異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
デモゴディΣとガラス・アテナが空中で対峙する。
自らが敵だと言った彼女、城の塔を爆破した彼女を俺はただ呆然と眺めている。
『あれと同じものを王都の各地に数十仕掛けてあります』
なんのために、こんなことを。
『許せない罪を犯せば、私を思い切り殴ってくれるのでしょう? あの「
そんな、理由で?
『いけませんの? わたくし、これまでずっと自分を捨てて国と民に尽くしてきましたわ。
でしたら、一度くらい心のままに生きても許されるのではなくて?』
だからって! そもそもなんで俺なんだよ!
『きらきらしていたからですわ』
・・・は?
『色々と調べさせて頂きました。ニホンから召喚され濡れ衣を着せられるも怪物になった国王を倒し、ヘレンズの町で火山を凍結させて町を救い、トリッチのライサムで領主の館を破壊した黒い魔物を討ち果たし、レミンジャー公爵家のお家騒動を解決し、
そんなことまで・・・!?
『何より素敵なのは、それだけの力をお持ちでいながら、英雄でもなく、王侯貴族でもなく、ただの旅芸人として普通に暮らしていらっしゃることですわ。
不正義や不条理に対して力を使う事を躊躇せず、それでいて力に振り回されない。
あなたこそはわたくしの理想とする人間です』
何か凄い過大評価してません?
俺そんな大した人間じゃないですよ。
単に小市民なだけですよ?
『かもしれません。ですが、あなたもご自身を過小評価してらっしゃると思いますわ』
・・・そこまで評価して頂けるなら、俺に免じてテロ行為を取りやめて頂けませんか?
『申し訳ありません。それだけはいたしかねます。
この期に及んでそれを防ぐ方法はただ一つ。私を倒すことだけですわ』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
わかりました。
もう一度戦闘フィールドを作りますよ。いいですね。
『はい』
狂気の笑みを浮かべるガラスの戦女神。
もはや言葉もなく、俺は再びディバイディング・スコッパーを召喚した。
ハヤトからの念話がペトロワに届いたのは、王城の爆発を見てシルヴィアがアーベルを偵察に出した直後だった。
「冗談だろ? あのお姫様が黒幕だってのかい?」
「少なくとも小僧はそう言うておる。今水竜が上陸しようとしていた浜辺に魔法の大穴を開けて、姫君の幻刻と戦うところじゃとな」
「嘘! お姫様が・・・!」
ショックを隠し切れないのはリタ。一座で一番レヴィータに対して好感度が高かったのは彼女だ。
その肩に、ガイガーが優しく手を置いてやる。
無意識にだろう、涙目のリタがその手を強く握った。
「ともかくも、町中に仕掛けられた爆弾を解除しませんと! ペトロワさんなら感知出来ますよね!?」
オブライアンの言葉に頷く。
「城の塔を吹っ飛ばすほどの魔力規模じゃ、恐らくは
「よし、なら二手に分かれて・・・」
シルヴィアの言葉に全員が頷こうとしたところで、横から声がかかった。
「申し訳なき事ながら、
「!?」
「ロウブ」
ガイガーがその男の名を呼ぶ。
黒目。黒髪。黒い皮の上下。黒い眼帯に黒い鞘。
黒ずくめの剣士がこちらに向かって歩いてきていた。
その後ろに続くのは、明らかに腕利きの、数十人の剣士・武闘家・冒険者のたぐい。
やぶにらみの警邏、赤い鎧の女剣士。ハヤトに取り押さえられた巨大化と熊の《加護》の男たちもいれば、エッソ医院に担ぎ込んだ剣士二人もいる。
買い物の時に勝負を申し込んできたもの、武神の神殿の島で見た顔も多くいた。
「各所の爆弾を解除されては困るのだ」
ガイガーの視線をロウブが真っ向から受け止める。
「姫君の計画の手助けをしようというのか?」
「然り」
「それで多くの人が死ぬとしても?」
「然り」
「姫君の望みは何だ」
「我らと同じにござるよ。あの方は、ただハヤト殿と戦いたいだけなのだ。勝ち負けすら関係なくな」
「・・・?」
ガイガーが眉を寄せる。
「わからなければわからないでもよい。
だが、生まれゆえにしたいこともできず、義務ゆえに望みも果たせず、力及ばぬゆえに友を守ることもかなわなかった。
なれば人生にただ一度くらい、好きなことを貫かせてやりたいではないか」
ロウブの後ろの決闘クラブ会員たちが一斉に頷く。
その顔にあるのは悲壮な決意。
今まで幻刻と戦っていたもの達だ。大なり小なり負傷しているし、歩くのがやっとと言うものもいる。
ガイガーを相手にすれば十中八九死ぬ。だがそれでも彼らは剣を抜き、無敵の男に挑む。
ただ彼らの姫に、僅かな時間を与えるために。
ロウブが手を上げる。
決闘クラブの武芸者達が左右に、ガイガーたちを包み込むように広がった。
「・・・」
「ただ挑むだけでは、貴殿に瞬時に両断されて終わりになり申すほどに。
それはそれで良き死に様ではあるが、今は己がためではなく、姫のために戦っている。
であれば、おのれ一人のこだわりは捨てざるを得ますまい」
武芸者達の半分ほどは
ロウブは恐らく
カオルやシルヴィアでさえ、緑等級三人を同時に相手にするのは至難の業。
いくらガイガーが強くとも、体は一つ。
仲間全員をかばいながら戦うことはできない。
しかし。
「あらあら~。大変な事になってますねえ~?」
「!」
ロウブの顔に初めて驚愕の色が差した。
「話はぁ~、聞かせてもらいましたけどぉ~。それはぁ~、ちょっと駄目なんじゃないですかぁ~?」
ロウブ達の背後。のんびりと話しながら歩いてくるのは、口調に似つかわしくない板金鎧の巨女。そして革鎧の老斥候。
「そうじゃのう。間違った事だとわかっているなら止めてやれ。
それが大人の仕事じゃろうが」
「・・・お二方は足止めしておいたはずですが」
「わしがトラップマスターだっちゅうのを忘れて・・・いや、そもそも知らんか。何せ五十年前の話じゃからな!」
かかか、と大笑するのはエッソ医師。
だが愕然と振り向いた武芸者の大半の視線は、助手レリアの方に向いている。
畏怖。敬意。憧れ。恐怖。そんなものの入り交じった視線を浴びながら、レリアは無造作に背中の大剣を抜いた。
「レヴィータちゃんも~。あなたたちも~。悪い子はわたしがめっ!してあげます~」
「サーペントスレイヤー・・・!」
魔法のオーラで青白く光る大剣に、異口同音のうめき声。
ラファエルが眉を寄せる。
「サーペントスレイヤー? ん? んんん? まさかですぞ?」
サーペントスレイヤー。
五十年前、ゼンティルを襲った大海竜を討った英雄たち。そのリーダー、冒険者族の「勇者」が持っていた大剣の名がそれだったはず。
「はい~。そう言うわけで~。私が~勇者パランの孫です~」
鋼鉄の巨女がにっこりと微笑んだ。