急である可能性が高いのです。

 今は何も聞かずにお手伝い頂けませんか?」

「・・・わかりました。おい、リーバス。魔道具の操作はわかるな? 後は任せるぞ」

「は、はい」

 

 おかっぱ頭の男性看護士さんが頷くのを確認すると、エッソ医師はあっという間に支度を整えて斥候(スカウト)姿で出て来た。

 

「ほほう、お出来になりますなご老体」

「ふん、生まれついての斥候(バグシー)と張り合おうとは思わんわ」

 

 互いに認めたのか、ニヤリと笑みを交わすエッソさんとアーベルさん。

 うーんプロフェッショナルの会話。

 そしてその後から出てくるフルプレート姿のレリアさん。こっちも早いな。

 ともかく、チャッチャと腹の中に入ってください。遺跡まで飛んでいきますので。

 

 

 

「チェンジフレーム・ブルーガラタック!」

 

 海底水族館上空まで全速力でかっ飛ばした後、水中形態になって潜水。

 三十分弱で目的の水族館に着く。

 

「おお・・・」

「こりゃすげえな」

 

 入口ロビーの質量のある幻像水竜を見て感嘆の声を上げる面々。

 ただし、師匠だけは一瞬目を見張って俺の方を見る。

 

「! 小僧・・・」

「じゃないかと思うんですよね」

「ここにあるとするなら・・・ここか、この辺かのう」

 

 金属の案内板を杖で指す師匠。頷く俺。

 俺と師匠の会話に付いていけない人達が首をかしげてる。

 

「おい、どういうこった?」

「訳がわからん人間のために説明してくれんかのう」

「その場所にいったら説明してやるわい」

 

 あれからしばらく時間が経って、水族館内部の生態系も随分と復活していた。

 竜巻シャークとか空飛ぶ刃物エイとかパンジャンドラム亀とか。

 

「サンダースウォード!」

「ファイアーボール!」

「ハイマート・フルバーストぉ!」

「・・・」

「!」

 

 まあ、カオルくんと師匠と俺の全力射撃に耐えられる奴はほとんど存在しなかったし、したとしてもガイガーさんとレリアさんの前衛チームがあっさり片付けていた。

 レリアさん、殻の固いパンジャンドラムタートルを一撃で叩き割ってるんだもんな。

 カオルくんやガイガーさんが感心してるあたり、やっぱり凄いんだなこの人。

 

 そうして火力と物理の暴力で水族館内を無理矢理突破していくと、やがてエッジシステム(違)を置いていた部屋を過ぎ、銀色のロボが置かれている格納庫にたどり着く。

 ここの鍵を開けるのに先生の技術と道具が必要なのだ。

 

「先生、お願いします」

「うむ。しかし何なのだ? ここはこの前見たじゃろう?」

 

 何も無かったらそれでいいんですけどね・・・。

 

「ふむ? ほれ、開いたぞ・・・む、むむ?」

 

 扉を開け、いぶかしげに眉をひそめるエッソ先生。

 くそ、やっぱりか・・・!

 

「何だ? 何かおかしいのか?」

 

 首をかしげるアーベルさんたち。まあ彼らにはわからないだろう。

 扉の中の格納庫。十二機を格納できるハンガーのあるそこには、一機のロボも残ってはいなかった。




>俺シティアドベンチャー苦手なんだよ
ソードワールドリプレイ第三部、通称バブリーズ内のNPCのセリフ。
プレイヤーたちも爆笑していたが、実際わかりみが深いw

>パワードスーツの基礎技術
2000年あたりで既に基礎研究が形になって、試作品が存在してましたね。
実用化には未だ至っていないようですが。
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