異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第一章「ぼくは崖っぷち」
第二話 消えた怪獣王


「にんげんいるか」

 

     ――ロシアンマフィアの挨拶、自分たち以外は「にんげん」ではないの意――

 

 

 

 腹に響く怪獣王の咆哮。

 親父に富士の自衛隊火力演習に連れて行って貰った時、戦車が砲弾打つ音がマジで腹に響いて驚いたが、それどころじゃない。

 全身に響き渡るどころか、頭がグチャグチャにされるようだ。

 シルヴィアさんやアーベルさん、カオルくんと言った面々でさえ頭を抑え、リタやオブライアンさんなどは硬直して、咄嗟に師匠が何か術をかけていた。

 

「見ろ」

 

 ガイガーさんに促されて、咆哮の上がった方向を見る。

 !?

 

「ちょっと・・・こりゃどういう事だい?」

「なんだとぉ・・・?」

 

 シルヴィアさんたちの呆然とした声が上がる。

 咆哮はいつの間にかやんでおり、そちらに向かっていたはずの戦車隊は綺麗に消失していた。

 

「あれひょっとして幻影だったの?」

「ボクには実体に思えたけど・・・先生?」

「わしにも実体に見えたの」

 

 アルテが疑問を呈するが、幻影を普段使いするカオルくんと、魔術のプロである師匠が両方とも首を横に振る。

 

「地面が揺れる幻影ってのもあまりないとは思うんだけどよぉ・・・」

「ゼンティルで地面を揺らすどころか町を壊す幻影にお目にかかったばかりですからな・・・

 それよりあの咆哮ですぞ。まるで伝説にある真の龍の咆哮でしたぞ」

 

 まだダメージが残っているのか、頭を振ってこちらを見るラファエルさん。

 とは言っても、俺もお話の中で真の龍に会いはしたけど、結局その咆哮は聞いていない。

 

「まあ・・・わかんないことは考えてもしょうがない。

 取りあえず先を急ごうじゃないか。今日中に峠を越えちまわないとね」

 

 割り切れないものを感じながらも、その言葉に全員が頷いた。

 

 

 

 馬を急がせて山道を越え、何とか日の暮れる前に国境を越えて宿場町にたどり着いた。

 今までいたゼンティルがワイルド&タフなレヴィータお姫様のいた国。

 その隣のメリゴアは北へ向かう街道と海を使った交易が盛んで、サトウキビとか牧畜とかでも有名だそうだ。

 実際このラデルアも国境沿いの宿場町にしてはかなり大きく、人の行き来も多い。

 

「港で交易をやってるし、北へ向かう街道との交差点でもあるからな。

 当然人も物も集まるって訳だ」

 

 さすがにアーベルさんはこう言う事に詳しい。

 あ、アルテが考え込んでる。

 

「砂糖かあ・・・安く手に入ったりするかな?」

「まあここの主要産品の一つだからな。期待はしていいんじゃねえか?」

「それじゃ明日買い物に行って、いいのがあったら甘い卵焼き作ろうか」

「わーい!」

 

 リタの歓声に頬をゆるめつつ、俺達は町の門をくぐった。

 

 

 

「とざいとーざーい。これなるはハスキー一座、当地初お目見えにございまする!」

 

 アーベルさんの歯切れのいい口上が舞台袖にも聞こえてくる。

 お客さんは・・・50人くらいか。初日の最初の部としては上々だな。

 ・・・ん? シルヴィアさん、シルヴィアさん、ちょっと。

 

「ありゃ。ちょっとあんた、ついてきな」

 

 うっす。

 俺とシルヴィアさんは師匠に頼んで目立たない姿の幻影変装をかけて貰うと、舞台裾からこっそり客席の方に向かった。

 

 

 

「はいそこまで」

 

 後ろから手をつかまれ、びくっ!と震える男の子。

 年齢は十才くらいか?

 服装は粗末だが、洗濯は行き届いている。見せ物小屋に金払って入れる階層の子供ではある。

 

「年の割に腕はいいけど、あいにくこっちもそう言うのは慣れてるんでね・・・まあ運が悪かったね」

「・・・」

 

 くくく、と笑うシルヴィアさんに唇を噛む少年。

 こいつが何をしていたかって言うと、つまり置き引きだ。

 舞台の芸にみんなが注目している間に、荷物や客の懐から金を盗むのだ。

 恐ろしく早い置き引き、俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

「このお財布どうします?」

「帰る時に返せばいいだろ。落ちてましたとか言ってさ。

 そんであんたは・・・さてどうするかねえ? このハヤトはニッポンの魔術の使い手なんだよ。生きたまま首や手足をバラバラにしてやろうかねえ?

 それとも、人が乗れるくらいでかいガマガエルにしてやろうかい? ああ、首だけ人間の犬ってのもいいねえ・・・」

「ひっ・・・っ!」

 

 怯えた表情を浮かべ、シルヴィアさんの手をふりほどいて少年が逃げ出す。

 追っかけようとしたが、シルヴィアさんが笑みを浮かべてたので見逃してやることにした。

 いいんですか、あれ?

 

「あんなの警邏に突き出してもしかたないよ。ま、ちったぁいい薬になったろうさ」

 

 まあシルヴィアさんがそう言うならいいですけど。

 というか手足バラバラはともかく、ガマガエルとか首だけ犬ってそんな魔術あるんですか?

 

「あるかどうか知らないけど、そう言う事になってるねえ。

 それにどでかいガマガエルとか首だけ人間の犬はニホンにもいるんだろ?」

 

 いねーよ! なんだよその講談か忍者漫画の世界! 

 同じ児雷也ならロボット乗る方が好きだよ! テレビの中のキャラクターだけじゃなくて役者さん本人が忍者の宗家になったやつ!

 と言うか人面犬の方も大概古いよ!

 

「ふーん。まあそんなもんだろうね。ともかく次はあたしの出番だ。

 あんたも準備はしときな」

 

 へーい。

 

 

 

 翌日午後。

 いつもと違って俺達は三組で買い出しに出ていた。

 組分けはアルテとカオルくん、リタとガイガーさん、俺とシルヴィアさん。

 ガイガーさんがついに怒りを爆発させ、娘と俺を二人きりにさせることを許さなくなった・・・訳ではない。

 

 化粧品、言い換えるとメイク用品がまたしても足りなくなり、交易で有名なこの町で仕入れようと言う事になったのだ。

 当然だがうちは芸人一座なので必需品だし、何なら野郎どもも舞台に出る時は顔を白塗りしたり頬に紅塗ったりもする。俺も顔を青白い感じに塗ったり、ツリ目に見えるアイラインとか入れたりしてるんやで。

 

 俺とシルヴィアさんが一緒なことにリタはもちろん反対したし、アルテやカオルくんも結構不服げだったのだが、「大量に買い込むなら荷物持ちがいる」という言葉には反論出来なかった。

 アルテも化粧品の目利きは出来るし力持ちだが、食糧買い込みには彼女が欠かせない。

 リタも香辛料などを買い込むのに必要。

 カオルくんは化粧も料理もさっぱりなのでこっちに同行してもいいのだが、アルテとリタが許さなかった。

 のがさん・・・おまえだけは・・・

 

「だいたい料理も裁縫もお化粧も出来ないくせに、いっちょまえに女を主張しようってのが生意気なのよ」

「うぐっ!?」

 

 アルテのマウント取り! こうかはばつぐんだ!

 まあこっちの世界だとまだまだそういう価値観が強いんだろうなあ。

 ゼンティルの属性過積載のほほん巨女さんも身長高いから結婚出来ないみたいな事言ってたし。

 

 でも男女問わず料理や裁縫が出来ないのはこの世界だと地味に致命的だと思うわ。

 アーベルさんやラファエルさんなんか手先が器用だからできそうなもんだけど、あれは嫌だからやらないし上達しないタイプだな、どっちかっつと。




>甘い卵焼き
この世界には日本風の甘い卵焼きがあります。
砂糖使うので結構な高級品だけど。

> 恐ろしく早い置き引き、俺でなきゃ見逃しちゃうね。
ハンターxハンターより。
ミームになってるけどこの人正式名称もないんだぜw

>講談
講談の児雷也(自来也)。
まあ今はNARUTOの自来也のほうが有名か。

>忍者の宗家
戸隠流第三十五代宗家ジライヤ(の中の人)。
うーん事実は特撮ヒーローより奇なりw

> のがさん・・・おまえだけは・・・
最近リメイクされたロマサガ2。
作者も一度引っかかったw
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