異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十話 UMA(unidentified mysterius animal)

「ちゅ、ちゅぱかぶら・・・?」

「ええっと・・・何か未確認生物だっけ? ジャングルで血を吸う・・・」

 

 南米のUMA(未確認生物)である。

 背中にトゲが生えていて家畜の血を吸う。名前も直訳すると「山羊の血吸い」だ。

 「スピーシーズ」というホラー映画に出て来た宇宙人と人間のキメラが元ネタなんじゃないかって話はあるがそれはさておき。

 

「・・・」

 

 身長はリタと同じ、1m20cmほど。人間とトカゲのあいのこみたいな骨格、全身緑色で、一見トカゲのようにも見えるが短い毛が生えている。瞳のない大きな目、頭頂部から背中にかけて一列に生えたトゲ、短い尻尾。手足には短い鉤爪、口には牙。

 見れば見るほどそのチュパカブラに見えてくる。

 

「その、えーと、チュカパブラってニホンにもいるの?」

「チュパカブラね。ボクはよく知らないなあ」

 

 まあ雪男やネッシーほどには有名じゃないからな。

 どこぞのスクリーントーン窃盗漫画家が「新連載! アマゾンのチュパカブラに育てられた野生児が、今格闘技界に旋風を巻き起こす!」みたいな予告を載せてたけど、雑誌がいきなり廃刊になって結局読めなかったし。

 ターンアルファガンボイとかビッグ・ゼロとかシックスマン無限とか、結構好きな漫画が多かっただけに残念だったものである。

 主力だったマスクドライダー魂はさすがに他の雑誌で拾って貰えたが、それ以外はマイジャー路線だったからなあ・・・

 閑話休題(それはさておき)

 

「・・・血は吸うの?」

「吸わないよ!?」

 

 血相を変えて否定するリタ。

 チュパくん(仮称)も何となく意味がわかったのかピューピューと声を上げて抗議している。

 と言うかこいつ俺らの言ってることがわかるのか。頭いいな。

 

「食べ物が減ってたのはこの子にあげてたの?」

「うん、お腹空かせてて・・・怪我もしてたから」

 

 良く見ると体のあちこちに包帯が巻いてある。

 獣にでも襲われたか?

 

「この子はどこから来たんだい?」

「あなたはどこから来たの?」

 

 きゅーきゅーぴぴーと鳴くチュパくん。

 俺には単なる鳴き声にしか聞こえないが、リタにははっきりと意味がわかるらしい。

 

「石と金属と透明な石で囲まれたところにいた。痛いことされるから逃げてきた、だって」

「何それ・・・あっ!?」

 

 何度か見ているアルテも気付いたらしい。

 何らかの研究所・・・あるいは真なる魔法文明時代の遺跡だろう。

 

「するとこの子は・・・」

「何らかの魔法的手段で作られた生物と見るのが妥当なところだろうね・・・」

 

 暗い顔でアルテとカオルくん。

 リタもわからないながら余りいいことではないと察したようだ。

 

 ・・・まあなんだ。ともかく、ここで追い出すのもまずい、ような気がする。

 ほれあれだ、何か危険な能力を持ってる可能性もあるし、師匠やガイガーさん始め、対応出来る人間が揃っているこの一座に匿うのが一番いいんじゃないだろうか(棒)。

 

「!」

 

 そう言うとリタの顔がパッと明るくなる。

 アルテとカオルくんはクスクスと笑ってる。

 いかんなあ、そういうのは。野暮だよキミたちぃ。

 後まじめな話、チュパくんに「痛いこと」をした連中が善人とはあんまり思えないしな。

 

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 

 ぎゅっと抱きついてきたのを優しく抱き返して・・・

 っ!?  今鍔鳴りの音がしたぞ! したよな!?

 

「? どうしたの、おにいちゃん?」

 

 い、いや、なんでもないんだ。

 なんでもないんだよ・・・。

 滝の如く冷や汗を流す俺を、リタは不思議そうな顔で、アルテとカオルくんの二人は呆れと憐れみが混ざった表情で見ていた。

 

 

 

 場所を馬車の中に移して作戦会議。チュパくんは大人しくリタの隣に座ってる。

 傷は治せる限りでカオルくんが治した。

 ところでチュパくんでいいの?

 

「かわいいし、いいんじゃない?」

「きゅーきゅー」

 

 本人も拒否してないようだし、まあいいか。

 ともかくこの作戦会議、基本は形だけのものだが、本当にこの子が何か危険な能力を持ってる可能性もある。

 出来れば師匠に調べて欲しいところだが、大人たちに話すことをリタが怖がってるので当分は「大人たちには秘密」という路線で通さざるを得ない。

 後でこっそり相談しよう。

 

「で、どうなんだいリタ? この子は何を食べるの?」

「何でも食べるよ。お肉と野菜のスープも、果物も、パンも」

 

 少なくとも腹一杯なら吸血とかそう言うのはないかな?

 昼はずっと馬車の下に隠してたの?

 

「うん。毛布でくるんでじっとしててもらったの。明るいうちは干しナツメとか、ナッツとかパンとか食べてて貰って」

「キュキュッ」

「干しナツメが好きなんだって」

 

 リタに話しかけるチュパくん。うーん姉弟みたいで微笑ましい。

 アルテとカオルくんも同じ考えなのか、頬をゆるめている。

 

「それで、この子は何か凄い事ができたりするの?」

 

 好奇心を少し覗かせてアルテ。

 外見はいかにも怖い怪物なのに、偏見ないなあ。

 

「こっちは変な怪物に飲み込まれるわ、吸血鬼に血を吸われるわ、空飛ぶ手足に襲われるわ、むかつく白いのっぺらぼうに踏みつぶされるわ、ハヤトと出会って以来、そんなもんには慣れっこなのよ」

 

 サーセンwww

 でも俺は余り悪くないよなそのへん!

 

「きゅー」

「よくわからないって」

 

 考えてみると何が普通で何が普通じゃないか、実験施設にいたらわからんか。

 空を飛べてもそれが普通だと思ってるかもしれないし。

 まあそれはともかく。リタ、これからちょっとだけカタナを抜くから、怯えないように言ってくれるか?

 

「うん。そう言うわけだから、大丈夫だからね、チュパくん」

「ぴぴ・・・? きゅー・・・」

 

 どうにか納得してくれたようなので、俺はムラマサを取り出して、ほんのちょっとだけ抜く。

 柄元にはまった琥珀の宝石・・・「タリエシンの宝珠」を通して透視の術を使うためだ。

 

「エスパーアイ! 透視光線!」

 

 琥珀の宝石を通してチュパくんの体内が見える。

 うーん、グロイ。

 まあ人間とは多分違うのだろうが、どこがどうなのか俺にはわからん。

 ともかく毒ぶくろとか、放射能ぶくろとかはなさそう。

 後これがメインなのだが、追跡魔術とか体内に発信器とかそう言うのは仕込まれてなかった。

 腕の立つ術者が魔法隠匿の術をかけてたりするとわからんが、少なくとも俺の魔力感知で分かる範囲ではない。

 

「・・・じゃあ、とりあえず『みんなには内緒で』世話するでいいかな?」

「そうだね。食べ物については私も協力するからどうにかなるでしょ」

「アルテちゃんもカオルちゃんもお兄ちゃんも、ありがとう!」

「きゅきゅっ!」

 

 ええんやで!

 こうして俺達は三人でよってたかって、リタとチュパくんを愛でたのであった。

 

 ・・・今度は鍔鳴りは聞こえないよな? 大丈夫だよな?




>スクリーントーン窃盗漫画家
伊藤勢。「斬魔剣伝」や「天竺熱風録」、ソードワールドアンマント財宝編のイラストなどを手がけた漫画家。
スクリーントーン窃盗(偸盗)はプロフィールに載ってるので間違いなく事実(真顔)
チュパカブラ漫画については講談社のマガジンZに載っていた「荒野に獣慟哭す」の中で作者本人(をモチーフにしたキャラ)がでっち上げていた新連載ネタ。正直読みたい。
「廃刊になった漫画雑誌」もそこから。

>ターンアルファガンボイ、ビッグゼロ 6マン無限、マスクドライダー魂
ターンエーガンダム、ビッグオー、エイトマンインフィニティ、仮面ライダーSPIRITS。
いずれもマガジンZに掲載されていた。
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