異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「はぁ・・・」
「はぁ・・・」
二人揃って溜息をついているとリーヴィルが顔色を変えた。
「何だよてめえら! お前らみたいに恵まれた奴に何か言われる覚えはねえよ!」
ふうん?
「おまえら緑等級とその腰巾着で、そりゃ金にも力にも困った事はねえだろうよ!
あちこちのんびり旅して回って、芸見せて楽に生きてんだろ!
俺達みたいな貧乏人の気持ちなんか分かるもんか!
うちの親父なんか朝から晩までまじめに働いて、それで貰える賃金が銀貨一枚にもなりゃしねえ!
一生汗水垂らして働いて、ボロボロになって死んでいく!
そんなつまんねえ人生まっぴらごめんだ!」
リーヴィルは激昂しているが・・・うーん、びっくりするほど共感出来ない。
シルヴィアさんは知らないが、俺は確かに楽に生きてる。
オリジナル冒険者族で強力な《加護》があって努力も苦労もそれなりにしてるが、結構いい額のお給金貰って楽しく暮らしてる。
こいつがまともに生きて貧乏してるなら、結構後ろめたさは覚えたろう。
まともに生きてるならな。
「悪いけどね、人様の物に手ぇつけてる時点であんたにそのセリフを吐く資格はないんだよ。
人の物を奪う奴は、奪われて当然さね」
「じゃあ親父は何なんだよ! まじめに働いてるけど奪われてばっかりだ!
その点リーヴィルさんは違う! 俺みたいな生まれからのし上がって、裏社会のスターダムになったんだ! 俺もいつかあんな風に出世してやるんだ!」
ギャングスターに憧れるようになったのだっ!
知ったことかボケェ! ムショのくさいメシ食って真人間になって、今まで迷惑かけた人達に償ってこいっ!
と言うかリーヴィル?
「南の元締めのシゼーロさんとこの若頭さ! まだ35なのに誰も逆らえない!
同じ名前だから、かわいがって貰ってんのさ! 俺は切れるしな!」
自分で言うな。
というか、やっぱ突き出すしかないんじゃ?
「それしかないかねえ・・・」
「あ、こら! 放せよ! 放せって!」
シルヴィアさんが溜息をついてエールのジョッキを飲み干す。
俺は右手でリーヴィルの首根っこをひっつかみ、左手でミルクを飲み干して立ち上がった。
「はあ」
警邏の詰め所にリーヴィル(小)を突き出しての帰り道。
(ちなみに自分の分のミルクはちゃっかり飲み干していた)
シルヴィアさんが溜息をついた。
珍しいくらいにしょぼくれてる。
警邏に突き出しはしたものの、強制労働数日くらいで解放されるんじゃないか、とのお答えだった。
まあこんな軽微な犯罪者にそこまで金かけて収容とかする余裕はないだろうなあ。
そうなると、釈放されたらまた犯罪を重ねるだろうし・・・そうなったら末は腹を刺されてくたばるか、ワンチャン大悪党にのし上がるか、だ。
・・・ああそうか、
ドワーフ洞窟の事件の時に聞いたが、シルヴィアさんの弟のドッティさんは悪い仲間に染められて、20になる前に死んだ。
シルヴィアさんとしては、他人事じゃないだろう。
そんなことを考えていると頭を軽くこづかれた。
「ナマ言ってんじゃないよ。
人の頭の中を勝手に推し量りなさんな」
何も言ってないし俺の頭の中を勝手に推し量るのはいいんですかねえ・・・
「顔に出すのが悪い」
そう言ってシルヴィアさんはケラケラ笑った。
「・・・ところで化粧道具、どうしましょう」
「・・・明日の昼にちゃっと買ってくるしかないだろうねえ」
なお野営地に戻る直前、買い物をすこーんと忘れてたことを思い出して、二人して溜息をついたのは秘密である。
「ちょっと飲んでくるよ」
「ギャンブルは駄目ですぞ」
「大丈夫ですよ。シルヴィアさんが賭け事したら、裸で帰ってくるからすぐわかります」
「あんたらねえ・・・」
ラファエルさんとオブライアンさんの容赦ない言葉に、頬をひくつかせるシルヴィアさん。
それでもそれ以上は反論せずに、コートを羽織ってさっさと出ていく。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
シルヴィアさんの去った方角に視線が集中。
アーベルさんが溜息をついた。
「何だかんだ言ってわかりやすいねえ、ウチの座長様は」
そうなのである。
ここ数日ほど、興行が終わると「飲みに行く」と言って外出するようになった。
あのことがあった翌々日からだ。
俺もシルヴィアさんも何も話してないので何があったかはわからないが、何かあったのはバレバレなのである。
「・・・」
今度は俺に集中する視線。
「で。奴になんぞあったのか?」
代表して問うたペトロワ師匠の言葉に、俺は溜息をついて説明を始めた。
「なるほどのう。その泥棒小僧の事が気になっておるわけか」
まあ多分。
ちなみに弟さんのことは話してないが、まあ必要はあるまい。
「あれであいつ、面倒見はいいからなあ」
「そうだねー。私も拾って貰ったくちだし」
「ですぞですぞ」
「ほんとにねー」
頷きあう一同。
ガイガーさんも僅かに頷いてるし、考えてみれば俺やカオルくんだってそうだ。
放っておいた方がいいかなあと思ってはいたんだが、ここまで長引くようだとそうも言ってられないだろう。
そもそも不良少年の更生にあの人がどれくらい役に立つかって問題もあるし。
「ひどいなあ、ハヤトくんは」
非難するカオルくんだがその顔は笑っている。
その他の面子も大体そんな表情。
「シルヴィアだもんねー」
リタにまで言われる様じゃおしまいだな。
さて、実際にどうするかだけど・・・
「小僧がこっそり探ってくればよかろうが」
「まあハヤトだよな」
「この場合はまあしょうがないかな・・・」
なんで異口同音に俺の名前を挙げるんだよ!
こっそり探るなら師匠でいいだろ!
「あいつ勘が鋭いからのう。追跡系の術を使うと結構ばれるんじゃよ」
むう、じゃあアーベルさんは? 隠密の腕なら俺より遥かに上だろ。
「何言ってんだ、そもそもお前以外いないだろ。
ピキッ。
空気が凍る音がした。
いや、絶対に物理的に聞こえたぞ!
事が事だけに肉体言語に訴えはしないが、絶対零度の視線が俺とにやにや笑うアーベルさんに突き刺さる。
そして鍔の鳴る音。
アーベルさんはともかく俺悪くないって!
「まあ実際お前がかわいがられてるのは確かじゃからのう。
日頃の恩を返すと思って行ってこい」
それは異論ないんですけどね・・・。
> ギャングスターに憧れるようになったのだっ!
ジョジョ第五部より。
自分を直接助けてくれたジョルノはまだしも、単に金持ちで羽振りが良いのに憧れてるだけなので慈悲はない、ハイクを詠め。