異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ!   作:ケ・セラ・セラ

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第十一話 原作ではない、原案だ

『ガイアーリライブ! 七神がったぁぁぁい!』

 

 主人公の呼ぶ声に応え、世界各地――エジプトのスフィンクスやイースター島のモアイ、アンコールワット、ストーンサークル、マチュピチュ、エアーズロック、昭和新山から七体のロボが飛び出し、七色の光と共に合体する。

 え、その並びで何故昭和新山なんだって?

 知らん、そんなことは俺の管轄外だ。当時のスタッフに聞け。

 

『ゴッドマァァァァルスッ!』

 

 時は2015年! 宇宙から飛来した謎の侵略者に対し、果敢に立ち向かう新山タケシ! 彼の声に応えて七体合体ロボゴッドマルスが降臨する時、もはや彼に敵はいない!

 

『ゴッドマルス・フィナーレッ!』

『うわぁぁぁーっ!』

 

 いやほんとに相手にならないんだ。合体した途端ビームもミサイルも超能力も通用しなくなり、もはや叫ぶしか出来ない哀れな敵コマンダー。

 そのまま必殺技でメカごと爆散し、今日も地球の平和は守られたのであった。

 

『愛の電波塔~♪』

 

 EDが流れる中、ちょっと眉を寄せるアルテたち。何か気になる事でも?

 

「いや・・・面白いんだけどさ。毎回合体してすぐに倒しちゃうなら、最初から合体しておけばいいんじゃないの?」

「そうだよねえ。これはお話だからいいけど、最初手を抜いてうっかり負けるのは最悪の負け方だって教わったよ」

「この主人公のお兄ちゃん、顔はいいけどのんびりさんが過ぎると思うの」

 

 うーん、メッタメタやな。

 まあ実際毎回小型ロボでピンチ!→合体!→ゴッドマルスフィナーレ!で、合体すると割とすぐに必殺技撃っておしまいになるからその通りなんだけど。

 

「後さぁ、これ合体すると棒立ちだったり、剣を構えたまま横に絵が動いたりするだけで、全然動かないじゃないかい。ここだけ紙芝居みたいだよ」

 

 シルヴィアさん! い、言うてはならんことをっ!

 100%そのとおりではあるがっ!

 そもそもこのゴッドマルス、カラーリングもデザインもかなり異なるロボが七体合体して、しかも一体一体がかなり複雑なデザインなので作画コストがめちゃくちゃ高くなり、余り大きくなかった制作スタジオではろくに動かせなかったのである。

 玩具優先でデザインを決める事の弊害やな!

 

 なので動かないまま腹から申し訳程度にビーム撃ったりした後、止め絵の迫力と役者さんの熱演で動いてないのを誤魔化して、必殺技で爆散! という演出にならざるを得なかったわけだ。

 おたく界では不幸な蜘蛛ヒーローをジャパナイズした西映特撮板「ダーマン」のティーゲリオンと並んで「出たら終わり」の瞬殺ロボとして知られている(あちらは着ぐるみがダメになってしまって、作り直す予算も無かったので、毎回バンクフィルムで誤魔化していた)。

 まあそれでもこれの超合金はロボットアニメ史上一番売れた超合金の一つだったりするのだが・・・すげえな村下皇帝!

 閑話休題(それはさておき)

 

 実のところゴッドマルスをチョイスしたのは苦肉の策である。

 なんとなればこのロボットアニメ上映会、チュパくんも見ているのだ。

 そして大概のスーパー系ロボットアニメではチュパくんみたいな怪獣っぽい敵ロボが出てくる。

 かと言ってリアル系だと基本人間同士のドロドロの戦争なので、他の連中はともかくリタやチュパくんにはつらい。いやだったらΩガンボイ流すなよって話ではあるが。

 

 その点ゴッドマルスは敵は人間型宇宙人、敵メカデザインが硬派なSF系で生物的ではない、わかりやすい勧善懲悪ものと、理想的な条件を満たしてくれている。

 敵も味方も美形盛りだくさんで目にも優しく、大人気で放送延長したから長持ちするしな。

 ゴッドマルスが終わったら、同コンセプトの天承巨神イセオンでも流そうか・・・いや、あれこそ子供に見せちゃいけない筆頭か。ジェノサイド刻野だしなあ・・・ラオライガーかGガンボイ辺りでお茶を濁しておこう。

 

 

 

 さて、こうしてロボットアニメを見つつのんびりと街道を旅してはいるが、基本俺らはしがない旅芸人である。

 つまり早く町について芸を披露し、見物料(おあし)を頂かなければおまんまの食い上げなのだ。

 

「なんだけどねえ・・・」

「見事に埋まっておるのう」

 

 一同揃って溜息をつく。

 メリゴアの首都に続く街道は途中で古代魔法文明時代のトンネルを通っているのだが、最近あった地震のせいか、それが見事に崩落していた。

 師匠が魔法で探知してみたところ、トンネル自体は無傷だが山肌の地滑りで埋まってしまってるとのこと。

 ・・・これ、掘り起こさないといけないの?

 

「そうでなきゃ三日戻って、前の町から北回りでぐるっと回るしかないかなあ。多分一月くらいのロスになるね」

 

 地図(私物)を見ながらオブライアンさん。

 この人、町に行くと古本屋に寄って色々買い込むのが趣味なのである。

 それはともかく、そうすると選択肢は三つ。遠回りするか、役所が崩落に気付いて工事してくれるまで待つか、自分たちで掘り抜くか。

 

「しょうがないねえ・・・悪いけど頼むよ」

 

 しゃあないですなあ・・・(溜息)

 

 

 

「土木合体! パワーダビオン!」

 

 そう叫ぶと俺の体の周囲をマッシブなロボの幻影が覆い、肩からパワーショベルが生えてくる。

 「勇士令状ダビオン」。

 勇士シリーズの一つ、地球に逃げてきた宇宙の凶悪犯を逮捕するため、宇宙刑事から権限を委任された現地協力者の高校生勇士たちが主人公のロボットアニメである。

 言ってみれば西部劇の保安官が現地で採用した助手(ダピティ)のようなポジションで、タイトルもそこからだ。「Pi」だと響きがかっこわるいので「Bi」になってるが、まあ些細なことだし良くあることである。

 

 で、パワーダビオンはパワーショベルと合体して生まれる二号ロボ。

 名前通りパワー重視で、土木作業向きである。

 さーて、これから延々土掘りだ!

 と、言うところでアルテさんから物言いがついた。

 

「あれ? 考えてみると、ハヤトあの・・・どるり?で穴開けられるじゃない?

 それで穴掘って広げればいいんじゃないの?」

 

 固い岩壁ならそれでもいいんだけどねー。軟らかい土砂だと穴掘った後固定化しないと崩れて使えたもんじゃないのよ。

 

「わしの方を見るなよ。人ひとりが通れるくらいならともかく数十メートル、それも馬車を通せるサイズとなると、チと無理が過ぎる。魔力結晶を無限に使っていいなら話は別じゃがな」

 

 との師匠のお言葉。

 ですよねー。

 あ、そう言えばカオルくんは? 大地を操る魔剣とかはないの?

 

「大地を真っ二つにして裂け目を作る魔剣はあるけど、土木工事に使えそうなのはないかなあ」

「イメージの問題かもしれんが、大地を操るものというとハンマーやメイスなどの打撃武器ばかりじゃのう。つるはし(ピックアックス)の魔道器もあった気はするが」

 

 結局地道に俺がどけるしかないのね・・・

 

「わ、私も手伝うから・・・」

 

 両拳を握ってアルテ。やっぱええ子やで。

 ほれ、そっちの野郎どもも、ちったぁ誠意見せんかい。

 

「へいへい」

「まあ穴掘りを手伝わないとあっては大地妖精(ドワーフ)の名折れですぞ」

「まあしょうがないか」

「・・・」

 

 最後にガイガーさんが頷き、俺達は動き始めた。

 

 

 

「イサクは土を掘る~♪」

「ヘイヘイホー♪」

 

 なんかどこかで聞いたような節回しでもっこを担ぐアーベルさんとラファエルさん。

 グラウンドをならすのに使うようなやつ(名前知らない)で土をどけていくガイガーさんやカオルくん。ちなみにシルヴィアさんは女性特権でサボるつもりだったが、ガイガーさんと師匠に睨まれて渋々参加していた。

 そしてパワーショベルで土を掻き出すおれと、でかいスコップで同じ事をしているアルテ。

 ちなみに道具は師匠がインスタントで錬成してくれた。長持ちはしないそうだが便利な人だわホンマ。

 

「~♪」

 

 アルテは鼻歌なんか歌っちゃって実に楽しそうである。

 俺と並んで土を掻き出しているのだが、いくら《怪力の加護》でも力仕事は辛いだろうに。

 この子、ぶつくさ言うけど根本的に体動かすのが好きなんじゃなかろうか。

 

「そう言う事じゃないと思うなー」

 

 あれ? リタさん、どうしてそんな呆れた目を?

 それはともかく、仕事は順調に進んだ。

 シャベルは軽く、もっこは次々と往復して土を運ぶ。

 丸一日がかりだろうと思っていた仕事は、昼ご飯を食べて一時間後には片付いていた。

 

「思ったより早く終わったなー」

「さすがハヤト、さすがはアルテ。力仕事には頼りになるのですぞ」

「そう言う事で褒められてもあんまりうれしくないなあ」

 

 ・・・。

 無言で師匠の方をちらりと見る。

 師匠の指が僅かに動き、俺と師匠との間に念話のリンクが確立する。

 

(お主が聞きたいのは、妙に作業が楽になった件じゃな?

 あれは一種の精神操作の術じゃ。人を元気づけて、力を増すことが出来る)

 

 なるほどー。みんなもひょっとしたら気付いてるけど、師匠の仕業と思ってるだろう。

 けど、その言いようだと師匠じゃなかったんですよね?

 

(それがな・・・)

 

 師匠が少し言いよどむ。珍しいな。

 

(魔力の発生元はお主らの馬車。恐らくはあのチビすけじゃ)

 

 !?




>七神合体ゴッドマルス
横山光輝原作(実質原案)・「六神合体ゴッドマーズ」。
ただし「ガイアーリライブ」は富士原昌幸のスパロボ同人誌、「時は2015年」というのは手塚アニメ「ジェッターマルス」が元ネタ。
各地の遺跡にロボが隠されてるのはそのままだが、原作だと昭和新山ではなく明神礁(東京の真南にある海底火山)。
放送の三十年くらい前に火山噴火で新島が出来ていたので、当時はそこそこ知られていた。

>ダーマンのティーゲリオン
東映スパイダーマンのレオパルドン。
大体作中の通り。向こうでカルトな人気があって、スタン・リーもけっこう気に入ってたと聞いて吹いた。

>村下皇帝
バンダイの玩具デザイナー村上克司。人呼んで村上天皇。
アニメや特撮ロボの超合金の売り上げ上位は大半この人というマジ物の天才。

>ジェノサイド刻野
皆殺しのトミノ。ああ、刻が見える。
ブレンパワード以降は多少浄化されたようだが、根っこのところは変わってないよなあ・・・
なおスパイダーマンを不幸にすることに人生を賭けたスタン・リーも晩年は「もうあんまいじめなくていいんじゃない?」となった模様。逃げるな、お前が始めた物語だろ(ぉ
なお個人的に一番子供に見せちゃいけないのはザンボットの人間爆弾だと思う。ブレンパワードもあれはあれで全裸OPがやばいけど(ぉ

>勇士令状ダビオン
勇者指令ダグオン。
勇者シリーズにサンライズお得意の美少年戦隊要素を加えた作品。
色々女性向きではあるが、それはそれとして割と王道のロボットアニメでもある。
ただしOVA除く。
グレート合体が三回しか出てこないのはさすがにどうかと思うなあ・・・w

>イサク
与作。
多分そんな感じでオリジナル冒険者族の伝えた歌が断片的に残ってると思うw
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