異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「師匠海の上を歩くなんて出来たんですか」
まあこの人なら何やっても不思議には思わないが。
「それほど難しい術ではない。ほれ」
師匠が杖を振ると、俺とレヴィータさんとレリアさんが、ぽんっと水にはじき出されるような感じで海上に出た。しりもちを突いたような姿勢で、波にゆらゆら揺られている。
「まあ」
「わぁ~」
レヴィータさんとレリアさんが海面をペタペタ触って楽しんでる。
確かにゆらゆら揺れてるけど、固い感触がある。不思議やなあ。
「まあ何にせよ戻るぞ。立てるか?」
ちょっと待って下さいね。これだけ沖に来ると、結構足元がゆらゆら揺れて・・・
「きゃあっ!」
ふもっ!
バランスを崩してよろめいたレヴィータさんの体が俺の胸に飛び込んでくる。
「こりゃ! 『らっきーすけべ』も大概にせい! 相手は一国の王女じゃぞ!」
痛い! 俺悪くないですよねこれ!?
「こう言う時は大体ハヤトくんが悪いと思うよ」
何か言ったかそこの軟骨魚類!
海岸に戻ると、一座のみんなとお姫様の護衛の人達と、エッソ先生と、後ロウブさんや決闘クラブの人達がずらりと並んでいた。やぶにらみの警邏のおっさんもいれば、赤い鎧の女の人もいる。
そこでぴんときた。
レヴィータさん、決闘クラブの人達ってあなたの配下ですよね?
「時々お願いを聞いて貰っているだけですわ」
にっこり笑うが騙されないぞ。
エッジシステムの件とか、割と最初の方から絡んでたんだろう。
一介の武芸者にすぎないロウブさんたちが大工とかさっと用意出来たり、俺達の情報を集められたりしたのも今となってはお姫様の仕込みとしか思えない。
オブライアンさんが情報源にしては、俺の能力の把握が限定的だったりしたのもそう言う事だろう。
「ばれてしまいましたか」
ばれてしまいました。
というか塔の爆破とかどうするつもりですか。
「大体『
そうだったの!?
「これからそう言う証拠が沢山出てくる予定ですわ。王家に敵対的でテロ組織に手を貸していた公爵家はお取りつぶし、それを防げなかった宰相は責任をとって辞任。これでゼンティルの政治も随分と風通しが良くなるでしょう」
・・・最初からそのつもりだったの?
幻刻作って俺と戦ったのも全部!?
「まさか。成り行きですわ、成り行き。でも起こってしまった事は有効活用しませんとね」
このお姫様やっぱりKOEEEEEEEEEEE?!
「それで先ほどのお話の続きなのですが、私と結婚して王配をやっていただけませんこと?
面倒な事は全てわたくしが執り行いますわ。ハヤトさまは大道芸を演じるなり愛人を作るなり『チシキムソウ』するなりご自由になさって下されば」
・・・色々ツッコミ所ばかりだが、愛人作るのはいいんですか?
「ハヤトさまには既にねんごろの方々がいらっしゃるでしょう? 生木を裂こうとは思いませんし、ハヤトさまの子供が王位継承権を得るわけではありませんもの。問題はありません」
そう言う問題なのかなあ!?
「あぁ~、いいですねぇ~。みんな仲良さそうです~」
ニコニコするのはレリアさん。そう言えば何度か来た時に、うちの女性陣とお茶して歓談してたな。
「なんでしたらレリアさんも愛人枠と言う事でどうでしょう?」
ブフォッ!?
いや、レリアさんもいきなり俺とそんな事言われても・・・
「是非!」
ファッ!?
なんで!? そして何故こんな時だけきびきびと!?
「ハヤトくん~、私を見てどう思います~? 恋人や好きな人がいない状態で~、私は恋人として『アリ』と思えますか~?」
それはまあ・・・結構いい性格してるところはあるけど、美人でスタイル良くて優しくて面倒見が良くて頼りになる感じだし・・・普通にありだよなこれ。
「オリジナルの方だとそうなんでしょうねえ~。この世界でこの身長の女は、貰い手がないんですよぉ~。それなのに父さんと母さんは仕事やめてさっさと結婚しろってうるさいですし~。
お見合いするにしても寄ってくるのは家柄目当ての変な人ばかりですし~」
あー、そういうことかぁ・・・そう言えばレヴィータさんをちゃん付け出来るあたり、結構いい家のお嬢様なんだなこの人。それで看護師ってまるでナイチンゲールだ。
「50年前に王国を救った勇者がレリアさんの祖父、その妹で王室に輿入れした聖女が私の祖母ですわ。
お父様は侯爵ですので、次の宰相について頂こうかと思ってます」
メチャクチャ良い所のお姫様だった!?
いやそんなところのお嬢様を愛人にとか・・・
「
きっぱりと断言されてしまった。
すげえな勇者。
ちなみにレリアさんのおじいさんは勇者で冒険者族ではあってもオリジナルではないらしい。
でもまあなあ・・・気楽な旅芸人の暮らしって気に入ってるんだよなあ。
もう十年くらいしたらわからないけど、結婚ってのもちょっと現実的に感じられないし。
そんなことを考えていると、レヴィータさんとレリアさんがあからさまにがっかりした表情を浮かべていた。うーん言葉にしなくても伝わるこのサトラレ。
「ふられてしまいましたわね」
「残念です~」
すいません。
「謝らないでくださいまし。それでこそハヤトさまですわ。
・・・と言いたいところですが、ささやかな仕返しをさせて頂きます」
仕返し?
手を振ってくるアルテやカオルくんやリタ達に手を振り返しながら首をかしげる。
まあお姫様の言う「仕返し」だし、かわいいもんだろう・・・むぐっ!?
「~♪」
浜辺からどよめきが上がる。
好意的な声を上げているのはロウブさん始め決闘クラブの人達。
悲鳴や怒号を上げているのはアルテ達。
何か言わなきゃいけない状況だが、俺の唇はレヴィータさんの唇でがっちり塞がれてる。
「今度は私ですねえ~」
むぐぐぐ!?
レヴィータさんをふりほどいたと思ったら、今度はレリアさんに抱きすくめられ唇を奪われた。力強い!? マジで抵抗出来ねえ!?
「ハヤト!」
「ハヤトくん!」
「お兄ちゃん!」
「ハヤトォ!」
四者四様の怒りの声。
そして音高く響く剣の鍔鳴り。
風よ雲よ太陽よ、心あらば教えてくれ! 俺は何故こんな目に会っているのだ!
「自業自得だバカ」
「ですぞですぞ」
「自覚がないのが困るよねえ」
そこの妖精ども、後で覚えてろよ・・・がくっ。
「王女殿下。ハスキー一座が公演を終えて王都を出るそうです」
「そうですか、ご苦労様」
「・・・お見送りには行かれないので?」
親衛隊の一人、クロエが確認する。
下級貴族出身の彼女は、公務の時には秘書のようなことをやっている。
「忙しいですからね。お父様もこのチャンスを見過ごすほどに鈍ってはいらっしゃいませんでしたし、
にっこりと上品な笑みを浮かべる王女。
クロエも詳しくは知らないが、あの後彼は相当こっぴどくやられたらしい。
「それに、まだ終わりではありませんもの」
「・・・というと?」
「イレマーレ王室のマナヤディール姫に手紙を出しますわ。文面は私が書きますので書記はいりません」
もう一度にっこりと笑う王女。
主の笑みに寒気を覚え、クロエは天を仰いであの少年の冥福を祈った。
『お願い死なないで! あたしあなたの事大好きなの! いつかあなたのお嫁さんになりたかったのに!』
画面の中で倒れた主人公にすがりつき涙を流すヒロイン。
その途端、ぱちっと目を開けて鼻で笑う主人公。
『ヘッ、悪いけどね、おめえ様のようなじゃじゃ馬と結婚する気はさらさらないっすよ、ホント!』
『なんですってぇ!?』
始まる痴話ゲンカ、「戦闘の時は息ぴったりだったのに」と呆れる周囲。
犬も喰わない低レベルな悪口の応酬が続く中、デモゴディΣとヒロインロボが寄り添うシーンで幕。
うーん、ヒロインのツンデレエピソードとしては至高の一品・・・なのだが。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
がたごと揺れる馬車の中。
右にアルテ、左にカオルくん、膝の上にリタ、背中にシルヴィアさん。全員無言。
御者席のガイガーさんが無言なのはいつものこととして、あの、何故俺はこんな事になっているのでしょう。
「あのねハヤト。あんな事があった後にこんな話見せられて、思う所がないとでも?」
「まあそうだよねー。ハヤトくんは何も考えてないんだろうけど」
「お、お兄ちゃんに悪気はないと・・・思う・・・」
「悪気がないのが問題なんだよ。何とか性根を叩き直してやりたいところだけど、どうにかできるかねえ、これ・・・」
何だよその反応!? 本気で呆れられてる&哀れまれてるのが分かって辛いよ!
ガイガーさんが鍔を鳴らさないのが逆に傷つくよ!
『ストロングなんだ♪ ビッグなんだ♪ ぼくらの デモゴディなんだ~♪』
強い心が・・・デモゴディのような揺るがない心が欲しい!
デモゴディのEDに俺の音なき絶叫を乗せつつ、馬車は街道を進んでいった。
はい、七の巻、一巻の終わりにございます。
途中で執筆用のパソコンから離れざるを得なくなって、考えていた話の流れを忘れたり、色々苦労しました。
いきなり拉致監禁が決まって、準備にマジで一時間くらいしか貰えなかったもんなあ・・・
植木の水やりを快諾してくれた隣家のおばさんありがとう。
>ナイチンゲール
スパロボで良く隠しになっているシャアの赤いMSではない。
まあガノタでもナイチンゲールでまず思い浮かぶのはフローレンスさんの方だろう。
実はメッチャ良い所のお嬢さんだったりする。
> 風よ雲よ太陽よ、心あらば教えてくれ!
超人機メタルダー。
君の人生は輝いているか?
>あたしあなたの事大好きなの!
マジンガーZ名作回の一つ、通称「さやかマジンガー」より。
LSK(ラブラブさやか甲児)を強烈に印象づけた回なのだが、実のところ原作アニメでさやかさんのヒロインムーブって余り・・・というかほぼなかったりする。
スパロボとかの印象と違ってメチャクチャ口悪いし、お転婆って言葉で収まらないくらいの猛女だし(漫画の彼女の方がまだ大人しい)。そもそも甲児君とさやかのラブエピソードっぽいものがある数話は、ほぼ全部同じ脚本家が書いてたりするんだよなあ・・・