異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第四十九話 正々堂々と試合終了

 キラキラ輝くガラスの破片が、元の幻影に戻り消滅していく。

 幻影の破片と爆煙の中、落ちていく影一つ。

 左手で、衝撃を与えないよう、なるべく相対速度を合わせて柔らかく受け止める。

 緑等級並みの身体能力を持つ人だ、これくらいやれば大丈夫だろう。

 ・・・と、こちらも限界か。

 

 鋼鉄の魔神が光と共に縮み、元の俺に戻る。

 あと十秒巨大化を維持していたら、勝手に解けて気絶していたと思う。

 ギリギリのところだが、俺の体内にはルイスから奪ったヴィラン・コアがある。

 デモゴディ化を解除すれば、動ける程度の体力と魔力は回復するはずだ。

 

 腕の中の姫様を見る。

 「機甲武侠伝Gガンボイ」。後期主人公機バーニングガンボイの必殺技、爆裂バーニングフィンガー。

 敵ガンボイファイターを爆砕しつつ、パイロットはほぼ無傷で摘出する。

 戦争ではない、武闘家同士の勝負であるからこその不殺の技だ。

 

 そしてこれを選択した理由がもう一つ。

 ガンボイファイターは拳を交えることで、互いの真意を理解する力がある。

 先ほどのカイザーフラッシュが不発に終わった理由とも絡むのだが・・・繰り返しになるが、あのカイザーフラッシュは完璧に入った。

 邪悪を討つ正義の必殺剣がだ。

 

 それが不発に終わった理由はただ一つ。

 レヴィータさんが、あらゆる意味で邪悪ではないからだ。

 俺は無意識にそれに気付いていた。だからそれまでの七連撃も含めて技は不完全なものになり、使うはずのエネルギーも大量に余っていたのだ。

 

 それを確かめるためにGガンボイの力を込めて、素手でレヴィータさんと殴り合った。そして彼女の心を理解した。

 レヴィータさんは本当に、ただ純粋に俺と戦いたがっていたのだ。

 それを確認したからこそ、俺は最後の技を放つことが出来た。

 殺しあいではなく、武闘家同士の正々堂々の決着をつける技を。

 レヴィータさんが身じろぎする。

 

「ハヤト・・・さま?」

 

 目を覚ましたか。

 大丈夫ですか? 痛いところありませんか?

 そう言うと彼女はにっこり笑った。

 

「痛いのは生きている証ですわ」

 

 とことんタフ&ハードボイルドやなあ、このお姫様。まあ大事ないようで安心した。

 

「私の負けですわね」

 

 いい戦いでした。

 

「はい。正々堂々、全力を出して私の負けですわ」

 

 それを笑顔で言えるあたり、本当に満足してくれたようでよかった。

 それと一つ聞きたいんですけど・・・

 

「なんでしょう?」

 

 王都各地に仕掛けた爆弾。あれ大嘘ですよね?

 

「ばれちゃいましたか」

 

 ぺろり、と舌を出すレヴィータさん。ちくしょう、こんな時だがかわいいなあ!

 

「ありがとうございます。最初の塔も老朽化で周囲立ち入り禁止でしたので、怪我人はいないはずですわ」

 

 やれやれ、盛大に騙されたもんだ。溜息をついてレヴィータさんを下ろす。

 

「申し訳ありません」

 

 大丈夫ですか?

 

「ええ、歩く程度なら問題ありません。全てハヤトさまのおかげですわ。

 これは、お詫びと感謝のしるしです」

 

 !?

 一瞬で俺の首に回されるレヴィータさんの腕。

 重なる唇。

 なななななななな。

 身を離し、少し顔を赤くして微笑むお姫様。

 

「取りあえず手付けと言う事で。

 お望みであればわたくしの王配としてこの国を・・・」

 

 ストップ。

 某海外ゲー風に言うとスタァァァァップッ!

 その言葉の先もすごーく気になるが、今はそれより心配すべき事柄があるっ!

 

「な、なんでしょう?」

 

 俺の剣幕に押されたのか、お姫様がちょっと下がる。

 いつもマイペースでゴーイングマイウェイなこの人が押されるくらいの気迫だ。

 何故なら・・・

 

「今のキスで精神集中が破れたので、ディバイディングスコッパーの効果が切れて、ここはもうすぐ海の底になります」

「はいーっ!?!」

 

 既に周囲には高さ数百メートルの水の壁が迫りつつある。

 公演のテント内で出会って以来、初めて茫然自失しているレヴィータさん。

 レアなもん見たなー。

 そんな暢気なことを考えつつ、俺は彼女共々水に飲まれた。

 ごぼがぼごぼ。

 

 

 

「ぷはあっ!?」

 

 気付くと海面だった。

 隣ではレヴィータさんが咳き込んでいる。

 少し弱々しいが、取りあえず命に別状はなさそうで一安心だ。

 そして俺達二人を脇に抱えているのは。

 

「あ~~~、よかったぁ~~~。心配しましたよぉ~~~」

 

 レリアさん!?

 しかもプレートアーマー着たまま、立ち泳ぎで俺達二人を抱え上げて支えてる。

 周囲を見渡すと、海岸までは5~6km。

 ・・・この人、ここまで甲冑姿で泳いで、俺達二人を海底数百mから拾い上げて、海面まで連れて来たの!?

 

「潜るのは~、楽なんですよ~。鎧が重いですからぁ~」

 

 いやそうはならんやろ(真顔)。

 恐るべし古式泳法・・・!

 

「それはいいんですけどぉ~。自分で泳げますかぁ~?」

 

 すいません、正直自信ないです。今なら25mも泳げずに海の藻屑になる自信がある。

 

「それは~、困りましたねえ~。私もそろそろ疲れてきたんですけどぉ~」

 

 鎧着てなきゃもっと余裕あったんじゃない?

 と言いたいところだが、ガッチガチの板金鎧となったら脱ぐにも何十分かかかるらしいし、そしたら俺達死んでたな・・・

 まあ大丈夫でしょ。助けも来たし。

 

「ほわ~?」

 

 振り向くと、イルカもかくやという速度でこちらに泳いでくるオブライアンさんと、海の上を走ってくる師匠の姿があった。




タイトルは「疾風!アイアンリーガー!」最終回より。
毎回の次回予告の「正々堂々と試合開始!」を受けた、最高のエンドカードでした。

ちなみになんでパラスアテナ風の巨大ロボの元が「スペードのクイーン」なのかというと、スペードのクイーンのモデルがアテナという話があるからです。

同様に「シシリーの槍」は巨神族と戦った時にシシリー(シチリア島)を持ち上げて投げつけたという神話から。豪快だな女神様!

「月を穿つ」はハーツというゲームの「シュート・ザ・ムーン」というルールから。
本来ババ札であるスペードのクイーンが、ハートのカード13枚と一緒になると最強の逆転技になると言うもの。

「一を覆す女王」はロシアの小説「スペードの女王」から。
「3,7、1のカードに賭ければ大もうけ出来る」と魔女の幽霊ぽい何かに言われた主人公が、最後に1のカードがクイーンのカードにすり替えられて破滅するという話。

なおクリオネが元なので、頭がぱっくり割れて寄生獣みたいに触手が襲いかかる案もあったのだが、さすがに自重した。
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