異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十五話 大長編ド●え●ん ハヤトの大魔境

「!?」

「どうしたい、おばば」

 

 僅かに眉を寄せるペトロワ師匠。

 それに目ざとく反応したのはシルヴィア座長だ。

 俺は気づかなかったが少し厳しい顔になっているのは、長い付き合いで師匠の表情を読んだからだろう。

 

「野営地にかけてきた守りの魔法が破られた」

「何だって!?」

 

 数人が色めき立つ。

 ここはロレントさんの屋敷。

 「マデリンさんとエリーゼさんを助けてくれたお礼」ということで俺達はロレントさんの屋敷の晩餐に招待されたのだ。

 食後、談話室でだべって、一時間ほど前にリタとガイガーさんが部屋に引き取ったところ。俺達もそろそろ寝ようかというところで発されたのが先ほどのペトロワ師匠の言葉だった。

 その師匠は顔をしかめて額に手をやっている。

 

「大丈夫ですか、師匠?」

「この程度どうってことないわい。術を破られた反動がちょっと来ただけじゃ」

 

 師匠は平然としているが、逆に座長たちはそろって顔をしかめていた。

 

「にしても、ばあさんの術を破る?」

「とんでもない手練れの術者ですぞ」

「いや」

 

 師匠が再び首を振る。

 

「この手応えは術式で解除されたものではないな。強力な何かで無理矢理術式が破壊された感じじゃ」

「何かって・・・なんです? 強力なマジックアイテムとか? 真なる魔法文明時代の遺物(アーティファクト)とか? 凄いですね! そんなものがあったら是非見てみたいです!」

「オブライアン、いいからお前ちょっと黙れ」

「にしたって、そんなもんがそうそう転がってるわけも・・・」

「あっ」

 

 思わず声に出してしまった俺にみんなの視線が集中する。

 

「なんだい、何か心当たりでも?」

「心当たりというか・・・師匠。伝説の剣とかならそういうことあります?」

 

 おそるおそる、という感じで伺いを立ててみたが、師匠は深刻な表情で頷いた。

 理解が及んだのか、シルヴィアさんたちも目を見張る。

 

「そうか、サンダースウォード!」

「黒騎士姫の剣か!」

「然り。あれは雷神(ティマイトル)の力を宿すと同時に破魔の力をも有しておる。

 流石にわしの術と言えども、神の力には敵わんわい」

 

 《百神》の一柱である雷神(ティマイトル)は名前の通り雷の神だが、同時に浄化や破邪の力を司る神でもある。というか《百神》の例に漏れずこの人も元々は人間の魔術師だったのだが、その時の研究テーマがそれだったとのこと。

 

「強力すぎて黒騎士姫が天に召されると共にこの世界からは消え失せたはずなんじゃがのぉ・・・まったくオリジナル冒険者族の《加護》と言う奴は・・・」

 

 妙に実感のこもった声でペトロワ師匠が肩を落とす。前にひどい目に会ったことがあるのかも知れない。

 

「でもカオルくんが野営地に、こんな時間に来たって事は・・・」

「まあバレたんだろうね。あの子、かなり鋭い感じだったし」

 

 すいません、鈍くてすいません。派手にやってすいません。

 どう考えても一因は俺が《加護》で手品ショーやってたせいだよなあ・・・!

 あの手品の演目って、人体切断とか転移とか見る人が見たらあっちの世界のだってすぐわかるし!

 

「あたしがやれって言ったんだからそこは気にすんじゃないよ。鈍いのはともかく」

「そうだぜ。それにニホン由来の手品や芸をやってるところなんて山ほどあるんだ。気にするこたぁない。鈍いのはともかく」

「私たちだってノリノリでやってたんだからハヤトだけの責任じゃないでしょ。鈍いのはともかく」

 

 皆さんフォローと心ない言葉ありがとうございます!

 できればフォローだけにして欲しかったけど!

 打ちのめされた俺を放置して、みんなが真剣な顔で話し始める。

 

「するってぇと、今すぐここからトンズラしたほうがいいか?」

「それが良さそうだね。オブライアン、ガイガーたち起こしてきな」

「は、はい」

 

 オブライアンさんがあたふたと去るのを横目に、ラファエルさんが口を開く。

 

「それでシルヴィア嬢、行く当てはあるのかですぞ?」

「出来ればここに匿って欲しいくらいのもんだけど、そこまでの貸しはないしねえ・・・ばあさん、何か策はないかい? オブライアンは川に沈めときゃいいけど、あたしらはそうも行かない」

 

 何気にひどい事を言うシルヴィアさん。

 まあ水中にずっと潜んでられるならそりゃまたとない隠れ家だけどさあ。

 隠れ家かあ・・・

 

「この屋敷から逃げ出すくらいの間なら、全員に《透明化(インビジビリティ)》をかけられんでもないがのう。せいぜいもって十分じゃよ。ましてや隠れ家なんぞ・・・アーベルのツテを頼った方が早いんじゃないかの?」

「この町にはそう言う知り合いはいませんねえ。いや、いないわけじゃないんですが、ちょっと話を聞くくらいならともかく隠れ家となると」

 

 何か不穏な話してるな。ほんとアーベルさんって何者だ。

 

「ハヤトは何か考えはないかい? ほらなんかあるだろ。妙ちくりんな《加護》でチャッチャと解決しとくれよ」

「人を未来からやって来た青いタヌキみたいに言わないで頂きたい」

「何それ?」

 

 通じないとわかりつつも言わざるを得なかった!

 俺は腹のポッケから何でも出てくる便利ロボじゃねーっつーの!

 座長の奴隷じゃねーっつーの!

 

「何言ってんだい、そう言う事は奴隷みたいに働いてから言うもんだよ!」

 

 百点満点の回答が返ってきてちょっぴりビビった。

 つーか座長、それ素で言ってるんですよね。元ネタ知ってるとかないですよね?

 

 閑話休題(それはさておき)、隠れ家かあ・・・そりゃロボットアニメの戦艦とか基地なら普通に人が生活できるし、何ならロボットの中に居住空間がある作品もある。

 が、そうした艦やロボは当然それなりに巨大で、そうなると18mのデモゴディでもあれ以来成功してない俺が再現するのは難しい・・・あ。

 

「お? 何か思いついたようですな?」

「まあ成功するかどうかわからないけど・・・やってみる価値はあるかなって」

 

 

 

「できちゃったよ」

「すごいすごい! ランプもないのに明るいよ! お風呂もある!」

「みんなで一緒に寝るのも楽しいよねー!」

 

 はしゃぐアルテとリタの姿に癒される。

 いやー、今回結構試行錯誤したからなあ・・・。

 

 などと感慨深くだべっているのは八畳間ほどのスペース。中央にテーブルがあり、その周囲に椅子が並べられている。それでも一座の9人が入るとそこそこ狭苦しい。

 この部屋の地下には同じく八畳間ほどのスペースがあり、そちらは二段ベッドが並ぶ寝室になっている。リタがはしゃいでいたのはこれのことだろう。

 

 実はここ、俺達の野営地の地下である。

 カオルくんも当然見張りは置いていたのだが、ペトロワさんの《眩惑(ぼんやり)》の呪文で誤魔化して、テントの一つの地下にこのこぢんまりとした隠れ家スペースを作ったのだ。

 

 今回呼び出した作品は大秘宝マンジスチカを巡って世界中を探し回るソフト帽と鞭がトレードマークのおっさんが主人公のロボットアニメ、「秘境伝説アタックバンチ」。

 はいそこ、イ●ディ・ジョーンズのパクリとか言わない。その通りだけど。

 

 この主役メカであるアタックバンチ、五体合体する巨大ロボだが身長は15m程度。

 しかしその人間の十倍弱のボディの中に八畳間の生活スペースと、同サイズの寝室を内蔵しているという「おめー腹の中スカスカじゃねーかよ!」的なツッコミを受けるロボの筆頭格である。

 

 15mってあれだぞ、デモゴディや初代ガンボイより小さいんだぞ。

 初代ガンボイだって胴体はコクピット収めるのに精一杯だったのに、八畳間ってどう考えてもスペース足りないだろ!? 壁薄いぞ! 騒音筒抜けのレオ●レスだぞ!

 

 まあそれはさておき、その小さいスペースとただの居住空間であるがゆえに再現しても魔力の消費は低いし、難度も低い。師匠に訓練をつけて貰ったのもあるだろう。それでも半日くらいごとに魔力補給受けなきゃもたないけどね。

 食糧は見張りの目を盗んで野営地から補給しているから当分もつ。水道もトイレも風呂もあるから当分不自由はない。

 

 ・・・この水道とか電気とか、どこから来てるんだろう? というかよくよく考えると、それこそ青タヌキロボのひみつ道具に似たような奴あったな!? 

 そんなことを考えつつ、俺は少しでも体力を温存するため布団に潜り込んだのだった。




今回の元ネタ:魔境伝説アクロバンチ

ティマイトル→マイティトール→マイティソー
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