異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第二章「もののけ姫」
第八話 はじめてのともだち


「黙れ小僧! お前にサンが救えるか!」

 

     ――モロの君――

 

 

 

「はー」

 

 吐く息が白い。

 リタは雪のちらつく空を見上げた。

 森の中、廻りには誰もいない。

 いつも一緒のハムリスたちもだ。

 

 物心ついた時には父と二人で、同年代の友達はいた記憶がない。

 友達と言えるのはアカフク達の母親のハムリスだけで、やがてアカフクたちが生まれた。一緒にいると楽しかったが、友達と言うよりは手のかかる弟みたいなものだった。

 ハスキー一座に入った。周囲の大人たちは優しかったが、やはり友達ではなかった。

 その後アルテ、二年ほどしてハヤトとカオルが加わり、年の近い人間が一気に増えた。

 お姉さんたちにかわいがって貰うのは大好きだったし、ハヤトは別の意味で大好きだった。

 ちょっとだらしなくて面倒を見て上げないと危うい、というところも目を離せない理由の一つ。

 

 みんなと一緒にいるのは楽しかったが、それでも一人になりたい時はある。

 ラデルアの町を出て二日、昼食の後の休憩時間。

 森の中、時折小鳥たちの話し声が漏れ聞こえるくらいの静寂。

 普段から沢山の「話し声」に慣れているリタにとって、そうした沈黙に身を委ねているのは心地よかった。

 

(そろそろ戻るかな)

 

 立ち上がった時、奇妙な「声」が聞こえた。

 《会話の加護》を持つ彼女以外には恐らくただの泣き声、ひょっとしたら声として受け止められることすらないかもしれない。

 それでも彼女にとって、その弱々しい「声」は助けを求めるものに聞こえた。

 

(私よりちっちゃい子だよね・・・お腹空かせてる・・・?)

 

 ゆっくりと慎重に、彼女は声の聞こえた藪の方に近づいた。

 

 

 

「だらしないねえ。自分の毒に当たって死ぬピラザ魚じゃあるまいし」

 

 うるせえな・・・大体やれって言ったのあんただろ・・・

 

「そうよ! 男の子のためか何か知らないけど、シルヴィアの無茶ぶりのせいでハヤトがこうなってるんだからね!」

「目的は立派だし、ハヤトくんも同意の上で協力したわけではありますけど、さすがにシルヴィアさんが言っていいセリフじゃないと思います」

「お兄ちゃんの看病の邪魔するなら出てってくれない?」

 

 げきおこアルテ。静かに睨みつけるカオルくん。冷たく拒絶するリタ。

 その姿は子供を守る雌虎のごとし。つまり三人にとって俺は赤ん坊みたいなものか・・・オギャりプレイがはかどるな! 趣味ではないが!

 閑話休題(それはさておき)、牙を剥いた三人にさすがのシルヴィアさんも気圧されたようである。

 

「わ、わかったよ、悪かったって・・・それで大丈夫なのかい?」

 

 極めて大丈夫じゃないです。肉体的にはともかく精神的に。

 あれから三日、馬車の中で転がってるだけのマグロ人間と化した俺である。

 きっと死んだ魚の目してるよ!

 

 理由はアレだ、前の町で「ギャングスターにあこがれるようになったのだっ!」からヤクザの使いっ走りをして順調に悪党の道を登りつめようとしてたリーヴィルというクソガキ。

 そいつの性根を叩き直すためにヤクザの本拠地を叩きつぶした、ここまでは良かった。

 問題はその後の精神攻撃、ゴクアクドリームである。

 

 俺の《加護》は基本ロボットアニメの作中に出てくるものなら大体再現出来るが、当然あれこれの制限はある。

 まず当然だが、俺の魔力を越えた現象を起こすことは出来ない。

 関東地方を消滅させたり、月を食ったり、全世界の人間を眠らせたりとか。

 

 技術的に高度すぎるものも再現出来ない。光速で移動したり、空間断絶したり、死者を復活させたり、そう言うのは無理。

 

 作中の描写から大きく外れたもの、描写の少ないもの、もしくは「設定上存在する」ようなものもやはり再現しづらい。

 前にホラ話の中で鯨の子供を無理矢理巨大生体ロボット扱いして、設定上は存在する水の魔働機士の治療魔法で傷を治した時みたいに。

 あの時は無理の代償として限界を超えて魔力を消費し、半日ほど寝込むことになった。

 

 そして最後に、善玉側、もしくは主人公側の能力は普通に再現出来るが、悪玉、もしくは敵側の能力はかなり再現しづらい。

 出力も低くなるし、魔力のロスも大きい。制御もかなり甘くなる。

 この辺知ってる人は超能力金融バトル漫画「バンカーxバンカー」の銭(せん)能力を思い出してくれると良いかもしれない。

 能力系統ごとに六角形になってるヤツ。

 主人公側ロボ(寝返ったヤツも含む)の能力が100%とすると、敵か味方か分からない第三勢力や、敵側だけど描写の丁寧なやつは80%、敵だけど主人公たちとちょっと仲良くなるようなゲストキャラは60%、最初から最後まで完全に敵なのは40%、そんな感じだ。

 

 んで、ゴクアクドリームは事実上のラスボスの能力なので、まあ多分40%に該当するんじゃないかな。魔力もガシガシ浪費したし、千人以上を巻き込まないといけなかったし(原作だとパイロット三人だけなのに)、おまけに制御が甘くて自分にまで影響を及ぼしてしまった。

 なのでここ数日俺は悪夢に悩まされてげっそりしてるというわけだ。

 そういう意味ではシルヴィアさんの言う通り、まさしく自分の毒で死ぬフグである。

 そう言えばマスクドライダーにもそう言う怪人いたな・・・アーベルさんによるとヤクザ者達は全員未だに悪夢から目覚めてないらしいから、そいつらほどじゃないとは思うが。

 

「ま、まあリーヴィルは心を入れ替えてくれたみたいだし、あんたのおかげだよ、うん!」

 

 顔真っ青にして涙と鼻水でぐしょぐしょで、下の方はそれ以上に「見せられないよ!」になってましたけどね・・・

 なおあの後大規模な手入れが入って闘鶏も禁止・・・になるかと思いきや、他の賭け事同様公営ギャンブルとして復活した。要するに胴元がヤクザじゃなくて領主になっただけで、収益は全て税金として公庫に入る。領主さん大勝利である。パねえ。

 そう言えば、南の元締めの別邸から何か妙な古代遺物(アーティファクト)が出てきたって?

 

「らしいね。今ばあさんが調べてるけど、手こずってるみたいだ」

 

 もちろん俺が踏みつぶしたところなのだが、可能な限り人死には出したくなかったので、師匠たちに追い出し役を頼んだのだ。

 で、師匠が奇妙な魔力を感知したので、ラファエルさんたちが掘り出してみると奇っ怪なアイテムが出てきたと。

 しかしあの人が分からないってなると相当だな・・・ああ、頭がぼんやりして・・・

 

「ほら、ゆっくり休みなさい」

「そうだね。何だったら添い寝して上げるよ」

「あ、ずるい! なら私だって!」

「そうだよ、それなら大人の女のアタシが・・・」

「「「シルヴィア(さん)はだめ」」」

「なんでだよ!?」

 

 真顔で拒否され怒り狂うシルヴィアさんにちょっと笑いながら、俺の意識はまた眠りに落ちていった。

 頼むから、オメガデモゴディの参戦無しに延々とデモゴディが敗北・破壊されてはまた最初から破壊されるあの悪夢だけは勘弁・・・




>ピラザ魚
仮面ライダー第十六話の怪人ピラザウルスから。
毒ガスを吐くがその毒ガスで自分も死んだ、シリーズ屈指のネタ怪人。

>バンカーxバンカー
もちろん「ハンターxハンター」と念能力。
しかし超能力金融バトルってどんなんだろう。書いといて何だが思いつかないw

>能力再現度
ジークアクスで言うとこんな感じ(超適当)
100%・・・マチュ、ニャアン、シュウジ(赤いガンダム)
80%・・・シャア、ヒゲマン、エグザベ君(描写の濃い分)
60%・・・ポメラニアンズのザク(一応味方だけど描写少ないので)、シイコ(キラキラ空間共有したので)
40%・・・軍警ザク、三連星、ドゥー、ゲーツ、ビグザム、シュウジ(白い悪魔)

>見せられないよ!
アニメ版「ハヤテのごとく!」オリジナルキャラクター『自主規制君』。
「見せられないよ!」と書かれたフリップを手に持って、見せられないシーンを身体を張って視聴者の目から隠すのがお仕事。

>オメガデモゴディの参戦無しに~
一言で言うとグレートマジンガーの出てこない「マジンガーZ対暗黒大将軍」エンドレス。
多分ハヤトくんには最悪の悪夢(ぉ
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