異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「あんた・・・」
「リーヴィルさん!」
こいつ・・・
リーヴィル(小)との会話に気を取られていたとは言え、十数メートルの距離に近づくまで気がつかなかった。
鋭いはずのシルヴィアさんもだ。
「もう一度言うぜ、リーヴィル。それでこそ男だ。
身内殺されて黙ってんのはただのクズだ。仇をブッ殺してこそ男が立つ」
改めてミストヴォルグセンサーで周囲をサーチする。
リーヴィル(大)の数十メートルほど向こうに数人の男。ほとんどは
「ちょっとあんた、勝手な事言ってんじゃないよ。
大体ポルク爺さんはあんたらの抗争に巻き込まれたんだろ」
「俺達は真っ当な商売をしてるだけだぜ。刃物持ち出して来たあいつらが悪い」
せせら笑うリーヴィル(大)。
が、当然これは嘘だ。
ここ数日アーベルさんも動いてくれていて、彼によればこの町を仕切ってるのは北と南の元締め。
もちろん犯罪組織同士で仲が良いはずもないが、ここ数年は静かにバチバチやりあってて、いつ爆発してもおかしくない状態だったらしい。
リーヴィル(大)の所属する南のヤクザ組織にしても、北の縄張りにある商会に圧力をかけたり、こっそりと商売を妨害したりして、あれこれえげつないことをやっていた模様。
「ふん。どうせ色々嫌がらせしてあっちが暴発するの待ってたんだろ。
『これは正当な復讐だ』って大義名分を手に入れるためにね。
そのために殺されたポルク爺さんや他の連中はいい面の皮さね」
「えっ・・・」
愕然とした顔でリーヴィル(大)を見上げるリーヴィル(小)。
でも多分シルヴィアさんが正しいと俺も思う。
「バカをいうなよ。俺達は確かにヤクザだが、それでも一般人の皆さんに刃物を突きつけるような真似はしないぜ」
そりゃそうだろ。刃物突きつけるより言葉で脅した方が効果はでかい。
刃物出したら言い訳出来ずにお縄になるしな。
「こいつらに惑わされるなリーヴィル。こいつらはな、お前を利用しようとしてそんなことを言ってるだけなんだ。大して付き合いもないこいつらと俺、どっちを信用する?」
「それは・・・」
「クェ・・・」
迷うリーヴィル(小)。フリーマンも所在なさげな鳴き声。
「さあ、どうするリーヴィル? そいつらの言うことを信じるか、俺か」
「リーヴィル」
「・・・」
リーヴィル(大)とシルヴィアさんに挟まれて少年が沈黙する。
やがて口を開いたリーヴィル(小)が口にしたのは・・・復讐だった。
「でも、それでもポルク爺さんを殺したのは許せねえ! その後のことはその後のことだ!」
「・・・ちっ」
「よし、よく言ったリーヴィル!」
上機嫌でリーヴィル(小)の肩を叩くリーヴィル(大)。
ちらりちらりとこちらを伺いつつ、結局リーヴィル(小)はそのまま(大)と一緒に行ってしまった。
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はーっ」
長い沈黙の後、シルヴィアさんがそれと同じくらい長い溜息をついた。
頭をわしゃわしゃかき回して、イライラと足踏みしている。
こう言う時のシルヴィアさんに声をかけるとろくな事が無いのは経験上知ってるので、しばらく放置。
「あ~~~っ! もうやってられるか! めんどくさい! あのクソガキが!」
いきなり叫び始めるシルヴィアさん。
その後もしばらく、到底文章に出来ないような罵倒が数分間続いた。
オリジナル冒険者族の翻訳機能で意味がわかってしまうのが恨めしい!
ここにカオルくんやリタがいなくて良かったなあ・・・。
「ハヤト」
罵倒を言い尽くして取りあえず気が収まったのか、シルヴィアさんがじろりと俺を見た。
俺にはわかる。これ逆らっちゃいけない奴だ。
そして同じくらい確信がある。絶対にろくでもないことだ――!
「あ、あの・・・何でしょう」
「これから北と南の元締めのところに鉄巨人で殴り込んで、更地にしてきな」
ブフォッ!
「それだけじゃないよ。構成員どもも全員ブッ飛ばすんだ。リーヴィルにちょっかいをかけられないように。ああ、むごたらしくするのもいいね。見せしめにするんだよ」
「だ、誰の・・・?」
そう言うとシルヴィアさんは素晴らしく邪悪な顔で笑った。
「決まってんじゃないか。あのクソガキにだよ。悪い事をしたらこうなるって、分からせてやらないとねえ・・・?」
い、いやだって、ヤクザの本拠地潰すとか俺がやばいし、場所も・・・
「アーベルに調べさせる。付き合いの深い商会があったらそこもだ。鉄巨人ならアンタとばれるわけもないだろ」
だとしても俺を犯罪者にする気ですか!?(悲鳴)
「やれ」
アッハイ。
翌日、町の郊外で大規模なヤクザの出入りが起きた。
それまでにあった緊張が、前日の闘鶏場での騒ぎをきっかけに一気に爆発したのだ。
互いに全戦力を出し合っての大抗争。とばっちりが出ないよう、領主も全軍を出して警備に当たらせている。
と言うかむしろ、街の外でぶつかるのが領主による仲介と恫喝の結果だ。
それでも見物人がワラワラと城壁に群がっているのはまあ、物見高い人のサガというか。
朝九時の鐘と同時に始まるはずだった激突は、だが誰も想像していない結果に終わった。
九時の鐘が鳴ると同時に、両勢力が元締めから下っ端のチンピラに至るまで、倒れて苦しみ始めたのだ。全員がうわごとを言いながら泡を吹き、数日間目覚めなかった。
おまけにその直前、城壁の中でも大騒ぎが起きていた。
ドラゴンの翼と頭、その他にも色々な動物の特徴を持った怪物が南の元締めの館を完膚無きまでに破壊したのだ。その後すぐに北の元締めの館と、それらと関係の深いいくつかの商会、また別邸が破壊された。
領主はこれを幸いと南北の組織全員を一網打尽にし、強制労働刑の上で財産没収。
倒れた構成員たちは数日から十日ほどで目覚め後遺症もなかったが、みな一様に怯え、魂が抜けたようになっていた。
リーヴィル(大)なんかは別人のようにやせ細り、生気も失って小さな物音にも怯えるようになったらしい。
まあ、だいたい俺の仕業なんだけどね!
まず情報を掴んだのがアーベルさん。
町の外でぶつからせたのは、領主の頭にそのアイデアを滑り込ませたペトロワ師匠。
そこから先が俺の仕事。
まずはデモゴディに巨大化した上で、ホラーロボットアニメ「レッサーマン」に登場する生体巨人「ファンタジウム」、その中でも最強である、七体合体した「フッサール」の姿をかぶせたのだ。
能力はほとんど再現出来てないが偽装だから関係ない。殴って踏みつぶせばいいだけだしな。
そしてお次は『地球防衛ライデンオー』に出てくる「ゴクアクドリーム」という技。
何か悪役っぽい名前だって? そりゃそうだ、悪役の使った技だもの。
この技、平たく言えば精神攻撃。
その人間がもっとも苦手とする悪夢の中に引きずり込んで、えんえんと苦しめるという恐ろしい技である。作中では信じる心と勇気がそれに打ち勝ったが、自分で打ち勝てる自信はないなあ!
それでもボクは絶対にデモゴディを信じるんだ――!
それはともかく、そのゴクアクドリームの中に構成員を全員引きずり込んだ。
その結果がこれである。
そして元締めの館の破壊からゴクアクドリームまで、シルヴィアさんがクソガキの首根っこひっつかんで一部始終を見せた。
彼の名誉と尊厳のために詳しくは言わないが、まあひどい有様だったそうである。特に下半身。
こうしてリーヴィル君は生涯恐ろしい年増の幻影に悩まされ、マジメでつまらない人生を送ることになったのでした。めでたしめでたし。
「誰が年増だァッ!?」
アニメならここでシルヴィアさんの絶叫カットが入るところだが、諸事情によりその機能は実装しておりません。
めでたしめでたし。
ちなみに中国では「金剛」というと巨大ロボットのことを指します。
(例えばトランスフォーマーは「変形金剛」)
まあこの場合ブチ切れてるのはロボでもパイロットでもなく司令官ポジですがw
>レッサーマン
>ファンタジウム
>フッサール
ガオガイガーとも関係の深いホラーロボットアニメ「ベターマン」。
地球の守護者である亜人ベターマン達と、同じ異変に立ち向かうロボット「覚醒人」の話。
作中のベターマンたちの種族名が「ソムニウム」で、これがラテン語で夢とか幻想という意味なのでファンタジウム。
ソムニウム七体合体の姿が「ベターマン・カタフラクト」で、カタフラクト(ローマ重装騎兵)と重装騎兵繋がりでフッサール(フサリアとも。ポーランド騎兵)。
>地球防衛ライデンオー
>ゴクアクドリーム
エルドランシリーズ第一作絶対無敵ライジンオー。みんなが地球防衛組。
ゴクアクドリームはジャークドリーム。
スパロボでダンバイン主人公が見せられていたジャークドリームが「みんな仲の良い優しい家族」だったのは気の毒すぎて何も言えない。
なおエヴァのアラエルの精神攻撃とか、ファフナーの「あなたはそこにいますか?」も考えたが、やばすぎるので没にしたw