異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二十六話 こちらモグール帝国出張所

「うーん、彼らがそんな大それた事をしているとは思えないんだがねえ・・・」

 

 恰幅のいい、口元に上品なヒゲをたくわえた紳士が首をひねった。

 チェルブルクの領主、ハリブラント卿。

 普段は陽気な笑みを絶やさないその顔が、今は困ったような表情を浮かべている。

 

「まだ疑いの段階です。しかし、可能性は否定できません」

 

 カオルのまっすぐな眼差し。

 その横では副隊長のユリシーズが仮面のような無表情でハリブラントを見ている。

 

「ふう」

 

 ハリブラントが溜息をついて首を振った。

 

「正直なところ私も彼らの行方は把握していない。どうやらロレントくんが晩餐に招待したようだが、彼の屋敷から姿を消してそれっきりだ」

 

 ユリシーズが僅かに眼を細める。

 

「領主閣下であれば、その後の行き先についても把握されてるのでは?」

「私だって神様じゃない。目の届かないところはいくらでもあるさ」

 

 ハリブラントは肩をすくめた。

 

 

 

「タヌキですな、あの領主閣下は」

「証拠を見つけないとどうにもならないか」

 

 帰り道、そんな会話を交わす。

 護衛の兵士達が無言で随行する。

 

「勇者殿。私に考えがあります。兵の半数をお貸し願えませんか」

 

 カオルがユリシーズを一瞥する。

 

「いいでしょう、お任せします。僕は何をすればいいですか」

「残りの兵を率い、領主に関係のある場所を捜索してください。何も出てこずともかまいません。目立って頂ければいいのです」

「わかりました」

 

 カオルが頷くと、ユリシーズがわずかにほほえんだ。

 

 

 

「王命である! 国王陛下暗殺犯を匿っているとの通報があった! よってこの屋敷を捜索する! 大人しく協力すれば手荒なことはしない!」

「は? はああああ!?」

 

 領主の別邸。

 留守を預かる家令が目を白黒させるものの、それだけだ。

 国王軍の精鋭に伝説の剣を持った"勇者(オリジナル冒険者族)"。そもそも手向かい出来るような戦力が存在しない。領主の持つ全戦力とフリーの冒険者やヤクザ者をかき集めても無理だ。

 

 加えてカオルが出立時に国王から賜った王旗。

 これに逆らうと言う事は、国王に反逆すると言う事だ。

 領主ならまだしも、家令に判断できることではない。

 結局彼に出来たのは捜索に協力して、可能な限り物的損害を抑えることだけだった。

 

 

 

「失礼する・・・うん?」

「あ?」

「えーと、確か・・・」

 

 ノックをしてそれなりに礼儀正しく客室に踏み込んだ兵士が僅かに首をかしげる。

 踏み込まれた方もまた。

 

「どうした? あ、これはこれは」

「あ、勇者様」

「その節はお世話になりました」

 

 入って来たカオルに頭を下げたのは二十代半ばの男女と五十がらみの女性。

 先だっての事件でカオルも関わった退役兵ガイ・フォッチャーとその従妹であるマデリン・ファルナー、マデリンの母のエリーゼだった。

 

「一体どういう事ですか?」

「うーん・・・そうだね、すぐにわかる事だし、話してもいいか。済まないけど少し騒がしくしますよ。始めて下さい」

「はっ」

 

 最後の言葉を受けて、兵士達が乱暴にではないものの容赦なく部屋をひっくり返し始める。

 顔をこわばらせるガイたちに、カオルがいきさつを話し始めた。

 

「そんな! あの人らはそんなことしないよ!」

「僕もそう思いますが・・・状況証拠が揃いすぎているんです。彼女の手品は僕の世界のそれそのものですし、ハヤトくんに関しては国王陛下ご自身が襲われたと証言している。

 それに・・・」

 

 カオルがハッとした顔で言葉を切る。

 

「どうしたんです、勇者様」

「いや、なんでもありませんよ」

 

 ごまかしつつ、脳裏から離れない一つの単語。

 ()()()()()()()

 

 カオル自身は世代ではないし詳しくもないが、そう言うものがあるのは知っている。

 《ロボットアニメの加護》を持っていたハヤト。

 ホッチョ・ペッパーを名乗る謎の女がガイを助けたとき、かろうじて意識が残っていたヤクザ者の「腕が飛んで俺達をぶちのめした」という証言。

 その二つが頭の中で繋がってしまった。

 

「勇者様、捜索終わりました。この続き部屋には何もありません」

「ご苦労様です。それではこれで。お邪魔しました」

「は、はい」

 

 戸惑うガイたちに一礼すると、カオルは部屋を出る。

 

(まさか・・・ホッチョ・ペッパーさんがハヤトくん・・・?)

 

 だがその頭の中は、今や一つの疑惑で一杯だった。

 

 

 

「勇ましきかな始まりのサムライ~♪ 渾身の力を込めて剣を振り抜けば、即ち天地は割れて~♪ 魔獣の群れは哀れ海の藻屑に変わりけり~♪」

 

 ラファエルさんのバイオリンの弾き語りが多目的ルームというかだべり部屋に響く。

 毎日ずっとここに缶詰なのは流石に退屈なので、かわりばんこに芸を披露しているのだ。

 じっくり見た事は無かったが、みんなやっぱり芸は達者である。年齢一桁のリタでさえ、十匹のハムリスを手足のように自在に操る様は見事としか言いようがない。

 

「はいはい、馬鹿の一つ覚えで悪うございましたね。どーせあたしは無芸大食ですよ」

「あ、アルテの料理はもの凄くおいしいから・・・」

 

 なお、そんなことを言ったらアルテがいじけた。

 まあ技じゃなくて怪力を見せてるだけだしな。

 一見の価値はあると思うが、そう何度も見たいと思うかと言われると・・・ねえ?

 そんなことを考えていたら、むすっとした顔でアルテが俺のほっぺたを秒速十六連打してきた。やめて! 俺の顔はファミコンのコントローラーじゃないの! スイカだったら割れちゃうの! 顔に出したのは悪かったと思ってるから!

 

 なお俺の番が来た時は奇術ショーではなくロボットアニメを流している。

 いっぺん俺の中の魔力量と消費をきちんと計って貰ったことがあるが、奇術ショー、その中でも消費が軽そうなトランプお手玉と比べても、ロボットアニメ上映の方が圧倒的に魔力消費は少ないのだそうだ。

 俺が魔力切れになったらこの避難所ごと消えてしまうので、最初はロボットアニメ上映も自粛していたのだが、これくらいなら大丈夫だろうと言う事でペトロワ師匠のお墨付きを貰ったのだ。

 

「げに猛き武士の中の武士~♪ 白髪の乙女と惹かれ合う~♪」

 

 弾き語りは白髪の乙女、つまり《百神》の兄弟子である"最初の魔術師(ファースト・ウィザード)"の娘との恋模様に移っていた。

 座長やアルテ、リタやペトロワ師匠もそれをうっとりと聞いている。

 やっぱり女の子はコイバナが好きなんやな・・・と思ってると、頬杖を突いていた師匠がいきなり身を起こした。

 

「師匠?」

「何か来た・・・一人じゃな。武装しておる」

「!」

 

 一瞬にして緊迫感が場に満ちる。

 

「~~~」

 

 用意しておいた水晶玉の上で、師匠が呪文と共に手を動かすと、そこには映っていたのは長身でそこそこイケメン、30くらいのいかにも切れ者ですって顔をした騎士。

 

「この人・・・」

「ああ」

 

 アルテの言葉に頷く。

 

「カオルくんの副官の、ユリシーズさんとか言う人だ」




モグールは「ブロッカー軍団IV マシーンブラスター」の敵である地底人帝国。
組体操する四体のロボに毎回為すすべもなくやられる人達です(ぉ
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