異世界に転移したらスキルが「ロボットアニメ」でした ~スパロボ厨が剣と魔法の世界で無双します~ イヤボーンもあるよ! 作:ケ・セラ・セラ
「きゅきゅっ」
え? 仲間が近くにいる!?
「お兄ちゃん、わかるの!? ・・・そっか、オリジナルだもんね」
オリジナル冒険者族の翻訳機能である。
サンプリングに時間が必要なのか、リタと違ってノータイムではないが、一定期間をおけば大体の言葉が分かるのは便利この上ない。
「うー。また私だけ仲間はずれ・・・」
「ボク達が翻訳するから、ね?」
一人だけそっち方面の《加護》がないアルテがふてくされるのはもはや様式美である。
「ふむ、仲間の捜索か・・・」
「そのチュパくんだっけ、心で話せるのかい」
「恐らくはの。少なくとも存在を感知することは出来ておかしくない」
俺は密かに師匠とシルヴィアさんに相談していた。
興行の合間を縫って探しに出る許可を貰いに来たのだが・・・
「ただ、危険ではあるの」
「そうだね。チビを狙う連中がいるかもしれないってのは覚えておくんだよ」
ういっす。
「まあお主ら三人がついていれば恐らくどうということはないが・・・念話は維持しておくぞ。後、チビスケはお主の腹から出すな。いいな?」
もちろん。出来れば師匠の幻影変装が欲しいところですが・・・
「それをやるとわしらがチビスケのことに気付いているのがバレるかもしれんからのう」
ですよねー。
まあ、師匠も言っていたが、俺とアルテとカオルくんがいれば大体の事はどうにかなるだろう。ガイガーさんみたいなのが出てこなければ。
・・・ん。今のちょっとフラグっぽいな? いや、大丈夫だよな?(汗)
「それでね、チュパくんみたいな人を見つけたら教えて欲しいの。そうしたらまたエサをあげるから」
「チュチュチュン」
「きゅぴ?」
戻ると、リタが小鳥にエサをやって人捜し?を頼んでいた。
聞けばアカフクたちも既に町に放って探させているそうだ。
よぉーし、捜査を続けろ!
こうして見るとリタって石原ユーサブロー・・・というか動物使いの忍者のほうが近いか?
「獣遁ってあったねえ」
「え、リタってニンジャなの!?」
「本物の忍者は動物を訓練して使ったりもしたんだよ」
こっちの世界でニンジャというと、影のスーパーヒーローというか、アメリカンニンジャとか講談活劇の忍者とかシノビスレイヤーみたいなイメージがやっぱり強い。
1000年以上前に東のディテクに降臨したオリジナル冒険者族「紅の影」とか、極東アグナムの「ハッタリ・ニンジャ」などがそう言う大活躍をしてしまったおかげだ。
まあ本来の意味での「忍者」なら、冒険譚に名前が残ったりするようなことはないだろうしな。
それはさておき、外出の許可が取れたぞ。
昼休みに三十分くらい、午後の興行が終わった後に一時間くらい町を回ってみよう。
そう言うと、チュパくんを含めて四人が一斉に頷いた。
あっという間に時間が過ぎて昼休み。
食事の支度と食事と後片付けを協力してさっと終え、こっそり師匠の念話の術を受けてから俺達は町に繰り出した。
「きゅぴ? きゅぴぴー♪」
俺の腹の中の「窓」から外の様子を見て、チュパくんが驚きと喜びの声を上げている。
お前目的忘れてないだろうな?と思ったが、まあ楽しそうならそれはそれでいいか。
普段ずっと狭い貨物スペースの中できついだろうしな。
とは言え油断したりはしない。
ミストヴォルグセンサーは全開だし、カオルくんも知覚強化の魔剣を下げている。
何でも前後左右上下360度知覚できるようになるし、観察力や直感も鋭くなるのだとか。昔の戦闘機やモバイルスーツのパイロットなら寿命を半分捧げても欲しがるだろうな。
「あ、これ美味しい!」
「なんだろう、糖蜜か黒砂糖だと思うけど、このほのかに香るのは・・・」
(きゅぴぴ?)
腹の中のチュパくんが、大きなマカロンみたいなお菓子をかじりつつ首をかしげる。
いや、カオルくんのことじゃあないと思うよ?
「でも美味しいよねー。アカフク達にも食べさせて上げないと」
そこで自分の分を半分残すリタはいい子である。
アルテさん、そこで物欲しそうに見るのはちょっと年長者の威厳とかそう言うのが丸つぶれじゃないですかね。
「う、うるさいわね!?」
自分でも気付いてなかったのか、アルテが顔を赤くする。
まあ日頃の行いが・・・うおっ!?
(きゅぴぴー!)
「チュパくん!?」
リタが叫ぶ。直後、俺たち含めて周囲の人間が頭を抑えてうずくまるのと、俺の腹からチュパくんが飛び出すのが同時。
何だ今の。
頭押さえつけられてガツンとやられたような・・・いや、考えてる場合じゃない!
おい、ダメだ! 待て!!
「ナカマ・・・トモダチ!」
チュパくんを止めようとした手が空を切る。
くそ、頭がフラフラする!
そうしている間にも、チュパくんは意外なほどの素早さで走り去り、あっという間に路地に入って見えなくなった。くそっ、周囲の人間も朦朧としているから目撃されてないのが幸いか!
「チュパくん・・・」
リタ、大丈夫か?
伸ばした俺の手を振り払って、リタが立ち上がる。
カオルくんですらまだふらついてるのに気丈な子だ。
「~~~~~~~~~~~~~~~!」
!?
リタの喉から凄い声が出た。
ガラスをひっかくような、超音波みたいな音。
周囲の人達が今度は一斉に耳を塞いだ。
「う、うわっ!?」
空が暗くなった。
無数の、多分数万羽の鳥が上空から舞い降りる。
「みんなお願い! チュパくんを捜して!」
血を吐くようなリタの絶叫。
無数の羽ばたく音。
現れた時と同様、空が暗くなり、また明るくなる。
周囲の人々が呆然とその様を眺めていた。
(小僧! 何があった!?)
(師匠! かくかくしかじかで・・・!)
その時入った、師匠からの念話。
リタの能力の行使に気付いたらしい。
説明すると、少し間が空いた後(多分シルヴィアさんと相談してた)返事が返ってきた。
(ともかくチビ助の後を追え! アーベルとシルヴィアをそっちにやる! わしもいざとなったら飛んでいくから安心せい!)
それはありがたいけどガイガーさん来ないの!?
あの人がいるといないとじゃ、安心感がまるで違うんですが!
(精神攻撃で酩酊をかましてくるやつに、酒一口で無力化されるようなヤツを出せると思うか?)
おっしゃる通りで!
俺はちょっと泣きそうになりながら、リタを抱えて走り出した。
もちろんリタは翼君ではないので友達を蹴りません(ぉ
>リタ忍法雲鳥の舞
元ネタは石川賢版魔界転生の「柳生忍法雲鳥の舞」から。
裏柳生の忍びが呼び寄せた無数の鳥が、不死身の魔人荒木又右衛門を半死半生にまで追い込んだ。
その後、仲間の忍びもろとも挽肉にクラスチェンジしたけどネ!
>シノビスレイヤー
もちろんニンジャスレイヤー。
>紅の影
前作参照。
明治初期から「白のサムライ」と共に異世界転移してきた元伊賀同心。
>石原ユーザブロー
石原裕次郎。「太陽にほえろ!」や「西部警察」など、古式ゆかしい刑事ドラマのボスと言えばこの人。
>超音波みたいな声
本当に超音波だったら人間の耳には聞こえないのですが、まあ文学的表現というヤツでw