異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

259 / 415
第三十六話 下水道のブルース

「下水の中はくさい、くさい、くさい~♪」

 

 王女様の光の指輪と、術師の魔法で照らされた下水道に、俺の陰気な歌声が響く。

 

「下水道なのですから、くさいのは当たり前では?」

 

 わかってるので突っ込まんといてください。

 ちなみにあれからステフさんが合流してるので今は四人パーティだ。

 そのステフさんが済まなそうに頭を下げてくる。

 

「地図が正しければ一キロほどで到着するはずですので、申し訳ありませんがそれまでは我慢を・・・」

 

 わかってます、わかってますとも。

 でも最近下水道ばかり歩いててね、どうにも気が滅入るんですよ。

 レヴィータさんはよく平気ですね。

 

「あら、必要な事ですもの。それに中々できない経験ですので、少しワクワクしておりますわ」

 

 つよい(つよい)。

 王女様なんだからメチャクチャ育ちはいいはずなのに、こんな悪臭ふんぷんたる場所を歩いたり、汚物まみれになったりすることを厭わないとか、どういう育て方をしたらこんなバイタリティモンスターになるんだ。

 人跡未踏の山奥とか、ジャングルとか、無人島とかに放り込まれても平気で生き延びてそう。

 

「あら、ほめ言葉と受け取ってもよろしいでしょうか?」

 

 ええまあ一応褒めてます。

 あんたなら世界中どこででも生きていけるわ。

 

「うぐっ」

 

 ステフさんが思わずと言った感じで頷いて、クロエさんに肘を入れられていた。

 

 

 

 言われた通り水の流れに沿って一キロほど歩くと、古代文明時代の謎リノリウム素材の壁が途切れ、土砂崩れのような形で通路がふさがれていた。

 下水は裂け目から更に地下に流れているように見える。

 

「本来はこの先で汚水を処理していたようなのですが、見ての通り地震か何かで塞がってしまっているのです。

 少し調べて頂きましたが、地上ではこの辺で遺跡は発見されておりません。

 なので、地面に穴を開けるハヤトさまのお力をお借りできればと」

 

 あー、ジェッタードリルのことか? オブライアンさんもまーペラペラ喋ってくれたこと。

 つまり、レヴィータさんはこの先の遺跡に幻刻発生装置があると思ってるのね。

 

「まだ可能性の段階ではありますが」

 

 まあそういう事なら俺は適任だろう。

 

「わかりました。確認ですけど、この辺地上に家はあります?」

「大丈夫だったと思いますが・・・ステフ?」

 

 ステフさんが頷いて懐から地図を取り出す。

 

「このあたりは既に城壁の外側で、人家はありません。

 万が一崩落などが起こっても被害は出ませんのでご安心ください」

「いえ、崩落が起こったらハヤトさまの御身が大事になるのでは!?」

 

 ちょっと顔色が変わるお姫様。あれ、オブライアンさんその辺は話してなかったのかな。

 大丈夫ですよ、生き埋めにされたところでそのまま穴掘って地上まで抜けられますから。

 俺のドリルは地球を裏側まで貫通するドリル!

 六千度なんて涼しいもんさ! 俺の正義の魂は一万度だ!

 生き埋めされても掘り抜いて、突き抜けたなら俺の勝ち!

 いや混ざりすぎやろ。

 そんなセルフツッコミを入れつつ、俺はジェッターII(ツー)に変身して穴を掘り始めた。

 

 

 

「ジェッタードリル!」

 

 右腕のドリルを回転させ、数百メートルの距離をあっという間に貫通する。

 崩落した通路を掘り抜くと、果たしてそこは真なる魔法文明時代の遺跡だった。

 俺から見ても何となく下水処理場っぽい。小学生の時に見学とかに行ったなー。

 よし、戻って姫様たちを呼んでこよう。

 

「ジェッタービーム! 冷凍ビーム!」

 

 崩れやすい崩落部分をトンネルにするのはちょっと骨だったが、ジェッタービーム(ジェッターIIにも小規模なビーム照射装置はある)で壁と天井を溶かし、デモゴディの冷凍ビームで凍らせることで、何とかトンネルを固定することに成功した。

 大柄なステフさんとかはちょっと苦労してるが、まあ勘弁してくれ。

 

「これは・・・」

「本当に、こんなものが足元にあったなんて・・・」

 

 遺跡を見てお付きの人達たちが絶句する。

 彼らは水族館を既に見ているはずだが、それでもまあそう言う反応になるんだろう。

 

「凄いですわ。まだ生きているんですのね、この遺跡も!」

 

 なおお姫様は目をキラキラと輝かせていた。

 大声で叫んだりはしないが、それでも言葉の端々に高揚感が見て取れる。

 ホントマイペースだなこの人!

 

「システムチェーンジ、ミストヴォルグ・・・」

 

 小声で呼び出すロボをジェッターIIからミストヴォルグに変更して、高感度センサーを発動させる。

 明かりが付いているし、機械のハム音みたいなものも聞こえるし、お姫様の言う通り、この遺跡は生きていると見て間違いないだろう。

 幻刻発生装置が運び込まれた可能性も高くなったと言う事だ。

 

「それでは参りましょうか」

 

 待って。ちょっと待って。

 よく考えてみたら、なんでお姫様が調査に同行してんの?

 こう言う時えらい人は司令部で待機してるもんでしょ。

 

「だってそんなのつまらない・・・いえ、あちこちで人手が足りない今、有効な戦力を遊ばせておくのは無駄ではありませんかしら?」

 

 今つまらないゆーたぞこの第一王位継承者。

 

「もちろんハヤトさまが強いのは十分存じておりますが、調査に専念して頂くためにも護衛は多い方がいいのではなくて?」

 

 にっこり。

 レヴィータさんのハイソビーム! こうかはばつぐんだ!

 いやまあそりゃそうなんだが・・・お付きの人! 何とか言って下さい!

 

「・・・なんとか?」

 

 あ、クロエさんがステフさんを殴った。

 腹を抱えて唸っているステフさんを尻目に、クロエさんが深い溜息をつく。

 

「無論尊い方々には安全な場所にいて頂きたいのですが、実際王女親衛隊に、一対一で姫様に勝てるものはおりませんので・・・」

 

 マジかよ。親衛隊が弱いのか、それとも姫様が強いのか。

 まあ緑等級(第二階梯)クラスぞろいの親衛隊が勝てないってんだから、姫様が化け物なんだろう。

 

「まあ、いたいけな娘を化け物だなんて、ハヤトさまはひどいですわ」

 

 だから何も言うてへん!

 それと単なる事実や! オリジナル冒険者族でもないのに、トップクラスの冒険者に匹敵する戦闘力を誇る小娘がこの世のどこにいる! いや目の前にいるけど!

 

「しかし、つまり護衛の方々はお姫様を止める気も、止められる気もしないと」

 

 そう言うと二人が沈痛な表情で頷く。

 

「・・・」

 

 俺は二人と同じく深い溜息をつき、この不条理を受け入れた。




>下水の中はくさい
フォーチュンクエスト、「ダンジョンのブルース」のパロディ。
これにも更に元ネタがあったはずだが思い出せない。

>俺のドリルは~
>突き抜けたなら俺の勝ち
天元突破グレンラガンの主人公、穴掘りシモンの決めセリフ。

>地球貫通
>六千度なんて~
勇者特急マイトガイン「正義のハートは一万度」より。
地球の裏側で起こった事件に間に合わないので、地球の核まで掘り抜いて反対側に出る荒技を披露した時のセリフ。
地球を一万二千キロ掘り抜くより、二万キロ飛んでいくほうがどう考えても早いだろうとか、そういう事を考えてはいけない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。