異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第九話 サベッジ・スピーシーズ

「最近食糧の減りが早いのよね」

「単純にアルテの食べる量が増えた・・・へぶっ!?」

 

 ノータイムで飛んでくる怒りの鉄拳。

 いや今の殴られる程のことですか! 

 

「アンタが悪い」

「ハヤトくんが悪いよ」

「ハヤトが悪いのですぞ」

 

 異口同音に頷く一同。ガイガーさんも頷いてないで!

 

「まあ本当だからって口に出しちゃいけねえ事はあるわけよ。お前さんはまだ修行が足りてねえな」

「アーベル?」

「とっと、くわばらくわばら」

 

 ニヤニヤ笑いながら素早くアルテから離れるアーベルさん。

 なるほど、「本当の事を言う時は馬のあぶみに足をかけておけ(逃げる準備をしておけ)」ってこう言う事なんだな・・・最初から安全地帯にいるんじゃなければそう言う発言はしちゃいけないんだ。ハヤト覚えた。

 

「ハヤトくんがなんか余計な知恵をつけてる」

「小僧はそれ以前に思った事を顔に出したりぽろっと口にしたりする癖をどうにかしたほうがいいんではないかのう」

 

 へいへい、おっしゃる通りで。直せるものなら苦労はしませんよ。それで、食糧の減りがなんだって? そもそも確かな事なの?

 

「うーん、多くはないけど確実に減ってるのよね。大人の半分・・・丁度リタ一人分くらい」

 

 この一座の食糧を管理してるのは当然アルテである。

 そしてアルテさんは意外に細かく、食糧の消費や在庫、賞味期限、香辛料や調味料の残りもきっちり把握している。

 化粧品なんかを管理はしてるけど「大体このくらいかなー」で大雑把にしか把握してないシルヴィアさんとはえらい違いだ・・・ぐはっ!?

 

「今アタシをディスったろ」

 

 だからってノータイムで拳が出てくるのはひどいんじゃないですか!

 実際そのせいで無駄に化粧品買い込んだり、荷物持ちやらされてる俺は言う資格がある!

 

「それとこれとは話が別だっ!」

 

 誰かこの暴君をどうにかしてくれ。

 

「さっきの気づきが全く役に立ってねえな・・・」

「成長してないよねー」

「その辺がハヤトなのですぞ」

 

 かき鳴らされるバイオリンの音。うるせえだまれ妖精(ズッコケ)三人組。

 しかし食糧が減ってるって、原因は? まさかネズミでもないだろうし。

 

「馬車だし、さすがにそんな沢山のネズミはいないと思う。

 リタのハムリスだって、十匹でリタの半分も食べないし。

 なんか、リタじゃないかって思うのよね。時々食糧置いてる馬車に出入りしてるし」

 

 この場にリタだけいないのはそう言う事か。

 

「まあラファエルかアーベルがつまみ食いしてるのかもしれないけどね」

「おい、さすがにそりゃひどいぜ!」

「断固抗議するのですぞ」

 

 異議を込めて静かにかき鳴らされるバイオリン。

 だがアルテの目は冷たい。

 

「前科者は黙ってなさい。楽しみにしてたココの実の砂糖漬け、二人で全部食べちゃったのはいまだに許してないからね?」

 

 あ、二人が目をそらして口笛吹き始めた。

 ちなみにドワーフであるラファエルさんはもちろん、小人族であるアーベルさんも体格の割には大食いである。へたすると俺より食うし、甘いものも好きだ。

 

「まあそのへんは問い詰めるまでもあるまい。お主ら、この中でつまみ食いをしとらんヤツは手を上げろ」

 

 全員が手を上げる。

 呪文を唱えた師匠が頷いた。

 

「この中にはいないようじゃの」

 

 うーん便利。

 となるとやっぱりリタか?

 

「犬でも拾ったかな?」

「前にもそんなことがあったよね」

「アカフク達のお母さんも、確かそんな感じで拾ったんだよね」

 

 アルテが視線を向けるとガイガーさんが頷いた。

 それでどうします? リタを問い詰めるのもちょっとかわいそうな気がしますけど・・・

 

「そうだねえ・・・リタ一人分くらいならまあ見過ごしてやってもいいけど・・・」

 

 考えてみると、リタ一人分にしても、動物としては結構大柄では?

 犬なら普通に大型犬。シェパードとかゴールデンレトリーバーとか。

 そう言うとシルヴィアさんが少し考え込んだ。

 

「うーん・・・アルテ達でそれとなく確認してもらえるかい?

 危なくないものだったらあたしらは見てみぬふりってことで」

 

 全員が頷いた。

 

 

 

「にしても・・・どうしよう?」

「さりげなくリタに聞いてみる?」

「アーベルさんに力を借りられればいいんだけどねえ・・・」

 

 謎の子犬(仮)の件を一任された俺達三人が、額を付き合わせてうんうん唸っている。

 俺はともかくアルテもカオルくんもコミュ力は結構高い方だと思うのだが、こちらの考えていることを気取られずに相手の意図を探り出すとか、そう言う腹芸は苦手である。

 一番コミュ力の高いカオルくんが素直な性格(婉曲表現)なので、その手の事には全く適性がないのが痛い。

 

「否定はしないけどハヤトくんに言われたくはないなあ・・・」

「私も人のこと言えるほどじゃないけどハヤトが言っていいことじゃないんじゃない?」

 

 へいへいどーせ俺は人間顔面電光掲示板ですよ。

 「嘘つきの卵」いらずの便利男ですよ。

 

「『でんこうけいじばん』ってなに?」

「「「うわあぁぁぁっ!?」」」

 

 いきなり横からかかった声に、俺達は三人揃ってしりもちを突いた。

 やべえ、いつの間にこんなに接近されてたんだ! リタ、侮れぬ小娘よ・・・

 

「チューチュチュー」

「あはは。かっこわるいなー、だってさ、お兄ちゃんたち」

 

 うるせえだまれカラフル畜生(ハムリス)ども。

 そのままリタは笑いながら行ってしまった。

 だ、大丈夫だよな? ばれてないよな・・・?

 

「ええと・・・」

「うんまあ多分・・・」

 

 (俺を含めて)なんて頼りにならない連中だろう・・・。

 

 

 

『フィア・・・四番目だからフィアだなんて・・・でも君はフィアゲッセンメトヒェン、過去を忘れた女の子だね・・・』

 

 馬車の中、移動しながらのロボットアニメ上映会。

 「機甲戦士Ω(オメガ)ガンボイ」屈指の名エピソード、マカオ編のラスト。

 ほのかな恋情を交わしながらも命を散らした敵の改造人間、フィアに主人公が涙を流す。

 

「・・・」

 

 気がつくと、膝の上のリタが涙を流してしゃくり上げていた。

 よほどに心に響くものがあったのか。

 俺は黙ってその頭を優しく撫でてやった。

 

 その夜。

 そろそろ寝ようかと言う時に、カオルくんが呼びに来た。

 アルテとカオルのテントで話したいことがあるという。

 これはあれかな! ついに大人の階段登っちゃうのかな! 俺は今シンデレラ!

 

「怒るよ?」

 

 アッハイ。

 

 

 

 アルテとカオルくんのテントに行くと、アルテとリタもいた。

 リタがこちらのテントで寝るのは珍しいことではないが・・・思い詰めた顔をしている。俺でもわかるくらいに。

 

「お兄ちゃんたちに、相談したいことがあるの」

 

 俺達は顔を見合わせた。

 

 

 

 いつも俺達の乗ってる三番目の馬車。

 馬車の中ではなく、馬車の下の荷物スペース。

 普段使っていないはずのそこを開く。中には毛布にくるまれた何か。

 

「おいで。大丈夫だから。出て来て」

「・・・」

 

 しばらくの沈黙の後、おずおずと「何か」が這い出してくる。リタよりちょっと小さいくらいの体格、明るい緑色のトカゲのような質感の皮膚と尻尾、大きな目、頭頂部から尻尾の先まで続くトゲ。

 これって・・・

 

「チュパカブラだーっ!?」

 

 思わず俺は絶叫していた。




タイトルは昔のD&Dのサプリから。
意味はあるようであまりない。

>本当の事を言う時は馬のあぶみに足をかけておけ
トルコのことわざらしい。
Civ技術格言参照。

>フィア
ドイツ語で4。当然Zガンダムのフォウ・ムラサメが元ネタ。
セリフは近藤和久のZガンダムコミカライズから。
フィアゲッセンメトヒェン=英語でフォーゲット・ガール。
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